ちょこれーと解答論

甘噛すもも

プロローグ

ふわふわと心地のいい風が吹いていた。ここはどこだろうと当たりを見回しても田んぼや草花が広がるばかりでまるで見当がつかない。


足元に目をやるとまだまだ小さなつくしが生えている。どうやらこれから春が始まるところのようだ。つくしにはたんぽぽの花が摘まれちょこんと置いてある。ふと、顔を上げるとそのたんぽぽは一定間隔でまるでこちらを誘い込んでいるかのように置かれていた。


気になり、足を向けると小さな女の子がしゃがんでいた。


「……?」


女の子に近づこうとするが全く距離が進まない。


「……ちゃん。」


女の子は誰かにそう呼びかける。何故か悲しそうな声をしていた。


「……約束だよ。」


女の子がそう告げた瞬間ぐわんと世界が歪む。意識が遠のく中、女の子が涙を流しているのが微かに見えた。

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