第52話 イメージ戦略と、新聞と、買占め

「よし、イメージ戦略だ。ラメル、有名人との伝手はあるか」

「はい、美容のアプリでいろいろと」

「大金を掴ませて、宣伝させろ。アプリを人前で使わせるんだ。上流階級だけでなく、吟遊詩人とか踊り子とか芸能関係にも働きかけろよ」

「分かりました」


「それと新聞を作るぞ」

「それは何です?」

「ニュースを書いて届けるんだ。最初はただで、軌道に乗ったら金を取る」


「文字を写す人間が多数必要になりますが。それと紙が」

「魔法があるから、魔法で解決だな。紙は木からも作れる。材料は木とねばねばする物だな。写すのも魔法だ。印刷機なんか作ってられない」


 複写の魔法は魔王タイトが開発した物が本に載ってた。


char paper1[1000]; /*複写元の紙を指定*/

char paper2[1000]; /*紙を指定*/

extern MAGIC *paper_init(char *paper_material);

extern void paper_draw(MAGIC *mp,char *paper_material);

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=paper_init(paper2); /*紙を魔法の対象に*/

 paper_draw(mp,paper1); /*複写元の図形を紙に描く*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 こんな感じだ。


extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);

extern void magic_alchemy(MAGIC *mp,char *process_data);

extern int mclose(MAGIC *mp);


char paper[1000]; /*合成する物質31×31センチ*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 char process[5]; /*工程データ*/


 mp=magic_make(paper,sizeof(paper),IMAGE_PAPER); /*紙を魔法登録*/


 process[0]=FIBER; /*繊維*/

 process[1]=GLUE; /*接着剤*/

 process[2]=MOLDING; /*成型*/

 process[3]=DRY; /*乾燥*/

 process[4]='\0'; /*終わり*/


 magic_alchemy(mp,process); /*プロセスに従って錬金*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 紙を作るのはこんなだ。


 新聞には嘘を書かない。

 裏を取ったもの以外は載せるなときつく言った。


 こういう物がなかったので、新聞は流行に流行った。

 もっとも文字が読める層は限られているが。

 都市部の識字率は高いらしい。


「そろそろ、アプリの記事を載せようかと思います」

「連載で載せてやれ。特集記事だ」


 ここにくるまで1ヶ月も掛かってしまった。

 有名人による安全性の浸透は効果を発揮してきた。


 街に様子を見に出る。

 酒場では吟遊詩人が歌を歌っている。


「安全で♪ 便利なアプリ♪ みんな使って♪ ハッピーライフ♪」


 CMソングだ。

 何曲か普通の曲をやるとこれを演奏する。

 作曲にも金を使ったので口ずさむようなメロディに仕上がっている。

 効果が高い。


 道端では紙芝居をやっている。

 演目の最初の一枚はアプリの宣伝だ。

 演目が終わると最後の一枚はやっぱりアプリの宣伝。

 これも効果が高い。


 ラメルが苦労したが、新たな飯の種にもなったようなので良かった。


 俺は丸投げで領地と王都を行ったり来たりしただけだ。

 報告は受けて口は出したがな。


「大変です。アプリが安価で買い占められています」

「誰がやった?」

「アーモ伯爵の子飼いの商会のようです」


 くそう、ここで値を上げるとアーモ伯爵が潤ってしまう。

 また、一手、手を打たねば、なるまい。

 敵ながらなかなかやる。


 今に見てろよ、仕返ししてやる。

 俺はある考えが浮かんだ。

 やられた事をやり返してやる。

 アーモ伯爵の買い漁ったアプリに不買運動を起こしてやる。

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