第4話 起動
僕はコックピットに飛び乗った。
さっき彼が言っていた通り、四肢と体をセットするカバーのようなものがある。
それに体をセットして、機体を動かそうとしてみる。
「動け、、動け!」
願いが伝わったのか、コックピットが光に照らされ、明るくなった。その途端、肉体と精神の両方が、このロボットに接続したかのような感触に襲われた。
「体が繋がっていくような...動くのか?」
先ず、腕を動かそうとしてみた。強く念じ、コントロールカバーも連動して自分の腕も動く。
するとうつ伏せになっている状態から、右手を真上に挙げることが出来た。
「行ける!この調子なら…」
次に足を稼動させる。右脚の膝を曲げ、両手を地面に着く。
その後左脚も曲げたあと、身体全体に、一気に力を入れる。
「くっ、...はぁ、はぁ、」
息が切れる。本当に自分が運動しているようだ。
やがて身体が起き上がってきた。高さが低いこの地下空間の天井に達して、ガラガラと壁を破壊していく。
「うぉぉぁぁぁぁ!」
一気に立ち上がろうとした。天井が崩壊し、土壌が次々と地下空間に流れ込んできた。
この機体の頭部も、徐々に上昇して、ついに地上へとたどり着いた。
「光が!地上だ!あと少し、あと少しだ!」
脚部に力を入れ、埋もれていた両足を出した。
「た...立った...。」
怪獣が炎を吹き、灰と瓦礫と化した建物の残骸の上に、アルレシオンは直立した。
「凄い眺めだ…」と僕は呟いた。この機体の中でも、頭部からの景色が見える。凄く高い。この機体の高さ、500メートルからの壮観だ。
凄い眺め、とは別の意味の方が大きい。街が、灰と瓦礫と化している。あれだけのビル群や建物が、真っ黒な残骸になって一面に広がっていた。
僕ははっと我に返った。この惨状を引き起こした怪物はどこにいるんだろう、と。
その時、急にズシン、ズシンという轟音が聞こえて来た。間違いない。
僕は機体を何とか動かして、反対向きに向けた。
「わっっ!怪獣だ!」
数百メートル先に、奴はいた。
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