083:エイリアンとオーパーツ⑤
ゴブリンは人間界でも数多くみられるエイリアンの一種だ。
人間に近い二足歩行の姿から亜人型などと呼ばれていた。
そんな亜人型には多様な種族が存在していたが、ゴブリンの危険度は高い方ではなかった。
一方で、亜人の中でも巨大な身体が特徴のジャイアント族は特に危険な相手としてそのほとんどがAランク以上の危険度に認定されている。
怪力と頑丈さを兼ね備えた巨大な肉体はそれだけで圧倒的な脅威になり得るのだ。
Aランクは実力のあるベテラン冒険者が束になり、複数のパーティで共同戦線を張って戦うレベルであり、単独のパーティでAランク以上を相手にできるのは人間界では勇者クリムが率いる勇者パーティだけだと言われていたくらいである。
オーガは巨体であるがため鈍重な事が多いジャイアントの中では珍しく動きも俊敏で、何よりも気性が荒い。
そもそも狂暴な性質を持つエイリアンの中でも突出していて、一度暴れ始めると敵を殲滅し終わってもしばらくは暴れ続けると言われていた。
もしも人間の町にオーガが現れたなら、その街の全ての人間を虐殺し、全ての建物が廃墟と化すまで暴れるのを止めないのだ。
「オガァアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ……!!」
そんなエリアボスをまるで空気のように気にもせず「誰がやるか」で揉める魔王パーティに対し「無視すんじゃねぇ!」と言わんばかりに雄叫びを上げてオーガが襲いかかった。
「だったら早い者勝ちだな!」
「良いわ! 上等よ!!」
「望むところ」
ヴィータがどうしたものかとワタワタしている内に魔王パーティが出した結論は、無慈悲にも全員での自由攻撃だった。
「形態変化、攻撃態勢!
「
「
チュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!!!
ズババババババババババババババババババババッッ!!!!
ゴガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!!
それぞれの攻撃がオーガに襲いかかった。
オトワの変形した体に貫かれ、エノンの骨の刃に切り刻まれ、マインの重力で押しつぶされる。
それもゴブリンたちの時とは違う周囲への影響を無視したマジの攻撃技である。
歴代魔王たちによる惨劇のフルコースだ。
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!
魔王同士の技はぶつかりあい、激しい閃光と化してオーガを包み込んだ。
結果、オーガは文字通り跡形も残らなかった。
エイリアンが消えた後の光だけが存在の名残のようにその場に残っていた。
「ふむ……今回は引き分けだな!」
「かなり相殺しちゃったわね。というかやり過ぎたわね……」
「的が小さい」
オーガどころか、むしろ遺跡まで跡形もなくなっていた。
遥か上空に思えたダンジョンの天井まで変形しているように見える。
ここが広大で頑丈な魔界のダンジョンではなく、人間界のダンジョンだったなら……ダンジョンそのものが消滅していてもおかしくないほどのバカげた威力である。
「これは……さすがにエイリアンが可哀そうだ」
魔界のダンジョンのエリアボスであり、人間界でなら天災にも例えられるSランクに到達していてもおかしくないレベルの危険度を誇るオーガだったのだが、骨すら残らないその悲惨な最後には同情せざるを得ないと思うヴィータだった。
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