コストロIN。
「やぁ、久しぶり」
「ヤマトさん! お元気そうですねっ!」
相変わらず戦争してたコストロに乗り込み、駐車場に乗り込んだ俺達。
出迎えてくれたのは元自衛官でコストロの戦闘部隊長みたいな地位に居るサナダ隊長だった。
「なんか襲われてたみたいだけど、どうしたの? 異能を手に入れた皆だったらあんなの楽勝じゃない?」
「それが……」
さっそく事情を聞くと、どうやらアイツらはコストロを包囲してるレイダーグループの一つでしか無いらしい。
ちょうど俺達が旅立った後くらいから少しずつレイダーが現れるようになり、潰しても潰しても新しく湧いて来るようになって、最終的には潰して回るのは弾薬の無駄って事で、防衛に戦力を割いてたそうだ。
まぁ敵が減らないなら弾が勿体無いよなぁ。
「しかも、施設周辺の魔物はレイダー共が邪魔だからと追い払ったり殺したりで、魔石が集めた難くなりました」
「あー、そっか。魔石の存在を知らない奴に魔物を取られて死体を処分されると、魔石が回収出来ないもんな」
摂取しててくれたなら、最悪は持ち主を殺せば良い。けど摂取もせずに捨ててしまう場合は本当に困る。
魔物の数はそのまま魔石の総数と言っても良い。それを無駄に処分とか、ある意味では人類の損失と言っても過言じゃない。
魔石は人類が魔物に対抗する為の有効な手段だ。そしてその魔石の入手と数は、魔物の数とイコールだ。それを素人に持って行かれちゃ叶わない。
しかし、レイダー達に取られたくないからと割り込んだりするのも無理だ。目の前で魔石にご執心な様子を見せたら、異能の取得法を悟らせてはならない。
もしバレたら、外に山ほど居るレイダーが全員異能で武装する可能性もある。
コストロ勢がレイダーの襲撃を退け続けてるのは、豊富な物資に武器弾薬、そして異能のお陰だ。
その利点のうち、大きな割合を閉める異能がレイダーにバレるのは普通に死活問題もなる。
だって、コストロの外にアリの如くうじゃうじゃと居るレイダーが全員異能を使えた場合、コストロ勢は確実に被害を受ける。死人も出るだろう。
「なるほどねぇ」
だから大っぴらに魔物を狩れなくっなったし、戦力も増やせなかった。
「他にも色々と有りましたが、まぁその辺の事は後で詳しく教えますよ。今は中へどうぞ。皆待ってますよ」
「ありがとう。ああ、後ろのご家族も良いかな? 途中で保護したんだ」
「もちろん構いませんよ」
全員車から降りてコストロへ。新しいコストロは駐車場の外周まで壁を建築してて駐車場内は比較的安全だった。
そのままサナダ隊長に案内されてコストロに入ると、かなり物資を減らしたが前よりも明るい顔が目立つコストロ避難所がそこにあった。
「元気そうだな」
「お陰様で」
サナダ隊長はそう言うが、おそらくお世辞では無いんだろう。事実、俺が増やした物資は大きな意味があっただろうし。
途中、俺の存在が避難民にバレて「ネコちゃんは!? ネコちゃんはどこ!?」「ヤマトさんっ! 御神体はどこですかっ!?」なんて、老いも若きも大騒ぎだった。
別の避難所で暮らしてると言えば半分以上の人間が崩れ落ちてるのヤバすぎだろ。
やっぱ宗教は心の支えになるんだろうな。
「次は連れて来るから」
「絶対ですよ!?」
宗教こわっ……。
俺はコストロでのネコ人気を再認識しつつ、ネコはネコとして俺も結構人気だったからチビに纏わりつかれながら先を進む。
「ちなみにサナダさん、どこへ向かってるの?」
「もちろんヨシダ館長のところですよ」
ああ、館長か。あの人も元気かね。レイダーに囲まれて過ごすのはストレスだと思うが…………。
でも見る限りは皆、表情が明るいんだよな。言うほどレイダー達に困って無いのだろうか?
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