第87話 始末と、外交と、インフラ

 国から、盗賊国の始末を頼まれた。

 俺にやらせるとは考えたな。

 手心を加えるのなら、密通の疑いありと告訴できる。

 俺がやつらを斬り捨てて全滅させれば、それはそれで良いと考えたようだ。


 返答は外交努力してみますだ。


 俺は王国側の要求を持って国境に飛んだ。


「これが王国側の要求だ。俺は命令しないから好きに返答しろよ。ただし、分かっているな。俺の目ざわりになったら容赦なく消す」

「わかってまさぁ。ちゃんちゃらおかしいと王国に言ってやってくれ」

「まあ、そう答えるよな」


 王国の要求は、直ちに解散して、盗賊国に加担した者は全て出頭しろとある。


「そうだ、関税の取り決めについては、話し合う余地があると、付け加えてくれよ」

「どうするんだ。下げるのか? 上げるのか?」

「あんたがよく言っているキブアンドテイクだ。便宜を図ってくれるなら、下げる。ふざけた事をいうなら上げる」

「まあそれも良いだろう」


 俺は盗賊国側の要求を持ち帰った。


「こんなふざけた返答はない。こんなことを頼む為に貴殿を任命したわけじゃない」


 外務大臣に怒られた。


「首にするなら良いですよ。どうぞお好きに。交渉のテーブルにつければ良いですね」

「ぐぬぬ」


 俺を首にすれば交渉は出来ない。

 特使などを送ると皆殺しだろう。


「どうします?」

「貴殿が知恵を出せ」

「あんな未開の地などくれてやれば良いのです。そして交易するんです。関税は対等にして」

「国として認めろというのか。交易するのは良い。奴らが輸出するものなどありはすまい。成り立つわけがない」

「輸出する物がなければこちらは兵糧攻めにすれば、良いのです」


「もっともらしい事を言いおって。貴殿が盗賊どもと仲が良いのは知っておるぞ」

「知恵を出せと言ったから、精一杯したまでです」

「もうよい、下がれ」


 軍隊も駄目。

 話し合いも駄目で、結局俺の言う通りに交易することになった。

 盗賊国の輸入品は武器、日用雑貨、衣類、食料だ。


 輸出品はインフラだ。

 道をつくる事にしたらしい。

 俺は金貨100枚で、道を作るアプリ100個を、奴らに売ってやった。

 もちろんツケでだが。


 道を作るアプリこんなだ。


extern int mclose(MAGIC *mp);

extern int tax_collection(int money);

extern MAGIC *stone_road_make(float mana);


void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法の情報定義*/


 if(tax_collection(1)==1){ /*税金徴収、銅貨1枚 金が無ければ、何も起こらない*/

  mp=stone_road_make(0.00025); /*4メートル幅10センチの石の道作成*/

  mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

 }

}


 改良の余地はあるが、そういうフィードバックはおいおいだ。

 王国の道は舗装し始められた。

 元盗賊の手によって。

 補修の仕事は無くならないから奴らの収入はなくならない。


 俺は盗賊国を土建会社にしてやった。

 今後は建物の解体や、建築も受ける予定だ。


 盗賊国が豊かになったのが面白くないのだろう。

 貴族派が軍を編制して、討伐に向かったかが、全滅。

 兵士は奴隷化されて、新たに盗賊国に加わった。


「盗賊国は脅威だ。なんとか取り除けないか」


 外務大臣がこう言ってきた。


「出来ませんね。国と認めたからには、付き合っていくしかないでしょう。国軍が負けた時点でどうしようもなかった。違いますか?」

「ぐぬぬ。貴殿の責任だ。貴殿の言う通りにしたのだぞ」

「では平和条約を結びましょう。互いに侵略しないと誓うのです。他の国も参加させれば抑止力は高まります」

「そんな約束は信用できん」


「これを見ても言えますか」


 それは他の国と盗賊国が結んだ平和条約だった。

 うちの国だけが抜けている。


「そんな物を作りやがって。認めんぞ」

「俺がこの条約を作ったんじゃないんだ。盗賊国が作った。それで貴国も入りませんかと俺の所に話が来た。別に俺はどっちでもいい」

「ぐぬぬ。会議にかけさせてもらう」


 平和条約はなった。

 どの国も守るつもりはないだろうがな。

 だが枷にはなる。

 俺は別にどっちに転んでも構わない。

 ただ、荒れ果てた国を乗っ取りたいわけじゃない。

 どうせ盗るなら裕福な国の方が良いだろう。


 盗賊国は盗賊国アーキと名前を変えた。

 ユンボのアプリや、鉄筋コンクリート生成のアプリを作らないとな。

 ああ、忙しい。

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