第2話:ヒロイン、中一時代を回想する

 よく『計画的犯行』などと言われるけれど、私に言わせれば、上手うまおこないたければ何でも計画的にするべきだと思う。事前の準備と努力で全ては決まるのだ。


 私は中学で『勉強会』を行うつもりだったので、その準備として小学生の頃から熱心に勉強していた。勉強できない子が勉強会を主催しゅさいするのも滑稽こっけいだろう。努力の甲斐かいあって、私は同級生の子から「お願い! 私の成績を何とかして!」と頼られるくらいの存在となっていた。


 小学校から中学校に上がって、勉強で悩んでいる子というのは居るもので、まずはクラスメートの中から私はそういう子を勉強部屋へと招待した。週末に、マンションに泊まり込んでもらう形式である。もちろん、その子の両親からは外泊の許可を取っている。


 一人ずつ、勉強部屋に連れ込んで、。一回くらい、相手の子が怖気おじけづいて拒否される事もあるのではないかと思っていたが、さいわいそんな事は全く無かった。勉強が苦手で追い詰められている子からすれば、私の誘いを断るなど思いもらなかったらしい。


 私には才能があったみたいで、私との勉強会の後で、相手の子は必ず成績が上昇した。将来は教師になろうかなぁ、いやめた方が良いんだろうなぁなどと私は思ったものだ。生徒に手を出す教師というのは不味まずいでしょう、やっぱり。


 そんな訳で、私が勉強会で仲良くなる相手は同級生の子ばかりで、中学二年生になってからは下級生も対象となった。上級生を勉強会に呼んだ事は一度も無い。「お姉さま、私が勉強を教えてあげましょう」などと言い出すのは、やはり不自然だろう。


 順を追って中学一年生からの話をすると、まず私は、勉強ができないクラスメートを勉強部屋に招待して。その後、他のクラスメートも一人ずつ誘っていった。普通は誰でも苦手な教科きょうか科目かもくがあるもので、そして私は普通じゃなく全教科、全科目に精通していたのである。


 勉強ができなくてあせっていた子と違って、学力がくりょくが高い子は、私という『お嬢様』に興味があったようで「どのくらい、お金持ちなの?」などと質問されたものだ。「マンションのフロアを買い与えられるくらいだよー」と、彼女たちの好奇心を刺激して、私は部屋への誘い込みを続けたものだ。


 ほぼ週に一度のペースで、相手の子を変えていくものだから。クラスメートの子に付いては、私は味わい尽くしてしまった。まあ一度だけで終わらず、何度も勉強部屋に来るリピーターも居ましたけどね。遊園地でも何でも、人気の場所には熱心なファンが付くものなんでしょう。


 自分で言うのも何だけど、私は彼女たちを恋愛対象として。そもそも私は、恋をした事が無いのだと思う。私は特定の誰かだけに、心をとどめた事が無い。世の分類には複数愛ポリアモリーという、一対一に留まらないスタイルがあるそうで、私が求めているのはそれなのかなぁとも思う。違うのかも知れない。お勉強が得意な私も、まだまだ分からない事はあるのだった。


 花でたとえれば、私が好きなのは百合という種類の全体なのだ。花を愛する人は、そういうものだろう。特定の百合だけを愛して、他の百合には目も向けないという人は変わり者としてあつかわれるものだ。私は花のように、女の子という種類の全体に執着していた。


 簡単に言えば、私の内面はちょう肉食にくしょくけいだった。みんな私の外見がいけんだまされてしまうのだ。お嬢様のたしなみとして、私は家でピアノをいている。その結果、指の力が強くなっていて、これはベッドで女の子を喜ばせる時に役立やくだった。何が役に立つか分からないものですね。


 いつも相手の子は私より身体からだが大きかったけれど、ベッドで寝てしまえば、すぐに視線の高さは同じになる。するすると私は女の子のふところに入り込んで、文字通り、指一本で征服できた。


 もちろん指一本だけで終わらせるつもりは無い。十本の指、舌、その他の部位を使って私は女の子たちに喜びを与えていく。ああ、大丈夫ですよ、お母さまがた。私は娘さんの処女を奪った事はありません。みんな綺麗きれいな身体のままなので安心してください。

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