049:魔界的、登録テスト②
ヴィータの人間界での冒険者ランクはSランクである。
人類最強の格闘家、勇者四天王の幻の五人目、黄金の勇者。
落選者という落ちこぼれでありながら、そんな様々な異名を持つにまで至った人類の最高戦力であるヴィータがなぜ最高ランクのSSSランクではなく、Sランク程度にとどまっているのか。
それはSランク以上の力を測定する方法を人類がもっていなかったからだ。
「さぁ、いつでもダーリンの好きなタイミングで良いぞ」
「わかった。まぁ余裕で壊せるけど」
ドッパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
ヴィータの軽いジャブで人型ターゲットは木端微塵になった。
「うむ、さすがダーリンだぞ♡ 予想通りだ! この調子でドンドンいこう! ダーリンの力なら我と同じSSSランクを取れるに違いないぞ!」
絶対に壊れない魔道具が壊れたと言うのにオトワは驚きもせずケラケラと楽しそうに笑いながら「身体能力、SSSランクだ!」と勝手に測定結果をメモしていた。
「では次のテストは魔力の測定だ! このガラス球は魔力に反応してヒビが入る測定器だ。魔力を込めてぶっ壊せば合格だぞ!」
「でも俺、魔力持ってないぞ」
これはヴィータにとって苦手科目ともいえるテストだ。
落選者であるヴィータには魔力がないため、人間界のテストでもひどすぎて伝説になる結果だった。
「魔力じゃなくても測定器さえぶっ壊せば合格だから普通に力で壊して良いぞ? 物理無効化の機能があるから普通は無理だけどな!」
「そうか。でも普通に壊せるな」
パッリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!
ヴィータの握力で手のひらサイズの水晶は爆発四散した。
「さすがダーリン♡ その腕力はもう魔力みたなものだからな! 合格だ!」
ヴィータは「魔力テストとは?」とか思ったがオトワは気にしていないようで「魔力もSSSランク♡」と上機嫌である。
「次は技術力だな。手先の器用さが求められるテストだ! この立方体のパズルを解いて中の測定器に触れるまでの時間がテスト結果になるぞ! もちろん方法は問わない!」
「そうか。じゃあ壊すぞ」
バッキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!
「さすがダーリン♡ 1秒を余裕で切ったな! 多分最速記録だぞ! 合格!」
そろそろ「本当に良いのか?」と思うがやはりオトワは「技術力も文句なくSSSランク♡」と迷いなく結果をメモしている。
「最後は知能テストだ! この解答用紙型の測定器に書かれた問題を全て問くと容姿が爆発四散するんだ! それまで速度と正解率による爆発力で知能を測定するぞ! 例によって爆発四散させれば方法は問わないぞ!」
「爆発四散させれば良いんだな?」
ビッリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!
からの
ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
「良い爆発だ! さすがダーリンだぞ♡」
もうヤケクソになっていたヴィータだったが、良かったらしい。
オトワは最後まで「知力もSSSランク♡」とルンルンで測定結果をメモし、そしてその結果用紙をバーン! とヴィータに見せつけた。
そこには4つの「SSSランク」が並んでいた。
思いっきり声に出ていたのでヴィータも分かっていたのだが。
「よし、これで全ての試験が完了だ! 結果はオールSSSランク! 多分だけど歴代最高得点だと思うぞ! さすがダーリンだ♡♡♡」
「お、最高ランクか。やったな」
「ってちょっとまたんかーーーーーーーーーーい!!!!!」
と、ヴィータが無事に魔下院の冒険者としてSSSランクになれたタイミングで、誰かが威勢の良いツッコミと共に、稲妻の如き猛烈な勢いで訓練場に転がり込んできた。
それは長く白い美しい髪と力強い黄金の瞳を持つ少女だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます