第4話
♢
「ぁ………に…うえ……」
「……久しいな、アシュラ。」
次代の王と噂されるほどの威厳を持つ、ホッドウ王国第二王子、ジェルド・ホッドウ。
その美しい色の髪は、アシュラと同じ赤色をしており、彼らの母、王妃から継いだ金色の瞳は、鷹の目のように鋭くなっている。
自分の婚約者がとられそうになっているのである、不機嫌になって当然だ。
「………ガイル・スルグリット、アラシュ・ゴッドン、ハイガス・ニュパス。」
「………!?」
ジェルドは、いきなり何人かの生徒の名を挙げる。呼ばれた生徒たちは、目を見開いていく。
「………フルガス・エルルス、マカセル・エルルス、モーデット・アスラス。」
呼ばれた中でも、気が弱いことで有名なマカセル・エルルスが顔を青くし、ふらりとよろめく。
「……兄上? 先程から私の友人の名を挙げてどうしたのです?」
アシュラが馬鹿正直に言う。
それには答えず、ただ一言だけ。『
その瞬間、アシュラから黒い煙が出る。
「……なに!?」
「……なぜ、アレが…っ!」
ジェルドに呼ばれた者達がいたところから声がかすかにする。
「なんですの!?」
「お、おおち、おちついて…お、おち、ついて、くださいっ。」
「……貴方の方が落ち着いた方がよろしくてよ?」
そんな混乱した声が周りから出る。
「…もやが、晴れて、いく……?」
呆然としているアシュラの声も、響いていく。
「……ひどいっ……!」
「……ここまで、とはな……。」
カラメルとジェルドのいる方から声がする。煙が充満しているため、周りがよく見えなくなっており、広間はますます騒然としていく。
「静まってください。」
けっして大きくない、ただの一言。
だが、その声には不思議と人を惹きつける響きがあった。
そして、その声が聞こえてきた方から、煙が徐々に晴れていく。
混乱が収まり、あの声が聞こえてきた方へと人々が視線を向ける。
そこには―――
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