第69話 引っ越しと、横領摘発と、同盟

 王都に引っ越した。

 あの屋敷が空いていたからな。


 さて暗躍するぞ。


「悪い顔をしてますね。悪いパパでちゅねぇ。真似したらいけませんよ」

「悪い事はしないさ。不正を正すだけだ」

「信じていますよ」


 さて、俺は貴族派に賄賂をばら撒いた。

 名目はアプリの輸出で手心を加えてくれだ。

 もちろん効果に期待などしてない。

 接点が持てればそれで良かったのだ。


「どうも、これは些細なお土産です」


 貴族派の貴族の家に金貨のお土産を持っていった。


「頂いておこう」

「進捗はどうですか。手心はなんとかなりそうですか?」


「うむ、ぼちぼちと言ったところだ」

「そろそろ、何か進捗がみられないと、付き合いを考えないといけません」

「貴殿が手を切るというならそれで結構」

「いやいや、もっとお土産をお渡ししようかと思ってます」

「ほう」


 緩む貴族の顔。


「ちょっとした魔法契約に掛かって貰わないといけません。なに、催促は致しません。ただ繋がりを形にしておきたいだけです。いやならお土産の件は白紙です」

「よろしい。魔法契約に掛かりましょう」

「では【魔法契約、繋がり】」


 言わずと知れた奴隷化だ。

 奴隷化の繋がりだ。


「命令だ。魔道具省の事を喋れ。まずは横領している貴族派の貴族だ」

「くそっ、騙したな。何だ口が勝手に」


 横領している貴族の名前が分かった。

 その手口もな。


 裁判官を連れて魔道具省に乗り込む。

 裏帳簿やもろもろを押収。

 片っ端から訴えてやった。

 横領した貴族は有罪に。

 補填やら罰金やらで首が回らなくなった。


 俺は奴隷化した貴族の伝手でその貴族の家に行った。


「お土産です。なあに黄金色のつまらない菓子ですよ」


 お土産の中身をみてほくそ笑む貴族。


「でお話とは?」

「お金を貸したいのですよ。魔法契約には掛かってもらいますが」

「担保は?」

「要りません」

「ぜひ」

「では【魔法契約】。今からお前は俺の奴隷だ」

「騙したな」

「破産しては困るから金は貸してやる。担保なしの無利子だぞ。奴隷化で裏切る事はできないがな」


 ちょろいぞ。

 なんで金を前にするとこうも騙されるのかね。


 そんなこんなで大多数の貴族派の貴族を奴隷化した。

 王族派には手を付けていない。

 同時に2つの敵をやるのは愚策だからな。

 王族派をやる時はまた別な手を考えよう。


 アプリの輸出の関税が安くなった。

 奴隷化した貴族には奴隷化の事は口止めしてある。

 俺が賄賂を払ったり、金を融通した見返りに、関税に手心を加えた事になっている。


 貴族派は盗賊を使ってアプリの強奪を企んだ。

 もちろん奴隷化した貴族から情報は貰っている。


「野郎ども奴隷の刈り入れだ」

「ひゃっはー」


「聞いてないぞ。楽な仕事じゃなかったのか。ぐおっ」


 盗賊がどんどん奴隷になっていく。

 情報が洩れている事に貴族派が気づいた頃には、千人を超える盗賊が捕まっていた。


 労働力ゲットだな。

 例によって、盗賊半数はTSしてカップルにした。


 子供も増えるし良い事だらけだ。


 次なる一手は、貴族派の重鎮を奴隷化したいな。

 だが、これは一筋縄ではいかない。

 分かり易く横領の証拠など残してないからだ。

 どうやっているかと言えば、横領を行っている下っ端貴族から吸い上げているのだ。

 寄付だから、横領ではない。

 たぶん裁判でもこちらが負けるだろう。

 貴族派の下っ端を奴隷にして痛手は与えたが、奴隷化の事実を隠しているために寄付は継続している。

 一斉に寝返らせても、実入りが減るだけで撲滅できない。


 まだ時期ではないのだろうな。

 金貸しの豚のところに顔を出す。


「儲かっているか?」

「ええもちろん」


「そうですね。儲かっています」


 一緒について来たショコラも太鼓判を押した。

 ショコラにはこの店を任せてある。


「貴族派の貴族には格安の利子でじゃぶじゃぶ貸してやれ。それで首が回らない奴がいたら言え。奴隷化する」

「悪党ですね。痺れます」


 こうやって地道に奴隷化していく他はないのだろうな


「もっと良い手がありそうなんだがな」

「魔法契約をさせる場面と言えば同盟でしょうか。敵の敵は味方という奴です」


 良いねぇ。

 ええと、例えば他国で俺の敵をでっち上げる。

 敵同士仲良くしましょと同盟を結ぶ話をさせる。

 そこで奴隷化を行うわけだ。

 他国に俺の敵を作るのはかなり大掛かりだな。

 でもこれなら重鎮も釣られるはず。

 考えてみるか。

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