ご相談。
素敵な本拠点を手に入れた。
ゴルフ場を改造すれば広域に畑が作れそうで、水場も近く、何より俺の店が有る。
そして、狩猟してキョン肉を手に入れながら、生鮮も楽しみつつ暮らすって目標も少し形を変えて実現した。だってお肉欲しかったらクエスト出せば良いんだもん。俺が行く必要ねぇ。
て言うか狩りだったら魔物を相手に
ソーラーパネルやガソリン発電機などの回収クエストも出して、施設の電気設備も徐々に回復してる。ガソリンは俺が複製すれば良いしな。
広いゴルフ場をぐるっと囲んで塀を作る工事も順調だ。異能で補助してるからなのか、工期がどんどん前倒しになってる。
あとはもう、適宜クエストを回すだけで此処は破綻しないだろう。
…………………………つまんねぇな。
いや、良い事なんだよ? 当たり前に良い事だ。この終わった国で小さなコミュニティが安全に、快適に、末永く運営されて行くんだ。こんなに素晴らしい事は無い。
これに文句を言うなら、
しかし、しかしだよ。まだ畑も出来てなくて野菜が貴重だ。これでは真のスローライフとは呼べないのでは無いか!?
とか何とか言って、俺は外出する機会を伺ってる。そろそろ店番もネコチャーン達に任せて良いだろ。サポートに店番雇って、バイト代出せば良いはずだ。
「というわけで、案を求む」
「はぁ……」
「え、おじちゃんまた旅するの!? ミルクもいくー!」
「ねぇお父さん、メグも一緒に行って良い?」
「んー、此処は我慢しなさいって言うところなんだろうけど、メグはもう充分強いし、ヤマトさんのそばが一番安全だしなぁ」
俺はパーティメンバーだったヨシオ達が揃ってる時に相談を持ち掛けた。あ、唐揚げ弁当毎度あり。へへへ、もう今日四つ目だぜ。売れるねぇこの弁当。
「だったら、移動式トレーダーでもやれば良いのでは? ほら、落ち着いたらコストロにまた顔を出すって言ってたじゃ無いですか」
「あー、そうな! そう言えばそうだった!」
「それに、この施設って言っちゃ悪いですけど、猫部隊の誰かと、クエストを管理出来る誰か、それと豊富なザバイブさえ有れば勝手に回りますよね? もうヤマトさん要らないのでは?」
タクマの案が一発目から良い感じだ。しかし要らない奴呼ばわりはムカつくから後でルリに有る事無い事吹き込んどいてやろう。
アキナ経由で!
友達を経由して聞く噂話って、それだけで何となく信憑性感じちゃうからな。
「だったらアレですね、トレーダーに使えそうな新しい車の調達も必要でしょう」
「あー、それも良いな。改造出来そうなトラックとかキャンピングカーもか、回収クエストでも出すか」
荷台が店舗になってて物資を売り捌くトラック? おお、世紀末の世界にめちゃくちゃカッコ良いムーヴ出来るやつじゃんそれ!
ヤバい、相談してたらテンション上がってきたわ。
「ホテルに元々居たサバイバー達も、少しずつですけど戦闘職に転向してますしね。此処の安全性なら既に結構なレベルですよ。もうヤマトさんが甲斐甲斐しく世話をする必要も無いです」
それもそうだな。此処に最初から居たサバイバーも、今では後から来たメンツ、と言うか主に俺のパーティとかにオススメの魔石などを質問してからショップで買ってったり、お金を二人か三人くらいでお金を出し合って
売れ線は勿論クリアコントロールだが、エコローロケーションを買って物理で行くタイプも何人か居る。
そして、そうやって準備して外に出て、魔石を持って帰って来るのだ。
クリコン買ったお金も、鴨川でクリコン持ちを狩りまくって売り払えばその内元手を回収出来るからな。
要するに、この施設は戦闘員が多いのだ。多分、周辺にある避難所の殆どと比べてもダントツだろ。
なにせ、魔物から見付からない様に工夫するどころか、自分から魔物を狩りに行くような施設なんだ。層が厚いなんてレベルじゃない。
「ふむ。じゃぁ誰か、俺の店の雇われ店長やりたい人居ない?」
「あ、じゃぁ私やります!」
「おお、ルリか。じゃぁ頼むわ。月給いくら欲しい?」
ルリが立候補してくれたので即採用。正直誰でも良かったんだけど、女の子の方が良いかもな。
この時点でタクマは旅に着いてこないだろ。あとレオも。
「しかしアレだな、連絡手段が無いからなぁ」
こっちで何かトラブった時が怖い。今の鴨川には空飛ぶサメとか居ないけど、もしかしたら海に帰ってるだけかも知れんし、なんならシーワールドとか全く関係無い御新規のサメさんが海から来るかも知れない。
俺、海魚食いたいイエーイって房総半島来たけど、海の生き物が魔物化してるって言う当たり前の事を見落としてたもんな。
いくら此処の戦力が膨大だって言っても、空飛ぶサメはマジでヤバかったからな。俺とフリルが居ないと倒せないだろ。
「え? いや、連絡手段なら有りますよね?」
とかなんとか、俺が悩んでるとタクマがだし抜けにそう言った。
「は? え、電波とか全部死んでるぞ? トランシーバーとかだって……」
「いや、トランシーバーなんて強い奴でも数キロでしょ? そうじゃなくて、猫部隊の共有インベントリに手紙でも入れとけば良いじゃないですか。即応性は低いですけど、一日の終わりとかに確認するようにすれば……」
「それや! タクマおまっ、天才か!?」
完璧じゃねぇか! インベントリの勝ち組力は留まるところを知らないな!?
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