081:エイリアンとオーパーツ③
「ゲギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
ヴィータたちが更にダンジョンを進むとゴブリンの集団に何度か出くわす事になった。
ゴブリンたちは遺跡を根城にして隠れているらしく、遺跡の探索というパーティの目的上、避けては通れない相手のようだ。
そしてゴブリンたちは魔王たちの力で瞬殺される事になる。
「アンタだけ戦わせるのは不公平でしょ?」
と言う理屈で2戦目を買って出たのはエノンだった。
骨の刃で出来た翼を展開させて臨戦態勢をとったが、使ったのはその内の1本だけだった。
ズババババババババババババババババババババッッ!!!!
ゴブリンの群れ程度なら刃が1本あれば充分らしく、縦横無尽に飛翔する刃がまるで死神の鎌のように全ての敵の首を
目にも止まらない斬撃が一瞬でゴブリンの集団を殲滅した。
「すごい。戦闘も一流なんだな」
攻撃の速度、その精度、そして威力……全てが超高水準だった。
メイドとは思えない実力である。
むしろ冒険者ギルドからすればメイドにしておくには勿体ないくらいなハズだ。
「べ、別にこれくらい余裕なんだからね!!」
エノンは展開していた骨の刃を消して臨戦態勢を解くと、プイとヴィータから顔を背けた。
「それにまだ本気じゃないだろ?」
エノンが展開した骨の刃の羽はたくさんある。
作ろうと思えばもっと作れるだろう。
その全てを同じように自由に操作できるとしたら、人類最強のヴィータですら回避は不可能だ。
今はパーティの仲間だが、エノンも元魔王である。
敵だった事を考えると恐ろしい相手だった。
「それを言うならそっちこそ、でしょ?」
「まぁな」
「よし、ダーリン! 次は我の力も見せてやるぞ!!」
今度はそんなヴィータとエノンのやり取りを横目に見ていたオトワが何故か先頭に立った。
「いやオトワの実力はもう知ってるが……」
「もう、良いから黙って褒めなさいよ。アンタまだまだ女心がわかってないわね?」
「大賢者は何でも知っている。これは間違いなく童貞」
「うるさいぞ!?」
そして何故かゾンビとスケルトンに説教される始末であった。
黙って褒めるとは中々に高難易度な要求である。
「ふふ、よく見ているんだぞ。ダーリン! そして我にも褒めるが良い!!」
そして次の遺跡から現れたゴブリンたちはオトワが相手をすることになった。
オトワは分離させた体の一部を周囲に散りばめると、それを細長い針のように変形させてまるでレーザービームの雨を降らせるように全てのゴブリンたちの脳天を正確に貫いて見せる。
チュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!!!
瞬きする間もないほどの一瞬の出来事だった。
敵を殲滅するとそしてヴィータの元へと駆け寄り、何かを期待するように上目遣いで頭を差し出してきて……
「やっぱりスゴイな。さすがだ」
「うむ! えへへ」
褒めながら頭をポンポンしてあげると、オトワは幸せそうに眼を細めた。
(なんだこのかわいいいきもの)
その愛らしさにヴィータの知能は低下するが、実際に目の前のオトワは人間界で戦った時よりも圧倒的に強かった。
人間界に来ていた偵察用の分身体が「戦闘向きではなかった」事は聞いていたが、ここまで差がでるとは驚きだ。
「では私の魔術も見せよう。大賢者は何でもできる」
その後はついでのようにマインも戦闘に参加しはじめた。
普段は周囲に無関心に見えるマインだが、どうやら仲間外れにされるのはイヤなようだ。
そして戦闘能力があまり備わっていないはずのマイン人形ですらゴブリン程度なら難なく殲滅してしまった。
ゴガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!!
ゴブリンたちはマインの魔術によって見えない力に押し潰れて死んでいった。
それはヴィータが見たこともない魔術だった。
恐らくは人間界にはもう伝わってもいない魔術なのだろう。
大賢者はそれも詠唱すら破棄して発動してみせたのだ。
「さすが大賢者だな」
「ピースピース」
無表情のままのマイン人形がピースを返す。
マイン人形はあくまで通信機のような物だ。
それを遠隔操作しているだけのマインの力はかなり制限されているハズなのに、それでこのレベルならば本体の魔術はどんなレベルなのか……ヴィータには想像もつかなかった。
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