第4話 雨と迎えと妹
あれだけ激しく降っていた雨だが、俺が駅に着いた頃には少し弱くなっていた。もしかして俺は雨男なのだろうか。
少しお天道様を恨みながら電車に揺れていると、太ももに震えを感じた。スマフォのバイブレーションだ。スマフォを取り出し、通知を確認すると、先ほどは来ていなかったメッセージが届いていた。
『迎えにきてほしい』
そのメッセージに目を通した瞬間、俺は車内の液晶に目をやり、現在地を確認する。迎えの場所に行くために降りる駅は次の駅だった。
再びスマフォに視線を戻し、操作する。
『いいけど、傘持って行ってないの? 朝聞かなかったけ』
しばらくして、返事が届く。
『勘違いしてた』
勘違いなら仕方ないなと心の中で呟く。
メッセージのやりとりが終わったところで、ちょうど駅に着いたため降車する。
目的地である中学校は駅から徒歩3分程度のため、雨の中でもすぐに着いた。校門の前には送迎に来ているのであろう車が複数停まっていた。
この中学校は俺の母校であり、卒業後も何度か通っているため迷わず玄関口まで辿り着く。
そこで、二つ結びされたホワイトに近いプラチナプロンドの髪を垂らし、ホーム地であるはずなのに少しおどおどした様子を見せる女の子を見つける。その子こそ、俺の目的である。
「
「あっ!」
俺に気づいた珠白の嬉しそうな表情を浮かべ、トテトテと駆け寄ってくる。可愛い。
そして俺が折り畳み傘を差していることに疑問を浮かべる。
「あれ? どうして、その傘を、お兄ちゃんが?」
「あー、そうだった。普通の傘な、傘忘れた友達に貸したんだ」
「ふーん、そう、なんだ」
「だから、悪いけど相合傘でもいいか?」
「えっ! うん! いいよ! ……えへへ」
一層嬉しそうな表情を浮かべ、同じ傘の中に入ってくる珠白。近くで見ると、改めて綺麗な顔をしている。髪色も俺の黒髪と違う。兄妹なのに、やはり似ていない。
それもそのはず。俺たちは親が違うのだから。母親も違えば父親も違う。全く血が繋がっていない。
けれど、俺は珠白を妹として愛している。だって、
「ねえ、お兄ちゃん。迎えに来てくれて、ありがとね」
こんなにも可愛いのだから。
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