ヒーロー

満月の夜はいつもより星の数が少なく見える。

それでも爛々と輝いている星はどんなに強い光にも負けず、そこでずっと輝き続ける。

何年も何十年も何百年経っても。


世界中の人達がその星に願いを託す。

ある人は「戦争のない平和な世界」

ある人は「家族の安全」

ある人は「素敵な恋人」


それぞれのエゴをその星にぶつける。

自分達は何もしないのに。


それに比べて僕は違う。

道に迷った帰り道、雨が降り出して小さなバス停で雨宿り。

夜は段々と帳を下ろす。

今まで生きてきた人生の轍に、一体何を残すことができたのだろう。

僕はあの星に何を願うべきだろう。

考えて、かんがえて、カンガエタ。

頭がおかしくなった頃、ようやく一つの答えが出た。


僕は僕のヒーローになろう。


そして少年はヒーロー気取りで、雨の中を歩く。

街行く人は気づいていない。

少年の涙には誰も気づかない。






「ハッピーエンドをください。」

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ハッピーエンドに憧れて フジケン @fujiken696

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