第1話 これを青春と言えるのか
公立
そこに通い始めて2年になる俺、
「おっす浅野。聞いてくれよ! 昨日ガチャ引いたらSSRが出たんだ!」
「おはよ。なんだよ自慢かー? 今度俺のも引いてみてくれよ」
「おう!」
「おはよう、浅野くん。この前オススメしてくれたマンガ、面白かったよ! 一気見しちゃったよ〜」
「おはよ。あれ傑作だろ〜」
クラスメイトと短い会話をしながら、自分の席にたどり着く。自分の座席は窓際の中間位置にあり、その隣の席には金髪が目立つ女子が座っている。
「おはよ
「おはー。浅野またギリギリね」
「沙樹はギャルの割には早めだよな」
「それ偏見ー。アタシはほら、真面目系ギャルだから」
「なんだよそれ」
彼女は
沙樹と呼ぶ理由は、沙樹自身にそうお願いされたからだ。どうも影野という名前があまり好きではないらしい。本人曰く、可愛くないからだとか。
「ようよう、やっと来たか。朝練があったオレより登校が遅いとはなー」
「全くですよ。僕が記憶する限り、今年度始まってからずっとですよ」
「ふっ、舐めるな。入学してから毎日この時間だ」
俺の姿を見つけて近づいてきた男2人。1人は
「誇れることかよ。もっと早く来れないのか?」
「そうですよ。もっと僕たちとの時間を作ってくださいよ」
「理由がちょっとキモくないか」
2人の発言に対して、うげえとした表情を見せてやる。ただこんな発言をしているが、2人にその気はないことはわかっている。なんせ、2人とも彼女持ちなのだから。
「キモかないわ! ……そういえば、眞也。お前のこと、既に1年生に知れ渡ってたぞ」
「へ? 俺のことが? なんでさ」
「お前は見てくれはいいからな〜。入学して早々、そういった情報が1年生の中で回ったらしいぞ」
「僕も聞いています。その情報の後に、あなたのアレが知れ渡るまでは早かったみたいですよ」
「まあ新たな被害が生まれる前に知れ渡った方がよかったかもな。まだ5月だし」
「そうですね。被害予防は重要です」
2人の話す内容に、俺はついていけなかった。自分自身のことのはずなのだが。
「なあ、いったい俺は何で有名になってんだ?」
そんな俺の問いに、2人は呆れたような口調で言う。
「恋愛できないこと」
「恋愛できないことですよ」
その答えを聞き、俺は頭を抱えることとなった。俺だって恋愛はしたいのに……。
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