第82話 暗殺者と、ドライアイスと、死体偽装

 夜中に暗殺者はやってきた。

 暗殺者は口の中まで毒探知されて縛られている。

 驚いた事に女だった。


「穴という穴は調べました。おっとこのぐらいは役得でさぁ。案の定、武器を隠してましたぜ」


 別に非難はしないさ。


「殺せ」

「女に拷問はしたくない。まあ男にしてしまうという手もあるんだが」

「男になれるのか。寝返る。寝返らせてもらう」


 この女暗殺者、男になりたかったらしい。

 まあ、それは本人の好きだからな。


 奴隷化してやった。

 性転換は全て終わってからだ。


「ラウニーには死んでもらう」

「ええ、それしかないわね」


 ラウニーが承諾したところで、ホログラフィのお面を着ける。

 これでラウニーは存在しない。


 後継者に指定されているのは俺だ。

 だが、爵位は継がない。

 ラウニーは行方不明扱いにする。


 死体創造は前にもやったから、モンスターの肉でラウニーの死体を作る。

 それを地下室に安置した。

 ドライアイスで腐るのを予防する。


 ドライアイス生成のアプリを作った。


extern int mclose(MAGIC *mp);

extern int tax_collection(int money);

extern MAGIC *dry_ice_make(float mana);


void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法の情報定義*/


 if(tax_collection(1)==1){ /*税金徴収、銅貨1枚 金が無ければ、何も起こらない*/

  mp=dry_ice_make(0.00005); /*ドライアイス生成、約8リットル*/

  mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

 }

}


 夏場の保存には最適だ。

 ただ、二酸化炭素の注意は必要だが。


extern int tax_collection(int money);

extern int carbon_dioxide_concentration(void);


int main(void)

{


 if(tax_collection(1)==1){ /*税金徴収、銅貨1枚 金が無ければ、何も起こらない*/

  return(carbon_dioxide_concentration()); /*二酸化炭素濃度を測定*/

 }

 return(-1); /*エラー*/

}


 それで二酸化炭素濃度計も作った。


 ドライアイスの処置の必要性は使用人にラウニーの死体を目撃させるため。

 ドライアイスは日に何度も補充しないといけないので、そのうち口の軽い使用人がヘーゼルに漏らすだろう。

 俺が爵位を継がないのは、策略だと思わせる。

 確かにラウニーが死んだ場合は、その事実を伏せて暗躍するのも一手だからだ。


 女暗殺者を呼んだ。


「ラウニーは死んだ。いいな」

「はいよ」

「ヘーゼルの元に帰ったら普通にしとけ。俺を暗殺する依頼がきた時は、この魔法契約の魔道具を使うんだ。いいな」

「分かってるよ」

「じゃあ行け」


 女暗殺者は消えるように去った。

 計画通りだ。


 商売するかね。

 ラウニー商会に行って、ラウニーに書いて貰った書状をみせる。

 俺が商会を牛耳る為だ。

 もっともラウニー商会の大半はラメルの手の者だから、反対意見などは出ない。


「ドライアイスは業務用とする。危険だからな。取り扱わせるのは講習を受けた業者だけだ」

「はい。用途が広いのでちょっと残念ですが」

「じゃあ、氷で我慢しとけ」


 『dry_ice_make』を『ice_make』にしたバージョンを作った。

 一口大のを100個作るバーションも作った。


extern int mclose(MAGIC *mp);

extern int tax_collection(int money);

extern MAGIC *ice_make(float mana);


void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法の情報定義*/

 int i;


 if(tax_collection(1)==1){ /*税金徴収、銅貨1枚 金が無ければ、何も起こらない*/

  for(i=0;i<100;i++){

   mp=ice_make(0.0000001); /*一口大の氷作成*/

   mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

  }

 }

}


 こんな感じだ。


「これなら物凄い売れ行きを見せそうです」

「それとインストーラーを解禁する」

「ああ、あれですか」

「魔道具が不要になるから、ヘーゼルは慌てるぞ」


 なにせ壊れない魔道具だからな。


「最初は怖がりますが、徐々に慣れると思います」


 釣り針は垂らした。

 あとはヘーゼルが掛かるのを待つだけだ。

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