エレクトリカル。
エレクトリカル。八咫烏から手に入れた金魔石に名付けた異能である。
言葉としては電気を扱う〜、電気を使った〜、と言う意味の枕に添えられるものであり、能力的にもピッタリな気がする。
エレクトリカルなパレードはつまり「電気を使ったパレードだよ」って事だから。言葉単品を異能に与えて、「電気を使う〜」の先に自分を添える感じ?
まぁ名前を付けた理由とか長々説明するのはこの世でトップクラスに寒い事だから程々にしよう。
とにかく、俺達は八咫烏を倒してエレクトリカルを手に入れた。
「で、誰が使う? やっぱフリル?」
「ミルクが文句無いなら、ヤマトが使うと良いにゃ」
「…………えっ!? 俺ッ!?」
相変わらず広々とした駐車場にて話し合う俺達。潰しまくった魔犬の死骸が大量に転がってて血なまぐさいけど、このご時世って大体どこも似た様な感じだから、もう良いかなって開き直ってる俺達だ。
「良いのか? だって、今までこう言う異能っぽい異能は……」
「忘れたにゃ? それ単に運でそうなっただけにゃ。元々は交互に魔石使おうって約束だったにゃ」
そう言えばそうだった。
仲間が増えて、魔石の処遇に色々と考えを巡らせる必要が出て来て忘れてたけど、俺とフリルは元々魔石を交互に分け合ってたんだった。
「…………あれ? でも金猪は俺が貰ったし、どっちにしろフリルの番じゃね?」
「んにゃ、ヤマト忘れてるかもしれにゃいけど、もう一匹居たにゃ?」
「ボス、これのこと〜?」
俺が首を捻ってるところ、チカちゃんがエネミーを引きずって来た。
そうだった、敵ガルムの存在を忘れとった。
「チカはこれ要らんよにゃ?」
「うん、要らな〜い。統率とかしたくな〜い」
そう言う事らしい。
フリルが統率系の異能を貰うから、
「ミルクは?」
「ん? ミルクはだいじょーぶ」
「…………そうか。ミルク砲あるもんな」
「ねぇお兄ちゃんホントに怒るよッ!?」
どうしてもミルク砲の呼び方が嫌らしい。可愛いのにな。
さて、そんな訳でエレクトリカルを貰える事になった。言うまでもなく超強い異能であり、電気って時点でその汎用性は計り知れない。
なにせ、人類の進化は電気と共にあったと言っても過言じゃないのだから。
「ヤマトは最近、どうにも防御寄りだからにゃ。ここらで一気に火力上げといても良いと思うにゃ」
とは言うが、エレクトリカルが無くてもぶっちゃけ俺らって結構な火力じゃないか?
正直、自衛隊のライフルを撃ち放題ってだけでも一般人からするとふざけんじゃねぇって感じだろう。そこにパイロキネシスやクリアコントロールが混ざったら悪夢みたいなもんだぜ。
エレクトリカル? もう完全なオーバーキルだろ。
「まぁ、くれると言うなら貰いますが」
候補者が全員譲ってくれるので、オーバーキル気味な火力に更なる火力を足すことに。
八咫烏を解体して魔石を取り出し、水で洗って飲み込む。
酒精のキツい酒を煽った様な感覚が喉から胃に向かって落ちて行き、しばらくすると落ち着いた。フリルのサイコドライブみたいにはならなかったから、八咫烏が持っていたレア異能はエレクトリカルだけだったのだろう。
「と言うか、あの鳥さんはエレクトリカルの使い方が下手過ぎたな。手に入れて分かったけど、この異能ヤバいぞ」
魔石によって使い方を理解させられる感覚の先、自分の知識と複合して発展していく能力の上限。それを確認すると、この異能がどれだけの殺傷能力があるのかよく分かる。
「これ、大した魔力使わないで一撃必殺が出来ちまうぞ」
多分、この使い方をされてたら俺達全員が余裕で死んでたと思うくらいには凶悪な異能だ。
まぁ、それもある程度の知識を持った人間が使ってこそと言う縛りはあるのだが。
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