第3話 休憩時間


俺が次々と解説をしていくと、気がつけば4時になっていた。

「っんぁ〜結構やったね」

菜緒は伸びをするとそのままソファにもたれかかった。

「よしっそろそろおやつにするか」

「やった〜!!」

ソファからシャキっと起き上がって、拳を突き上げる菜緒。

「子供かっ」

俺が半笑いすると菜緒は唇を突き出して

「そうですぅ〜まだ子供ですぅ〜」

と言った。

「はい、菜緒が持ってきたお菓子といつものオレンジジュース」

「あ〜!!めっちゃ飲みたかった!これ美味しいんだよね〜!」

「むかしっからほんとに好きだよな」

「タマエさんが出してくれた時、もう一目惚れしちゃって。うん?ジュースだから一口惚れか」

"タマエさん" というのは俺のばあちゃんのことだ。このオレンジジュースはばあちゃんのイチオシで俺も小さい頃からよく飲んでいた。

「う〜ん!!おいし〜!」

菜緒が美味しそうにオレンジジュースを飲むたびに、俺はばあちゃんがいた頃を思い出す。

「な、うまいな」

俺がほのぼのしていると、菜緒は頬を膨らませて

「子供扱いしてるでしょ」

と言った。

「いやしてねぇよ」

「え〜?ほんとに〜?」

「ホントに」

首を傾げた菜緒は、何かを思い出したように、ペットボトルをがしっと掴み、

「ま、飲みますか」

と言って、自分のコップにジュースを注いだ。結局、休憩と言いながらサラリーマンの飲み会のほどに会話が進み、気づけば5時になっていた。

「あ、もう5時じゃん。そろそろ家帰って夕飯作らなきゃ…」

菜緒は散らばったゴミを片付け始めた。

「…食べてく?」

「え、いや、悪いよ」

「いいからいいから、食べてって」

「…じゃあお言葉に甘えて。ちょっと親に連絡してくるねー」

菜緒が立ち上がり部屋を出ると、俺はキッチンに向かった。

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