第44話 第4作の進捗⑤
よちよちよちよち9万字です。
ラストが定まって以降は書けるところから書いています。
「続きの部分は……浮かばない。甲子園(のようなもの)の決勝は、無理。日常回、世界大会、ラストバトルも。こうなったらアメリカ代表との漫才部分でも書いておこう」
こんな調子です。
時間を確保したら、どこを書こうかを最初に決めます。書けないテーマを前にウンウンうなっていたら、それだけでその日の執筆時間が終わってしまいますからね。
まず今日の書けるところはどこかを判断し、決まればスラスラ5百字くらい。量は知れていますけれど。
そりゃあ書けますよ、書けるところから書いているんですから。書ける部分はスイスイです。思考は理路整然、だって書ける算段あっての着手。
ところが問題も。これはあとに巨大な負債を残していることがあるんです。単純に語りの難しい話ばかりが残っているのもそうですが、面白いだろうと思って未来の自分にムチャブリをしている時があるんですよ。
忘れもしない、あれは処女作。主人公が『会津藩主に黒船購入の資金を無心する』とぶち上げたんです。勢いで。まるで書いておらずアイデアもないのに。
そうすることで周囲を味方につけることが容易にできますし、主人公も未来の自身の行いにビックリするので。してやったり、これはいける、そう思いました。
「現代人タイムスリッパーならこれくらいやってのけるでしょ」
さすがに無計画でした。気軽すぎ。いざその部分を書こうと思ったら重たいのなんの。
一般の人間が一国の藩主に会える算段。その時代の人物を味方につける出来事。主人公が自らの地位を確立するまでの時間。
目指した場面に到達するところまで実に5万字ほどが必要になりました。ようやく到達した藩主との謁見も、それはそれは苦労したのです。大変でしたねえ、いま思い起こしてもあれは……。
費やした時間もお察し。RPGを一本ねっとりクリアするくらいは要したでしょうか。1ヶ月以上はずっとはりついて、その部分を書いては直し書いては直しだったと記憶しています。
あの時の状況、あの精神状態だからできた芸当でしょうねえ。使命感でした。
ついでに裏話をしますと、本来なら戊辰戦争を主人公の手によって止めるつもりがあったのです。結局ズルズル史実通りとなってしまったので、戦後の会津藩の財源は空っぽ、黒船の資金など残っているはずもないのですが。
途中で止められたからこそ残る財源だったのです。そこには目をつぶって、資金はあるものとして描いちゃいましたね強引に。気になる方には気になる点であったろうと思います。
やっぱり戊辰戦争を止めちゃうくらいの大活躍を盛るべきだったでしょうか。しかしその作業量たるや、ゾゾゾ〜!
それから幾星霜。
抜け殻となった今はチャランポラン、なにも考えずに埋められるところから埋めています。アホの子おれごん。
それでも。
今まで存在しなかったピースが埋まり続ければ、その横の謎ピースもおのずと形が想像できるもの。おぼろげだった部分に輪郭が生じるのです。
それができるのも最後が定まったから。帰る家が決まればちょっとした冒険だってできます。帰りは我が家へ、アリアドネの糸でスイーンと。忘れて全滅したのはどこの迷宮でしたか。
帰宅するまでのつかの間の、部活動という名の冒険にいざ出かけましょう。根なし草ではいつか立枯れする末路ですもんね。
「墓標はいらぬ。死すときは戦いの荒野で」
このような覚悟完了の、世紀末を平定した根なし草もなかにはおられますが。あの人物はある種の仙人みたいなもの、それと一般の高校生では比べるまでもありません。
そもそも根なし草なのは人物でなく、物語自体の出来のほう。どうにか始まりと終わりとを確保したのですから、クライマックスや転機などの寄り道をせっせと組み立てつつ家路をめざしましょう。
この作品はもう、全体像を把握できたかもしれません。まだまだ思いつかなければならない項目は山積ですが、謎やトリックがあるでなし、あとは時間さえ費やせばなんとか。
でも足ぶみ状態でしょうか。その時間確保が今は一番難しいのです。
オレゴンでひたすら向かった、あの座り心地の極めてわるい机が懐かしいです。何もかもみな、懐かしい。
今は渡米前に使っていたメイドインジャパンな机が戻りましたが、それに向かう時間を得られずにいます。
いったいどちらが良質な執筆環境なんでしょうね?
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