計画を発表。
結局、タクマの閃きで俺は施設から出れる事になった。
とは言っても、明日すぐに旅立つって訳じゃない。
あの後、チラホラと話しを聞いてた施設のサバイバーも集めて今後の方針を食堂で話す。
改めて此処の施設をメインパークと名付け、メインパークのショップにルリを店長として添える事を発表。
そして、もう既に十個以上売れちゃって元手回収し切った唐揚げ弁当の作者、サオリさんと言うのだが、サオリをまた別途店員として雇う事に。
お弁当さ、週に二個しか売れないのなんとかしてって相談を受けてたから、サオリをお弁当屋の店長として起用。そして専門のお猫様としてニアを付けて、食堂にて販売させる事に。
システムとしては、売り込まれた弁当を一旦ニアが共有インベントリに保管。その日の終わりにタクマ考案の手紙転送システムと共に俺が確認して、規定の数複製してフリルに収納してもらう。
そしてら次の日以降にサオリとルリが実食、採点して買取の値段を算出してお金を払うって感じになった。
在庫管理については毎日二人の店長が手紙転送システムで俺にメールを出して、それを読んだ俺がメールに書かれた通りに在庫を複製して戻す。
これによって過不足無くお弁当やその他の物資を維持出来る。
一応、複製する時には僅かな時間でもインベントリの外に出さなくちゃいけないから、お弁当などの足が早い商品はそれ一個で無限に増やせる訳じゃない。最初から大量に複製しておくとインベントリを圧迫するからな。
しかし、そういう時はまた新しく同じお弁当を製作者に作って貰えば良いのだ。作れる奴がそこに居るんだから使わない手は無い。
そして、お弁当を無限に買い取っちゃう問題に関しては、なんかお弁当コンテストみたいなのを開くとか、単純にサオリが管理するとか、方法はサオリ店長に任せる。俺はもう知らん。
「なるほどねぇ。確かに此処以外の避難所やサバイバーが物資を買いたいと行ってきても、サバイブが無いんじゃどうしようも無いからねぇ」
「そういう事なんですよ。だから外に活動の根を張りに行くわけです」
そしてそして、地味に大事なのは『俺が外に行く大義名分』だ。
流石に「飽きたしつまんないので遊びに行きます!」じゃダメなんだよ。俺、自分で此処のリーダーにしろって言ってやって来たんだから。
なので、表向きのそれっぽい理由として「施設の外にもサバイブを流通させる」って名分を用意した。
俺はサバイブで物資を売ってるし、流石にこの先もずっと此処のメンバーだけを相手にするのも健全じゃないし、その内なにかしらダレる可能性もある。
だから、外のサバイバーも此処で買い物が出来る様に、サバイブを流通させるための活動をしてくるって名目で俺は外に行くのだ。
外で魔石の存在を教えて回り、魔石や物資を買い取ってサバイブを払い、そのサバイブで相手が欲しがる物資を売る。これを繰り返し、周辺のサバイバーがみんなサバイブを所持してる様な環境作りをする訳だ。
場合によっては、幕張のコストロとか、
流石に、日本中のサバイバーに「鴨川へ来い」とか言えないしな。
そんな計画を発表すると、俺の本心を知らない人達は「そんな、日本全部を救う気なのか……?」「高尚すぎる……」「彼が此処に来てくれたのは有史以来の僥倖だったな」とか言われて、俺の株が爆上がりした。
ご、ごめんな……! 外へ遊びに行きたいだけのチャランポランがリーダーでごめんなっ。英雄みたいなツラしてごめんなっ……!
そんな感じで会合が終わり、しかしもう一度言うがすぐ旅立つ訳じゃない。
まず足の用意。移動式物資トレーダーショップに出来る車を用意する事が第一。
そしてその改造に使う物資の用意。鉄板とか集めて装甲増やしたりとかな。
あとは、俺の計画とはちょっとズレるけど、パソコンや印刷機、デジカメ、インク、印刷用紙などが欲しいとサオリから言われてる。これもクエストに出して用意したい。
なんか、お弁当を買う時のメニューが作りたいそうだ。お弁当買うのに写真が無いと辛いからって。そりゃそうだ。
実物をインベントリから出して選ばせると随時劣化するから、写真で選んで貰えるならその方が良い。これは俺が気付くべきだった。
あとは…………、
「それと、ショップ店長はルリに、弁当屋店長はサオリさんに任せるけど、施設の副長みたいな存在も決めたいんだが…………」
そう、俺が居ない間のトップが居ない。それはそれで問題なので、決めたいんだが、それも問題がある。
「その、ネコに任せたいんだが……」
とても困った事に、武力的にトップじゃないとこのご時世、辛いものがある。そして俺とフリルが居ない間の最大戦力って、ネコとミケちゃんとチカちゃんなんだよな。
例えば他所からサバイバーが新しく避難してきたとして、そいつがトラブルを起こした時に、他所から来た奴も、こっち側の奴も、同時に捻れる様な奴じゃないとトップに収まれない。
武力に折れちゃうトップじゃダメだからだ。そんなのガラの悪いサバイバーが住み着いた時に全部そいつの言いなりになってしまうし、あまりにも酷い場合は追い出したりも出来ない。
そのために強い奴を頭に置きたいんだが、それがネコ達なんだよな…………。
ちなみに、ネコは旅に着いてこないらしい。虎は元々森林に居た生き物だし、旅について行ってコンクリートジャングルを歩くより、森でキョンやイノシシを狩ってる方が幸せらしい。
ただ、此処まで連れて来てくれた事にはめっちゃ感謝してるらしく、何か困った事があったら駆け付けると言って、俺に頭をグシグシ擦り付けて親愛を示してくれた。ああ、会話はフリル経由です。
「副長と言うか、施設長代理って感じでネコを据えて、施設長代理補佐としてミケちゃんを付ける。それで、そのやり取りを人間と繋ぐ役目をヨシオに任せたい」
「…………ええと、反対意見が無いなら、頑張らせて貰うよ」
反対意見は無かったので決まった。
「ネコ、頼むな」
「ぐるるっ……♪︎」
この施設でも確かな人気と信頼を稼ぎつつあるネコがトップに着くことを、ビックリするくらい誰も反対しなかった。
も、もしかして、俺が帰って来らまたネコ教とか生まれてないよな? コストロの連中と教義が違うって言って宗教戦争とか起きないよな? 大丈夫だよな? な?
物凄く心配になるが、任せられるのがネコとミケちゃんなんだ。
ああ、チカちゃんは俺に着いてくるってさ。ミケちゃんとコンビだったから、此処で別れるとは思ってなかったけど。
しかし、アレだな。俺の方には俺、フリル、ミルク、メグミ、チカちゃんと、メンバーがつよつよだな。戦争でもする気か?
「そんじゃぁ、まぁ、そんな感じで! 解散!」
会合はそうして終わり、その後は皆で唐揚げ弁当を食べた。めっちゃ売れるぅぅぅう!
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