第76話 魚料理と、乾燥機と、商売

 この国の特徴としては、川と沼地が多い。


「今日も魚か」

「ですね」

「ごめんなさい。特産品なのよ」


 ラウニーの取った宿で出た食事は魚の煮物だった。

 このところ毎日だ。

 最初のうちは美味しく食べられていたけど、三度三度続くといい加減飽きる。

 味付けはスパイシーだったりあっさり目だったり、変えてあるが、メインが魚だという事に変わりはない。


 川と沼で獲れた魚は泥臭く煮物が一番美味しいそうだ。

 食事もだが、じめっとした空気も馴染めない。

 まるで毎日が日本の梅雨時期だ。


 日本で慣れていても好んで経験したい事じゃない。

 雨も良く降って、空も晴れない。


 なので湿気取りを作った。


#include <stdio.h>

#include <conio.h>


extern int tax_collection(int money);

extern MAGIC *dehumidifiert(float mana);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 if(tax_collection(1)==1){ /*税金徴収、銅貨貨1枚 金が無ければ、何も起こらない*/

  while(1){

   mp=dehumidifiert(0.01); /*湿気取り*/

   if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/

  }

  mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

 }

}


 試験したところ、いい具合だ。


「この国の人は湿気に慣れているだろうから、あまり売れないかな?」

「そんな事はないと思います。洗濯物とか乾かないで困っている人が多いですから」

「ラメルは流石だな。もう調べたのか」

「洗濯物を部屋に干して、乾燥剤を床下に敷き詰めるのが対策らしいです。乾燥剤は石灰の一種だそうです」


「裕福な家だと、乾燥機を使っているわ。熱風で乾かすのよ」


 ラウニーがそう付け加えた。


「乾燥機の魔道具も売れそうだな。熱風だと熱くなるから、さっきの湿気取りを改良して、空気を送り出すことにしよう」


「商売もいいけど、呑気に商売していると、どのぐらい時間が掛かるか分からないわ」

「とりあえずは、ラウニーに爵位を継いでもらう」

「色んな意味で自殺行為だわ」

「色んな意味を言ってみろよ」

「借金があるの。爵位を継ぐと返さないといけなくなるわ」

「何だそんな事か。【税金オン】」


 貯まっていたアプリの使用料が一斉に入って来る。

 滝の様に硬貨が流れ落ちた。

 奴隷達がそれを拾う。


「凄い」

「時間さえあれば、金はいくらでも入って来る」

「ならなおの事もう一つの気掛かりが。ヘーゼルから殺し屋がきっと来るわ」

「それも平気だ。証明は出来ないが安心しろ。1万人ぐらいで攻めて来られても余裕だ」

「凄い自信ね」


「貴族の税免除の特権がないと商売が上手くいきません。ラウニーさんには是非とも爵位を継いでもらわないと」

「ラメルのいう通りだ。いい商品を売り出しても税金で高くされたら、敵に勝てない」

「分かったわ。真っ当な手段ではどうにもならないわよね」


「そういう事だ。相続の書類は大丈夫か?」

「領主の印もあるし、相続はできると思う。国王様と会って儀式しないといけないけど」

「色々と物入りだろうが、金の事は気にするな」

「ええ」


 俺達はまずこの街の商業ギルドに入った。


「ランタン男爵の借金を肩代わりしたい」


 ランタンはラウニーの生家だ。


「それはそれは」


 職員は借金を払って貰えると知ってホクホク顔だ。


「ラメル商会がランタンの商売を一手に引き受ける。便宜を図ってくれ」

「大商いの予感ですね」

「とりあえず売るのは湿気取りと乾燥機だ」

「ほう、素晴らしい」


「この国には詳しくないのでどんな物が売れるか見当がつかん。何かないか?」

「ありましたら手前どもでも商いしております」

「それもそうか」

「秘訣を申しますと、高額な商品は少数で、安価な商品はたくさん売れる方がよろしいですね」

「なるほどね。魚の匂い取りはどうだ」

「ほう。需要はありそうですね。臭みが取れれば、魚を焼いて食べられます。商業ギルドで取り扱わせて頂きたいですね」

「いいぞ。ラメル商会の支店をこの国の隅々までは作れない。多少利益は減るが仕方ないな」

「先ほどの湿気取りの商品も卸して頂けるので?」

「そう考えている」


 まだ、商品が足りないな。

 照明や生水など基本的なアプリも卸すとして、高額は美容アプリがあるな。

 新たなネタも何か探しておこう。

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