予想外の新入り。
帰還してから休息を入れて三日後、予定通りのメンバーでメインパークを出発した俺達。
もう二度目の出発なので大した見送りもなく、俺もちょっと旅行に行ってくるくらいのノリで外に出た。
今回はトレーラーは使わずに最初から全員で白虎を呼び出して騎乗、疾走している。
仲間が増えた気でもするのか、ネコが心做しか上機嫌だった。
チカちゃんと交代する猫はベテランのシマと新入りのクニオを連れて来た。シマはチカちゃんと面識有るし、交代もスムーズに行くだろう。
本当は護衛を用意したかったんだが、フリル経由でチカちゃんから要らないと強めに言われてるので諦めた。
金のイノシシや八咫烏みたいなイレギュラーもあるから、ソロ活動は止めて欲しいんだけどなぁ。
そんなこんな、全員で駆け抜けてあっという間に再びのコストロ。
辿り着いた俺達を、と言うか俺を出迎えてくれたのはめちゃくちゃ激おこのユキナだった。
「おう、どうしたユキナ」
「なんで、かえっちゃったの!」
確かに見掛けないなと思ったのだが、居ないんだら別にいいやと気にしてなかった俺。
だが話を聞くと、帰ってきた俺を歓待する為にめちゃくちゃ頑張ってオシャレをしていたらしい。めちゃくちゃ時間をかけて。
このご時世、ちょっと可愛い服を、ちょっと可愛いアクセサリーを用意するだけでも大変だ。下手したら一から縫ったりする必要さえある。
そうやって時間をかけて準備して、そしていざ準備万端と出て来て見れば、ゴルドとチカちゃんを残して俺は帰ってしまってる。
ユキナはブチ切れたらしい。
「いや知らんがな………」
待ってて欲しいとか言われてないもん。
確かに慌ただしいスケジュールだった事は認めるけど。でもユキナがオシャレ中だとか俺聞いてないもん。怒られるのは筋違いだろ。
「そんなのしらないもんっ! やまとくんはユキナのカレシでしょ!」
まぁ理路整然とチビッ子に語っても仕方ないよな。だって訳わかんない事言ってるもん。カレシってなんやねんな。
俺は適当にごめんなーって謝りながらユキナを抱っこして頭を撫でてやる。するとニヘニヘ笑って機嫌が直る。お子様ちょっろ!
「ユキナもたびについてくからね!」
「おいそれは待て」
待てないらしい。コストロの大人達にそれで良いのかと聞けば、どっちにしろオレのそばが一番安全だし一番快適だから、なんならうちの子供も預けたいとか言われた。
俺は託児所じゃねぇぞ! 世紀末トレーダー様だ! 飽きちゃったけど!
せっかくトレーダーハウスをゲットしたのに飽きて飛び出したバカをトレーダーって言って良いのかな。ちょっと自信無くなってきた。
「ぜったいについていくもん!」
「…………あれ、お兄ちゃんまわりが全員女の子だね?」
「あれ、確かに。これってつまりハーレムか?」
「猫と虎と少女と幼女のハーレムですね」
「待つにゃ。ゴルドの事忘れてるしアイツ確かオスにゃ?」
「ゴルドくん! 男同士仲良くしようぜ!」
なんかカオスになったが、交代要員をコストロに置いてチカちゃんをメインパークに送り出し、パーティを編成して準備完了。
「すぐに出ます?」
「いや、一日くらい休もうか。別に急いで無いし」
◆
後日、旅の準備が終わった俺達はコストロから出発した。
メンバーは俺、フリル、ミルク、アキナ、ネコ、ゴルド、ユキナの七名。
ユキナにはある程度の魔石は与えて戦える異能を身に付けさせたが、まぁアキナと同じで自衛が出来れば良いだろう。
今まではトレーラーを上手く使ったり、ミルクや俺が運ぶ事でアキナを運搬していたのだが、ネコが仲間に戻ってきたのでアキナの白虎役になってもらう。
ユキナは小さいのでゴルドに乗せる。鞍っぽい物は付けてあるので落ちないだろう。速度も出てないし。
目的地は特にないが、取り敢えずもう一度だけ東京都に向かって食べ残しを潰してこようって事になった。そう、上野動物園だ。
あそこに僅かばかり居る食べ残しをきっちり潰した後、スカイツリー辺りにでも行こうか。確か押上にも水族館があったはずなので、もしかしたら鴨川並の魔境になってるかも知れない。
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