六日目リザルト。
スローター。
そんな言葉がある。
オンラインゲームなんかで使われる言葉だけど、要は一つの狩場で鬼の様な効率で狩りを続ける虐殺行為の事だ。
もしあれが現実で行われるとしたら、その地に生きる一つの種なんてあっと言う間に絶滅するだろう。
俺は何が言いたいか。
つまり、俺とフリルは動物園でスローターした。
「いやぁはっはっはっはっ! 魔石うまぁー!」
「にゃぅっ!」
この動物園で頭を張ってた双頭、金猿と鵺は俺達が殺した。
他のつよつよ魔物は双頭を嫌がって逃げ出してるか、この動物園で殺されてるか。どっちにしろもう強い魔物は残ってなかった。
「にしても、あのペンギンまじぶっ殺」
「にゃぅ? にゃぁ」
「あぁ、まぁ、ぶっ殺した訳なんだけど」
ストレングスやインテリジェンスみたいな基本魔石はそのままで良いけど、その他のレアな魔石と金の魔石は同じように『レア魔石』と呼ぶと混乱する。
なので基本魔石をコモン。その他の紫紺色でレアな魔石をアンコモン。金色の魔石をレアと呼ぶ事にした。
で、動物園でスローター中に見付けたペンギンが居たんだけど、俺達の虐殺っぷりがあまりにも怖かったのか、ガタガタ震えて怯えてたんだ。
怯えて襲って来ないなんて、コイツら魔物じゃなくて精霊か? そう思ってペンギン達は殺さず、他の魔物を狙おうとした俺とフリル。
しかし奴ら、俺が背中を見せた瞬間に襲って来やがった。
もちろん皆殺しにしてやったぜ。そして魔石が超美味かった。
ペンギンは八匹居たんだけど、その内の六匹はクリアコントロールの魔石持ちで、残り二匹はまた金魔石持ちだった。
学習しない俺達はテンションぶち上げで金魔石を摂取して、またのたうち回って異能をゲット。
ペンギン産の金魔石は、クリアコントロールで欲しかった水生成だった。水の覇者と水道を掛けて『アクアロード』と名付けた。
俺もやっと魔法っぽい異能をゲット出来たし、アクアロードは二つあったからフリルと分け合えたし、もうウハウハだ。
「動物園うめぇぇええええ!」
「にゅぅあぁぁあっっ!」
俺もフリルもハイテンション。
最終的に、相当な数の新異能をゲットしたし、既に持ってる異能もいくつか追加で手に入った。
「て言うかアクアロードとクリアコントロールのコンボが楽し過ぎるぅぅ!」
「にゃぅう♪︎」
アクアロードで水を生成して、クリアコントロールで操作して氷の槍にする。それをビュンッ! と飛ばせば、ファンタジーラノベにありがちな『アイスアロー』だ。超楽しい。
赤いペリカンからパイロキネシスも手に入ったから俺も発火能力者に成れたし、フリルもエコーロケーションを手に入れた。
クリアコントロール6。
アクアロード2。
パイロキネシス1。
エコーロケーション3。
エアロメーカー5。
あと念動力っぽい魔石が一つ。これはストレートにサイコキネシスと名付ける。模様は単純な知恵の輪っぽい感じのマーク。
最後に、用途不明な魔石も一つ。模様は猫の目っぽいマークなので、目に関する能力だと思われる。
「これがショックサイトだったら良かったんだけどなぁ」
「にゃぁう」
ショックサイトかと思って、この魔石は俺に譲ってもらったんだけど、ショックサイトは使えなかった。飲んでみても良く分からなかったのだ。
「もしかして、夜目とかなのかな? それはそれで便利だけど」
フリルは猫だし、そもそも俺より夜目が効く。なのでこの魔石を譲ってもらったのは間違いじゃないはず。
「……さて、じゃぁ動物園は狩り尽くしたし、後は外に逃げ出た大物を探して狩りますか」
まだ上野に来たばかり。俺達の狩りはまだ、今日が初日なのだ。
仮拠点作りの最中にやってた狩りなんて、片手間だ。今日から本格的に、この世界で生き残る為の戦いを始めるんだ。
「コモン持ちの雑魚じゃなくて、最低でもアンコモン持ちを狙うぞ」
「にゃぅッ!」
気合いは充分。俺達は壊れた世界でだって、隣に相棒が居るなら楽しめてしまう。
なんなら、ちょっと命懸けの戦いが楽しかったくらいだ。
生存の為に、そして新たな戦いを求めて、俺とフリルは駆け出す。
「さぁ、上野を平らげるぞ…………!」
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