第42話

 研修二日目も朝は早かったが湊音とシバは何度もキスをし何度も愛し合った。


 稽古中はたくさん美樹にしごかれ散々な目にあうのだが2人はまた夜に一緒にラブラブできることを楽しみにひたすら稽古に指導に勤しむ。


 そんな2人を知ってか知らぬか何か勘づかれる事もなく。

 なぜなら互いの部員同士昨晩の虫発生騒動で絆を深めたのか休憩中や食事中は男女で戯れる姿も見受けられた。


「宮野は意中の女の子を助けたことで両思いになったっぽいな」

「そうだなぁ。さすが宮野ちんの弟、ぐいぐい行ったなぁ」

「宮野の兄は今何してんだ」


 シバはそう聞かれると首を横に振る。


「今はどうかわからんがやめた頃に風の噂では特殊部隊に入ったらしい。家族にさえも何の職務をしているかは伝えられないらしい……そんな部隊に突入できたのも湊音、それに大島先生たちがいたこの剣道部で鍛えられたからだろう」

「……そうか。それは誇らしい。でも宮野の努力だ。実は……兄と同じく警察官を目指しているらしい」

「正義感も強いから素質もある、何だったら瀧本さんに紹介してやってもいいぞ」

「あぁ。なんかの時はよろしく」

「だったら尚更結果を出して剣道部は廃部にはしないぞ……他の部員たちもメキメキと頭角を著している」

「そうだね……」


 そこに美樹がやってきた。

「お疲れさん、お二人とも」

「お疲れ様です」

 美樹からジュースを差し出された。


「すごく仲のいいこと……お邪魔して悪かったかしら」

「えっ」

 美樹は意味深に微笑んだ。


「じゃあね、今日は副顧問に任せたわ」

「体調悪そうにしてたもんな……無理させた、すまん」

「本当、こういう時ばかりは女性ってのを恨むわ」


 美樹が生理だってことを知ってるのはシバだけである。湊音は疑問に思ったが体調不良を訴えた美樹を気遣う。


 湊音は生徒に呼ばれて後にする。美樹とシバ2人きりになる。

「……可愛いよねぇ、湊音先生」

「可愛いい、お前から見たらそうなのか。俺と同じ歳だぜ」

「あんたとは違ってツンツンしてるけどベッドの上では絶対性に貪欲そうでいいかも……」

「ベッドの上ではドMのあんたにはどうかなあ」

「……」


 美樹がシバを見る。シバはン? と見る。

「やっぱりな」

「……」

「女取っ替え引っ替えしてた男が末の果ては男か……」


 シバはしまったと思ったが美樹は嫌な顔はしていない。確かに当時美樹と関係を持った頃は他にも女性遍歴があり特定の彼女がいるということを美樹は知っておりそれを覚悟の上付き合ってたがシバが捜査中の事故で入院し警察を辞めてから2人の関係はうやむやのまま終わってしまった。


「別に悪くないわよ、知り合いにも警察内にも被疑者とか被害者にもそれに旅館なお客様でも何人かも同性愛者もいたしそういう研修というのも受けてるから理解はあるし私は別にそれで嫌悪感を抱くことはない」


 まぁ確かに、とシバ自身もそうであったと思いながら頷く。

「いや、ガチガチのではないのだが……わかるのか?」

「私今までどれだけ見てきたと思うの? あなたと同じ警察、部下も沢山……事件もいくつか関わってきたんだから」

「……おみそれしました、洞察力の美樹……こういうところでも発揮されるとは」

「旅館でも発揮されているわよ」


 美樹は笑った。

「あなたはよーく見たらだけど少し揺すぶったら今みたいにボロが出たけど湊音先生はすぐわかってしまうわね。あの人はすぐ顔にも体にも出てしまう。それが剣道にとっては不利なのよね」


 シバはそれを聞いて笑った。

「わかりやすいだろ、あいつ」

「まぁねぇ。あと2人ともオフになると気が抜けるな……」

「えっ……いでっ」

 美樹に肩パンされたシバ。


「も少し気合い引き締めろ……シバ」

「はい……すいません……てかセックスできないからってさっきの稽古中もめっちゃ当たってきたのって……」

「……さぁね。じゃあ……また旅館で待ってるわよ。ふふふ」


 シバはたじたじである。どこで気を抜いたのか……わからないが美樹にはよくたぶらかされていたなぁと思い出しながらも……美樹のそういうところがシバは好きだった。



 そして稽古が終わり宿に戻り部屋に入った時にシバは気づいた。


「どうしたの、シバ。食事の時間までに温泉入って……」


 湊音が2人きりになったことをいいことに腕を絡ませたがそれを振り解かれる。シバは寝室のシーツが綺麗に敷かれていること、ゴミ箱が空になっていること、そしてベッドの脇に乱雑に置いておいたコンドームとローションが綺麗に置かれていたのを見て冷や汗をかいた。


「おい湊音、掃除は結構ですの札って出しといたか?」

「……えっ、別に……。あ……」


 湊音も察してあわわと焦る。だがシバは湊音に抱きついた。

「まぁ別にいいだろ、男同士そういうカップルはいくらだっている」

「……そうだね。じゃあシバ……」

「あぁ」


 2人はキスをした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る