084:エイリアンとオーパーツ⑥
「これでとりあえずこのエリアの攻略は完了ね」
ヴィータたちはエリアボスらしきエイリアン、オーガを倒した事で現在の階層を制圧した。
「ダーリンもご苦労様だ♡」
「俺はそんなに役に立ってないけどな」
自分は戦闘くらいしか役に立てないと思っているヴィータだったが、その戦闘に関してオトワたちが強すぎるのだ。
もちろん戦えばヴィータは強い。
だが、そもそも全員がSSSランク越えの最強パーティすぎるためヴィータが戦うまでもないのである。
「そんな事ないぞ! ダーリンがそばにいてくれるだけで我は幸せだ♡」
「こらオトワ、イチャついてないで最後まで働きなさいよねっ」
ヴィータは少しでもパーティの役に立とうと思い廃墟と化した遺跡の調査を手伝っていた。
遺跡の瓦礫を次々に撤去していく。
肉体労働は戦闘の次に得意な事だ。
「お姉さま、エリアボスのマキナが回収できました」
「うん。こちらで座標を確認できた。やはりエリアボスが持っていたようだね。これでミッションコンプリートだよ、エノン」
結局、最後の遺跡からもオーパーツは見つからず、使えそうなジャンクもなかった。
周囲に霧散したオーガのマキナを全て回収し終えた所で次の階層へと座標も解明され、そこで今回の攻略は完了という事になった。
「うーん、今回はハズレのエリアだったようだな。期待しているエリアだったんだが」
オトワが少し残念そうに腕を組む。
「そうなのか?」
「オトワの事だから何も説明してないんでしょうけど……強力なエイリアンがいる場所にはオーパーツがある可能性が高いのよ。さっきはちょっとやり過ぎたけど、あのオーガはマキナの保有量も多かったしそこそこ強いエイリアンだったから」
さきほどの惨劇を思い出したヴィータは「ちょっと」どころではないと思ったが、余計な事は言わなかった。
「まぁ、階層が深くなるにつれてエイリアンの数も増えて来ているからな! いずれオーパーツも見つかるだろう!」
「そうね。エイリアンの個体ごとに見てもかなり強くなって来ているわ」
「ダーリンがいればどんな敵が出て来ても安心だけどな!!」
人間界ではボスモンスターがお宝をドロップするなんて事はなかったが、ダンジョンの奥にお宝が眠っているという話は聞いたことがあった。
より難易度の高い危険なダンジョンほど、なぜか強力な魔道具が見つかると言う話だ。
そのほとんどは噂話に過ぎず、実際にそんな高難易度ダンジョンを攻略に導いてきたヴィータもダンジョンの奥地で宝箱に出会ったことなどない。
だがアナヴィ王城の宝物庫には歴史的な魔道具が実在しているらしく、全てが嘘と言うわけでもないようだ。
今思えば、それこそがオーパーツの話だったのかもしれないとヴィータは思った。
「まぁ、無い物は無いんだから仕方ないな! 次の階層に期待するとしよう……さて、我らの城に帰るとするか。お腹も減って来たしな! マイン、ポータルの準備はどうだ?」
「準備は出来ている。いつでも開けるよ」
「よし、では戻るか」
オトワがポータルの子機を取り出した。
そしてポータルを開くための
「
ゾワリと、オトワは何かの気配を感じて言葉を止めた。
「ん、オトワ? どうし……」
「みんな気をつけろ!!」
オトワが振り返り、頭上を見上げる。
最後の遺跡があった廃墟の、その真上に音もなくポータルが開いていた。
開いたのはオトワのポータルではない。
それはオトワたちが持つポータルとは全く別の物だった。
ヴィータにはそれがポータルだとは一瞬、理解できなかった。
空間に穴が開くと言うよりは、まるで時空を無理やり引き裂いたような歪なポータルだ。
そしてオトワが感じていたその気配をヴィータも感じていた。
何かが、来る。
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