第49話 王都と、環境問題と、漁業
はっきり言って領主を舐めていたよ。
こんなに大変だとは思わなかった。
金が潤沢なのが救い。
硬貨が落ちる音にも慣れるもんだ。
今では寝てても気にならない。
王都に行くが、逃げるわけじゃない。
ラメル商会の人間がよくやってくれるから余裕も出来たのだ。
道中は平和だ。
モンスターの類も、盗賊討伐隊が片付けてくれたようだ。
王都に着くとラメルの所に真っ先に行った。
「おかえりなさい」
「ただいま。商会の人間は凄く助かった。ありがとう」
「礼を言われる必要はございません。夫婦ですから」
「だが、親しき仲にも礼儀ありだな」
「至言ですね」
「アプリの状況はどうだ?」
「あればあるだけ売れています」
「儲かっているようで何よりだ」
セラムの同僚の硬貨拾いが硬貨を拾う。
セラムは彼氏が領にいるので、仕事と天秤に掛けて、恋を選んだ。
男みたいな名前だが、女だったようだ。
一日の落ちる硬貨がどれぐらいか計算した。
一日、金貨100枚は落ちている。
商業ギルドの借金は金貨5万枚ほどだが、そんなの目じゃない気もする。
年間3万6千枚の金貨が落ちれば、そんな気にもなる。
今回は女奴隷は連れてきてない。
やつらがいちゃいちゃするのを見ると、複雑な気持ちになるからな。
好景気になってはいるが、この循環は歪だ。
生産を伴ってないからな。
美容のアプリなんかは最たるものだ。
なんの生産もしてない。
火点けとか生水は良いんだよ。
必要な行為だからな。
エネルギー関連は魔法でどうにでもなる。
やっぱり問題は資源だな。
領地を富ますのなら、資源が必要だ。
食料資源、地下資源、森林資源、どれも足りてない。
水も魔法で出しているが、あまりやり過ぎると空気が乾燥する。
気候が変わらなきゃ良いが。
国家運営ゲームをやっている気分だ。
問題は一つずつだ。
蕎麦が収穫出来れば、食料問題は解決する。
こうなると水だな。
そう言えば、荒野の空気が乾燥したと誰からも言われてないな。
あれっ、どういう事だ。
学者に話を聞いた方が良さそうだけど、この文明度で分かる人がいるのだろうか。
「ラメル、水に関する学者に伝手はあるか?」
「どんな事を聞きたいのですか?」
「魔法で水をだしているけど、使い過ぎかどうかを聞きたい」
「えーと、古代から水魔法は存在しますが、使い過ぎでどうにかなったという話は聞いた事がありません。魔法で出す水がどこから来ているのか謎ですから」
「魔法で召喚されてくるんだよ」
「なるほど石とかも地下から召喚されるんですね」
「あー、俺は馬鹿だな。水があるのは空気中だけじゃない。地下には水脈があるんだ。とうぜんそこからも召喚される」
水問題は解決だな。
魔法をいくら使っても枯渇しないだろう。
地下水脈はかなりの量だと思う。
食料はこれで良いか。
まだだ。
今はモンスターを肥料にしているけど、ゆくゆくは何かを肥料にしないといけない。
森があれば腐葉土とか集められるのに。
国中から生ごみを集めるわけにも行かない。
化学肥料があればいいけど、そんな物を作れる知識はない。
糞尿を肥料には出来るが、これだけじゃな。
海だな。
海は資源の宝庫だ。
小魚は肥料になる。
大きい魚は食料になるし、良い事尽くめだ。
貝殻も焼けば畑に
「地図だ」
「はい」
ラメルが地図を出してくる。
おあつらえ向きに荒野の果ては海だった。
飛んで移動できるから、距離はさほど関係ない。
自動迎撃の魔道具を設置して道を作ればモンスターは問題ない。
大事業になるが、計画に入れておこう。
魚獲りの魔法を考えないと。
海はでかいモンスターがいるのだろうな。
舟は無理そうだし、網も普通のだと破られそうだ。
それに俺は漁業の知識なんてない。
釣りは前世で何回か行った事があるけどそれだけだ。
電気ショックは魔道具で出来る。
出力を上げるには大きい魔石が必要だけど。
魚が死ねば、死骸を魔法で召喚できるから網は必要ない。
これなら安全に漁業が出来る。
海まで行く街道の敷設と、大きい魔石が必要だ。
とりあえず、計画はした。
後は実行だけだ。
extern MAGIC *summon_fish(void);
extern int mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=summon_fish(); /*魚召喚*/
mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}
魚召喚の魔法はこんなで良いだろう。
これで死骸を召喚出来るはずだ。
海が楽しみだ。
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