第1話 おともだち
____ピピピピ……ピピピピ……。
手を伸ばしスマホの目覚ましを止める。もぞもぞとまた布団の中に潜り込む。冬の朝はとても寒いのだ。スマホの目覚ましを全部OFFにし時間を確認する。午前8時40分。いつもは寝坊ギリギリだが今日は好きな韓ドラが始まる前にちゃんと起きれた。
「私、やれば出来るじゃん……!それにしても変な夢見た気がする……。」
何とか夢を思い出そうとするが、思い出せなかった。夢なんてそんなもんだ。と思いながら布団にくるまり特に意味もなくスマホを眺める。
「みすずー!ご飯よ、降りてらっしゃい!」
1階からお母さんの呼ぶ声が聞こえる。
めんどくさいと思いながらももうすぐ韓ドラの時間だ。ベットから起き上がりお気に入りのモコモコスリッパを履く。カーテンを開けると快晴で太陽の光が部屋に差し込む。換気のために窓を開けると冬の寒さがツンっと鼻に刺さる。
「ほらー、冷めちゃうよー?」
「はーい!」
脱ぎ捨てていたバーカーを羽織り、パタパタと音を立て1階へ向かった。
「あら、意外と早かったわね。みすずおはよう。」
「おはよう、お母さん。今日は韓ドラがあるからね!」
軽く挨拶を済ませ、1番テレビがよく見える特等席に座る。目の前のテーブルには目玉焼きにウインナー、不格好にのりが巻かれたおにぎりがワンプレートになって置いてある。いただきます。と手を合わせおにぎりにかぶりつく。今日の具材は昆布の様だ。
私の優雅な食事をよそにお母さんは忙しなくパタパタと動いている。
「みすず、お母さんパートに行ってくるね、一人で大丈夫そう?」
「うん!」
お母さんはいつもこの時間にパートに出かける。そんな母をよそ目にウキウキしながらボイルされたウインナーに手を伸ばす。
「あ!今日お父さん出張から帰ってくるから。久しぶりに全員揃うし、夜、大事な話があるの。」
____ガチャン……
手が震え、持っていたお箸が落ちる。ついに、ついに来てしまった、この時が。
「じゃあ、いってきまーす!」
そんな私の様子に気付かずお母さんは能天気にパートへ出かけて行った。
「「1月15日木曜日10時になりました!今日の韓ドラは_____」」
そう。今日は平日。学生は学校へ行き多くの社会人はお仕事へ行くだろう。私、小森美鈴はというと、絶賛引きこもり中だった。
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