第8話 模擬戦無双と、エクレアと、アプリ
鍛練の日がやってきた。
今までの
まずは魔法戦だ。
俺は対戦相手と対峙した。
「始め!」
肉体強化セット魔法を無詠唱で発動。
相手が魔法を唱える前に軽く殴った。
対戦相手は吹っ飛び壁に激突。
「おい、どうなってる」
ざわめきが広がる。
「ラッカー、魔法を唱えるまで待つように」
「いいぜ、先手は譲ってやる」
「では始め」
「【魔力よ、火球となりて、敵を追尾せよ】」
俺は楽勝で火球を避けて、対戦相手を殴った。
やっぱり、壁に激突。
「もういい。剣術だ」
「いいぜ、残り全員、まとめて掛かってこい」
「言ったな。お前らやるぞ」
「おう」
30人程が俺を囲むように立つ。
「始め!」
木剣で、軽く撫でてやった。
手足があらぬ方向に捻じ曲がる。
全員を叩きのめすのに1分も掛からない。
アーモ伯爵は悔しそうに俺を見ているだけで、言葉が出ない。
「隊長、部外者が。鍛練は手の内を晒すので、その様子は国家機密に該当すると思われます」
そう言うと俺はアーモ伯爵を叩きのめした。
「罰を与えましたがこんな事で良かったでしょうか」
アーモ伯爵は手足が折れたようだ。
「痛い。ぐっ。早くポーションを」
お付きの物がポーションを持ってくる。
アーモ伯爵がそれを一口舐めると、手足が元通りになった。
良いポーションを使ってやがるな。
「何をするんだ。俺様を誰だと思ってる。貴様をこの場で処刑してやる」
「何の罪でだ?」
「貴族に対する不敬罪だ」
「それは適用されないな。実は俺も貴族だ。裁判なしには処刑できない。俺は秘密保持の為に処置しただけだ。嘘判別の魔道具に掛かってやっても良い」
「ぐぬぬ、覚えてろよ」
ああ、よく覚えとくさ。
「隊長、俺は近衛騎士を辞める。じゃあな」
「おい、待て」
「隊長みずから、最後の鍛練をして下さるので? 熱が入って事故が起こるかも知れませんなぁ」
「もういい、行け」
俺はその足で金貸しの所に行った。
「今日はどうなさったので」
「近衛騎士を辞めた。担保がなくなったので、領地を担保にしたい」
「それは結構な事でございます。それで、領地はどこですか?」
「アフォガート領だ」
「それはなんと言うか。それだけですと足りませんな」
「じゃあ、王都にある実家と俺の体も担保にいれる。借金が返済できない時は、奴隷にでも何でもするが良い」
「まあ良いでしょう」
書類にサインしてその場を後にした。
エクレアに報告に行かないとな。
エクレアを呼び出すと、少し怒った顔で現れた。
「ごめん、忙しかったか」
「ええ、とってもね。重要な事じゃなかったら、ケーキを
「近衛騎士を辞めた。そんでもって貴族になった」
「冗談よね」
「いや本気」
エクレアがポカポカと俺を殴る。
怒られているって事なのか。
「そんなに怒るなよ。少しばかり無理はしたけど、上手く行くさ」
エクレアは殴るのを辞めた。
「本当にしょうがない人。決めたわ。あなたの行く場所に私もついて行く」
「お
「良いの」
「それより、誰か良い人を見つけた方が良いんじゃないか」
「あなたも、そんな事を言うのね。アーモ伯爵の一件で私は傷物だと思われているの。条件の悪い所しかお呼びが掛からないわ」
「ごめん、俺がもっと上手くやれば」
「あなたに謝ってもらうような事じゃない。悪いのはアーモ伯爵よ」
「そうだな。やつにはツケを払ってもらわないと」
「約束して。危ない事はしないって」
「約束するよ」
「私はついて行っていいのよね」
「ああ、大歓迎だ。それで一つ頼みがある。魔道具2千個を配ってほしい」
「無料で?」
「ああ、5回使えば元が取れる」
「美味しい商売ね」
「違いない。それで使用料金が掛かる事を説明しなきゃならない」
「魔道具って名前じゃなくて、名前を変えたらどうかしら」
「うーん、それならアプリにしよう」
「アプリ、素敵な名前ね。どうせなら色を塗りましょ。魔石は赤だから青い塗料を塗れば良いわ」
税金付き魔道具、アプリを、エクレアの勤めている商店で配り始めた。
いい客引きになったと店主には感謝された。
現在、俺のそばで絶え間なく銅貨が落ちるようになった。
拾うのが面倒になった。
売り上げは一日に金貨1枚を超えた。
そりゃ2千人が使えばそうなるよな。
筋力強化3倍の魔道具も100個作って冒険者に配った。
こちらは1回の使用料が銀貨1枚で、おまけに切り札的扱いなので、ぼちぼちとしか金は入らない。
でも確実に使用頻度は増える傾向だ。
そりゃ、実力が上がるなら便利に使うだろ。
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