プラモデル。
結局、進化モンスターを目当てに周辺を探した俺達だが、目標を見付ける事は叶わなかった。
ウザったい程に出て来るレイダーを処理しながら物資探索もしたが、増えたレイダーが先に持って行ってるのかめぼしい物も無かった。マジで害悪だなレイダー。
レイダーの中にグールも居るのかと思えば、思ったよりも居ない。三桁に届きそうな人数を殺して、やっと一人だけ見付けた程度だ。
「まぁしかし、オモチャの
そんな探索だったが、成果ゼロは癪なのでデパートまで足を伸ばして玩具類を回収して来た。
コストロのちびっ子にばら撒くのが目的だが、プラモデルなんかは大人でも楽しめるからな。この殺伐とした世界ではちょっとした娯楽はとても大事である。
「これ! おにいちゃん好きだったのこれ!」
「だろ? やっぱそうだよな」
そんなこんな、俺はライガーゼ○のプラモデルをミルクと一緒に組み立ててた。
コストロに帰って来て物資の販売なども終わって、食事をして体も清めた後の時間。
「実物が有ればもっと精密に異能が使えるだろ?」
「おにーちゃんありがとうっ!」
ミルクにぎゅっと抱き着かれながら、俺達はプラモをパチパチと組んでいく。最近のプラモってすげぇな、こんな風になってるのかよ…………。
完全に「そこ見えないよね? 必要?」って場所まで再現されてる。ゾ○ドコア再現とかマジかよやるじゃん宝富ぃ。
「ところでヤマトさん、今度はどうするんですか? 目的地には着きましたけど」
俺とミルクがプラモを作ってる後ろで、俺達がコストロで借りてる居住スペースで漫画を読んでたアキナが問う。
そうなんだよな。進化モンスターを確認したいってのは結構マストな課題なんだが、モストな目的としては通貨流通の為の旅であり、その最初に訪れる目的地がこの場所だ。
旅はもちろん続けるが、『どこまで』行くのかは決めてないのであやふやだし、この距離なら一度メインパークに帰るのもアリだ。
このまま旅を続けるか、一度帰るかだけでも悩ましいのに、更に進化モンスターの情報と減らないレイダーの事もある。そりゃ「どうするんですか?」と聞かれもする。
「そうだなぁ。…………取り敢えず、進化モンスターの確認を最優先タスクにする。タスク完了までにメインパークからの情報を確かめつつ、一度帰るか否かを決定したいと思う」
「良いと思うにゃ」
「チカもわかった〜」
「つまり、進化モンスターの確認をタイムリミットとして、それまで悩むってことですね?」
「身も蓋もない言い方をするとそう」
ライガーのプラモを完成させながらアキナへ
今どきのプラモって結構難しくて、作り始めてもう一時間は過ぎてる。そうしてやっと完成した物をミルクが楽しそうに動かしてる。
時折、プラモを見ながら氷でも同じ物を生み出して操作して練度を上げてる様子を見ると、こんな時まで異能磨きをしてるのは本当に脱帽する思いだ。
氷の虎……、いや虎じゃないんだけど
ミルクは白虎とプラモを見比べて差異が有れば都度修正を繰り返し、段々と実物に近づけていく。うーん、近付けば近付くほど虎から離れてく白虎…………。
「ミルク。どうせなら、お空の上にいるお兄ちゃんにも自慢出来るくらいカッコ良いオリジナルを作ったらどうだ? ほら、モデルなら沢山居るし、一緒に作ろうぜ」
「…………おりじなる! かっこいいの作る!」
俺はさりげなく虎型の機体をオススメしつつ、ミルクを軽く誘導した。滅んだ世界で著作権も何もないと思うが、アイツら常軌を逸した取り立てを行う可能性が有るからな。
ミルクの白虎はパクりじゃなくてリスペクトかオマージュ止まりのオリジナルデザインを頑張って貰いたい。
◇
「…………コレどうすんにゃ? 何か申し開きあるにゃ?」
「……正直、すまんかったと思ってる」
翌日、朝食を食べた俺はコストロの駐車場に来た。ちなみに屋外駐車場じゃなくて屋内駐車場の方だ。
そんな俺の目の前に、ティラノ型の氷像に乗って動かしてるミルクが居た。
ちなみにさっきまでは新型の白虎に乗ってたし、この後にはトリケラトプス型も試しそうだ。
オリジナルを作ろうぜって提案した俺のせいで、ミルクが百獣の王みたいになってるんだけど。
俺はもしかして、取り返しのつかない事をしてしまったんじゃ無いのか……?
「はどー砲、はっしゃ……!」
駐車場の外に向けて、ミルクが跨るティラノが口を開けて砲撃する。
アニメで見た
原理は、単純にティラノの口の中に氷のバレルを仕込み、その中に氷の砲弾を用意して、その砲弾をサイコキネシスで止める。
その砲弾をクリコンで撃ち出そうとすると、サイコキネシスと干渉して発射できず、だが発射する為のエネルギーは溜まる。
要はデコピンだな。
「あの方法は良いにゃぁ。フリルも真似するにゃ」
「ミルクが、どんどん戦闘民族に……」
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