第10話 製パン魔法と、第4法則と、希望

 領地まで歩きで、奴隷を連れて出発。

 道中の食費を浮かす為に考えた。

 魔王の手引書によれば、魔法は召喚なので、小麦も召喚できるとの事。

 ならば、魔法でパンを作れるらしい。

 載っていたのがこれだ。


extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);

extern void magic_alchemy(MAGIC *mp,char *process_data);

extern int mclose(MAGIC *mp);


char bread[1000]; /*合成する物質1000立方センチ*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 char process[10]; /*工程データ*/


 mp=magic_make(bread,sizeof(bread),IMAGE_BALL); /*パンを魔法登録*/


 process[0]=WHEAT; /*小麦*/

 process[1]=CRUSH; /*粉砕*/

 process[2]=SIFT; /*ふるい分け*/

 process[3]='\0'; /*終わり*/


 magic_alchemy(mp,process); /*プロセスに従って錬金*/


 process[0]=WATER; /**/

 process[1]=STERILIZATION; /*殺菌*/

 process[2]=CRUSH; /*果物を入れる*/

 process[3]=FERMENT; /*発酵*/

 process[4]='\0'; /*終わり*/


 magic_alchemy(mp,process); /*プロセスに従って錬金*/


 process[0]=FLOUR; /*小麦粉*/

 process[1]=WATER_MIX; /*水*/

 process[2]=SALT_MIX; /*塩*/

 process[3]=YEAST_MIX; /*酵母*/

 process[4]=KNEAD; /*捏ねる*/

 process[5]=FERMENT; /*発酵*/

 process[6]=PUNCH; /*ガス抜き*/

 process[7]=FERMENT; /*発酵*/

 process[8]=BAKE; /*焼く*/

 process[9]='\0'; /*終わり*/


 magic_alchemy(mp,process); /*プロセスに従って錬金*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 魔道具にしてエクレアに使わせてみた。

 見事にパンが出来た。

 簡単すぎるだろ。

 もっとも、石とか任意の形で出せるのだから、パンぐらいなんでもない。


「美味しいね」

「ああ美味い」

「こんなのが毎日食えるなんて、夢のようだ」

「買われて良かった」

「俺、金貯めて、このパンを作る魔道具を買うんだ」

「私はこういう素晴らしい魔道具を作りたい」

「俺は領地でパンを売って暮らすんだ」


 奴隷たちの評判も上々だ。

 歩く速度が上がったような気がする。

 死んだような目にも光が少し宿ったような。


 この魔道具は売れない。

 なぜかというと、材料の小麦は野生の小麦を使っているからだ。

 畑を放置して、生えている小麦が材料になる。


 そんなのがやたらあるわけがない。

 使い続けたら、俺の魔力を全部使っても、パン1個しか出せないとなるかも知れない。

 魔法の第4法則だ。

 召喚の距離が離れると魔力は増えていく。

 それと、地中の物を召喚するのは魔力が沢山いるらしい。

 雷を召喚する方が地中の金を召喚するより遥かに楽だという。


 小麦は地表にあるから簡単らしい。

 鉄も地表に量が沢山あるから、簡単との事。

 金だの銀だのが召喚出来たらウハウハだよな。

 そんな美味いわけがない。

 パンができるだけましか。


「こういう魔道具がたくさんあると良いわね」


 エクレアが言う。


「作れるさ。俺には魔王の知識がついている。これからも、あっと言わせるのを作るよ」

「期待しているわ」


 女の奴隷が俺を見る目が怪しい。

 獲物を狙う目つきだ。

 若いのから年寄りまでだ。

 獲物認定されてしまったな。


 男は師匠を見る様な目つきだ。

 戦いを叩き込む予定だから、師匠と呼ばれる日は遠くないかもな。

 そろそろ、辺鄙へんぴな場所に来たから、あれを出すか。

 地球の近未来的乗り物だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る