第58話 開戦と、魚の干物と、赤ちゃん

 アーモの軍が進軍を始めた。


「悪魔崇拝の偽装頼むぞ」

「任せて下せぇ。行ってまいりやす」


 ウエハス教皇に手紙を書いた。

 よし、後はアーモをやっつけるだけだ。


 斥候を出したところ、近衛騎士が多数参加している。

 馬鹿な奴らだ。

 アーモなんかとつるむからだ。


 補給を断つのは基本だな。

 姿隠しがあれば物資に火を点けるなど容易い。


 たぶんアーモ達は怒号をまき散らしている事だろう。

 軍を返すかな。

 いいや、戦争の出費を合わせると確実に破産だ。


 俺の領地を取らない限り、どうにもならないに違いない。

 偽装の奴隷が帰ってきた。

 上手くいったらしい。


 これでアーモは領地に帰れない。

 兵士を奴隷にしてやるか。

 兵士にも家族がいるだろう。


 奴隷にすれば何家族かは移住してくるはず。

 それに兵士の奴隷は魅力的だ。

 モンスター退治から、街道の巡回。

 色々な業務に使えるはずだ。


 犯罪奴隷達が目をらんらんと輝かせている。

 兵士を生きたまま捕まえてくれば、金一封だからな。


 姿隠しがあるから、難しい任務とは思えない。


 毎日何人かの兵士が拉致されてくる。

 ドジを踏んで、怪我をした奴はいたが、味方に死人は出なかった。


 アーモの本隊が到着するのは後2週間は掛かるだろう。

 それまで内政に励むとするか。


 俺は畑の様子を見に行った。

 海から魚が運ばれて来て、毒魚や小さいのは肥料に分解される。


 大きい魚は干物に加工されてラメルの商会が運び出した。

 近隣の村などで売るらしい。

 海の魚は珍しいから高値で売れるだろう。


「あなた、赤ちゃんができました」


 エクレアが妊娠した。


「やった」


 俺も父親として頑張らないと。

 そういえば結婚願いを出したのに許可が下りないな。

 くそっ、アーモの奴が何かしたな。

 理由なら分かる。

 エクレアと結婚するとエクレアは貴族の身分だ。

 こういう戦争の時に好き勝手に出来ない。


 だが、結婚してなくて平民の身分なら別だ。

 アーモは色々と打つ手ができる。


「エクレア、ごめん。婚姻届けが出せなくなったようだ」

「気にしないわ。もともと平民は届けなんか出さないもの」

「でも子供が爵位を継げなくなる恐れがある」


「それもどうでもいいわ。幸せに暮らしていけるなら、些細ささいな事よ」


 でもどうにかしなくちゃな。

 アーモを殺せば潮目が変わるかな。


 とりあえずは戦争を終えてからだ。

 内政を今以上頑張らないと。

 子供に財産ぐらいは残してやりたい。


 都市の建設も見に行った。

 建物が幾つか出来上がって、人が働いている。

 特に商業ギルドは活発に活動していた。


「近隣の木材が無くなり始めました」


 商業ギルドの職員が言う。

 遠くから運ぶと割高になるな。


 空輸は出来るが、植林もしないと。

 荒野に植林を開始。

 土を作るアプリを開発しておいて良かった。


 後は気候が改善すれば良いんだけど、これはどうにもならない。

 水生成アプリがあるから、枯れたりはしないが、世話が掛かる。


 雲発生なんて作れるかな。

 プログラム的魔法の効率でも、荒野全体に雲を作るのは難しいな。

 気候変動を起こす力などない。


 一日に何度か散水する魔道具は作れる。

 これを小まめに設置していくしかないだろうな。

 気の長い話だ。

 もっとも植林は10年単位の話になる。


 しばらくは空輸で何とかしよう。

 塩が足りないな。


extern int tax_collection(int money);

extern MAGIC *solt_make(float mana);

extern int mclose(MAGIC *mp);


void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 if(tax_collection(1)==1){ /*税金徴収、銅貨1枚 金が無ければ、何も起こらない*/

  mp=solt_make(0.00005); /*塩を作る*/

  mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

 }

}


 塩を作るアプリを作った。

 干物で沢山消費するからな。


 塩は国の専売だが、干物に使う分にはお咎めなしだ。

 干物を売っても捕まらない。

 干物はこの領地の特産品になるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る