第5話 人生初の「出向」

人生で初めて、「出向」という経験を今、僕はしている。

親会社から子会社へ、会社の籍を一定期間移し、別の会社の人間になる。

ということで、関東から非関東へ来ている訳だが、なかなか悪くない。


地方での暮らしは、車がないととてもじゃないけど、生活できない。

車の準備にはそこそこ出費が発生したが、車生活は思いの外楽しいものだ。

関東に比べてお店の数や一つ一つのお店の距離が離れているところは、面倒だが、車があれば許される。それに、息抜きにもなる。


子会社に初出勤した時のことを半年たった今でも覚えている。

あのなんとも言えぬ気持ち。完全なここの社員ではない、周りからもちょっと違う視線や空気を感じ取れる。


僕が出向するに至った経緯、それは海外で仕事をする機会がここの子会社にはある、という理由からだった。年収は総じてダウンするが、それはここでまた頑張って上げてけばいいから、そんなに問題じゃない。

よく海外で働きたい理由は何?

こんなことを聞かれる。海外で働きたい理由、それは、自分の仕事、働き方が世界でも通用するのかチャレンジしたいからだ。そして、父親を始めとして、家族や親戚が国外で仕事をすることが多く、僕が幼い頃には、よく旅行で滞在させてもらったり現地を案内してもらった体験の積み重ねも多分に影響を受けているのだろう。海外に抵抗感が全くなく、自分自身もその仲間入りをしたい、そんなところだ。


一度きりの人生だ、いろいろなことに挑戦して、いろんな成功や失敗を経験して、この世を離れようじゃないか。僕は、そんな気持ちで今日も生きる。

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