第9話 奴隷商と、病気治療と、奴隷化の魔法

 奴隷を買う事にした。

 エクレアは別にして、裏切らないだろう人間がそれしか見つからないからだ。


 奴隷商の所に行った。

 檻に入れられた人間が、生きる気力を無くして、死んだような目で俺を見る。


「奴隷商、訳ありの病気持ちはいないか?」

「ございますとも。魔法の試し撃ちぐらいにしか役に立ちませんが、需要は常にあります」


 くそっ、胸糞悪い。

 この奴隷商を殺して奴隷全てを解放したら、きっと胸がすくだろうな。

 だが、この奴隷商は国の認可を受けている。

 ここは仕方ない。

 我慢しよう。


 俺の周りに硬貨がボトボト落ちる。

 一緒について来たメイド服のエクレアが拾う。


「見ての通りだ。俺の近くには金が落ちる。これを拾う人間を探しているんだ」

「そうでございますか」

「値上げしようと考えるなよ。見て分かると思うが、銅貨が多い。それほどの金額ではない」

「今後の取引もございますから、値引き致します」


 奴隷商に連れられて死臭のする檻に近づいた。

 探しているのは咳をしていたり、熱に浮かされたりしている奴だ。

 ウイルスなら、魔法で何とかなる。

 こういうのを作った。


extern int tax_collection(int money);

extern MAGIC *magic_make(char *material,long material_size,int image); /*魔法作成*/

extern int mclose(MAGIC *mp);

extern void magic_delete(MAGIC *mp);


char virus[100000000]; /*ウィルス1億個*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 if(tax_collection(100)==1){ /*税金徴収、銀貨1枚 金が無ければ、何も起こらない*/

  mp=magic_make(virus,sizeof(virus),IMAGEUNDEFINED); /*ウィルスを魔法に*/

  magic_delete(mp); /*ウィルス消去*/

  mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

 }

}


 銀貨1枚でウイルスが原因なら治る。


「奴隷商、いま作ったアプリをただでやる。銀貨1枚を払えば大抵の病気が治るから使え」

「そんな貴重な物をよろしいので?」

「俺も長く付き合いたいと思っている」

「さようで」


 片っ端から治療して元気になった者を連れて行く。

 金貨1枚で15人も買う事ができた。


「これから行く所は厳しい土地だ。くじけそうになる事もあるだろう。そんなお前達の為に給料を払う事にした。領地に着いたら商人を呼ぶつもりだ。好きな物を買うと良い。それと奴隷商に支払った金額の10倍を貯めれば、解放してやる」


 奴隷たちは無言で頷く。

 希望など無いという目をしている。

 一体どんな酷い目にあったのだろう。

 今の世の中には、奴隷化の魔法は存在しない。

 だから奴隷は逆らわないように、徹底的に反抗心を粉々にされる。


 想像できないが、領地に行って心が癒される事を願う。

 奴隷化の魔法だが、魔王の手引書には存在する。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

extern void slave_change(char *str,char *master_name);


void main(void)

{

 TEL *tpi,*tpo; /*魂の定義*/

 char str[256]; /*読み込み用の領域*/

 tpi=topen("神秘魔法名.soul"); /*魂を開く*/

 tpo=topen("temp"); /*仮魂を開く*/

 while(tgets(str,256,tpi)!= NULL){ /*一行入力を終わるまで繰り返す*/

  slave_change(str,"スチソノイス"); /*隷属主書き換え*/

  tputs(str,tpo); /*書き換えたデータを出力*/

 }

 tclose(tpi); /*魂のデータを閉じる*/

 tclose(tpo); /*仮のデータを閉じる*/

 system("copy /-Y temp 神秘魔法名.soul"); /*出力した仮データを元の魂に上書き*/

 system("del temp"); /*仮データを消す*/

}


 それがこれだ。

 くれぐれも悪用しないようにと書かれている。

 俺も治療した奴隷たちにこの魔法を使うつもりはない。

 使うなら犯罪者だな。


 これを使う事態が訪れない事を祈る。

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