第57話 パーティと、悪魔崇拝と、死骸偽装
「この度はパーティにお招き頂き、ありがとうございます」
俺の派閥のパーティをやっている。
「耳よりな話があるのです。若くて健康になり能力もアップする秘術です」
「危険があるのではないですか」
「いいえ、ありませんよ。信用して下さい。秘術を受けられた方は融資額を倍にします」
「それですとあなたに得がありませんな」
「そんな事はありません。有能な味方が増えれば、私の得になります。能力アップすれば、融資の返済も早まるというものです」
「分かりました」
「では別室で」
別室に案内した派閥の貴族に秘術だと言って奴隷化の魔法を掛けた。
「おい、答えろ。裏切るつもりだったか?」
「裏切るつもりだったよ。金の縁が切れればな。はっ、わしの口は何を? 騙したな!」
「裏切るつもりだったんだろ。お相子さ。裏切るつもりがなければ、魔法は解除するつもりだった」
「くそっ。今にみておれ」
「奴隷化の事は誰にも喋るな。俺の命令には絶対服従だ」
「そんな」
「無茶な事はするつもりはない。それどころか。領地を富ませてやろう」
「信じられるか!」
「命令を受けるまでいつも通りにしておけいいな」
「はい」
派閥の貴族はみんなこうだ。
でなければ弱小な俺の派閥に入る事はないだろう。
他の派閥と繋がっている可能性すらある。
気が咎めないで助かる。
パーティは順調に進み。
参加した貴族はみんな奴隷化された。
富ませる方法だが、土召喚のアプリと、水生成アプリと、肥料作成アプリでなんとかやってもらうつもりだ。
収益が上がれば、そのうち忠誠を誓うようになるかも知れない。
期待はしてないが。
「私達は奴隷化しないのですか?」
ラメルに不思議そうにそう言われた。
「独裁者になりたいわけじゃないんだ。貴族だって裏切るつもりがなければ、魔法を解くつもりだった」
「そうですか。てっきり覇王を目指すのかと」
「この糞ったれの国をなんとかしたいという気持ちはあるよ。でも独裁者にはならない。ギブアンドテイクだ。貴族の奴隷化もギブが後になるが見返りは与えている」
派閥の領地でゴブリン討伐の奨励金を出した。
アプリを作るのに魔石はいくらあっても良いからな。
それにゴブリンの死骸は肥料になる。
「アーモ伯爵の領地がおかしいです」
「奴め動き出したな。爵位を売るのが嫌なのだろう」
「食料や武器を買い込んでます」
「戦争か。愚策だな。正規兵だって盗賊とそんなに変わりがないだろう。油断はしないがな」
問題はアーモを倒した後だ。
戦争でも貴族を殺すまでは大抵はしない。
捕まえて身代金というのが普通だが、俺は殺すつもりだ。
俺の派閥の貴族は弱小だから影響力はない。
ウエハス教皇も国にゴリ押しするまで、動いてはくれないはず。
大義名分を考えないとな。
アーモを悪魔崇拝者に仕立てよう。
姿隠しがあるから、証拠などいくらでも捏造できる。
犯罪奴隷なら裏切らないから、こういう任務にうってつけだ。
生贄の儀式を作り出したいが、人を殺すのはもってのほか。
よしゴブリンから人間の死体を作ろう。
どうせ解剖なんかしないから、見た目が人間なら疑わないはずだ。
extern MAGIC *goblin_carcass_summon(float mana);
extern void iron_add(MAGIC *mp);
extern void hair_add(MAGIC *mp);
extern void human_corpse_make(MAGIC *mp);
extern int mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
MAGIC *mp;
mp=goblin_carcass_summon(0.005); /*ゴブリン死骸召喚*/
iron_add(mp); /*鉄を加える*/
hair_add(mp); /*髪の毛を加える*/
human_corpse_make(mp); /*死体作成*/
mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}
大雑把な魔法だが、ゴブリンを召喚して、鉄を加えて、髪の毛を加えて、人間の死体を作る。
鉄を加えたのは、ゴブリンの血は緑色だからだ。
たぶん銅の色だろう。
鉄分を加えないと赤の色は出ない。
髪の毛も加えた。
これは散髪したのを集めて使う。
アーモの屋敷の適当な部屋で生贄の儀式をでっち上げる準備は整った。
アーモが出撃したら、でっち上げをして、教会の騎士が踏み込む。
教会が告訴してアーモには退路がなくなるわけだ。
さあ、早く進軍を開始しろ。
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