第3話取り調べ

大魔王は辞書ほどの分厚さのファイルを見ながら、しゃべった。

「君の名前は土屋芳照君だね?高校数学教師でありがら、数学者として研究している。死因は事故死。仔猫を助けるために」

土屋はそわそわしていた。

「唯一の悪さが、エアガンで蛙を殺しただけだね。これは、立派な犯罪です」

「大魔王様、出来ればもとの自分に戻りたいのですが……」

「愚か者!人間に転生できるのは、ごく一部じゃ。せいぜい君は、セキセイインコだな」

「そこを何とか」


チロリロリン、チロリロリン


「おっと、このチャイムはスーパーラッキーチャンスの合図だ。君自身が転生先を決められる。ダーツでね」

大魔王は部下にダーツの的を運ばせた。

「大魔王様、転生先がタワシってなんですか?入れ歯とか」

「生き物だけではないのだ!」


すると、奥の扉が開き、天女が現れた。

「ちょいと、あんた!この領収書なによ!『爆乳パブ・ホルスタイン』って!」

大魔王の奥さんだろう。

「それは、先週、出雲大社で会議のあと、無理やり連れていかれたんだよ!誰だったかな~」

「この領収書、経費で落とせないこら、あんたのお小遣いで払いなさい」

「……はい」

「では、お兄さんゴメンね。はいっ、続き!」

「う、うん」


「さあ、土屋君ダーツを投げて転生先を決めるのだ!

土屋は意を決して的に投げた!

「日本列島ダーツの旅!」


パスッ!


なんだなんだ~。

「土屋君、君の転生先はトウモロコシただ!」

「は?」

「野菜は消化がいいから、消化される度にダーツを投げられる。たまに、未消化で排出されるが安心しなさい。その時も、ダーツをなげられる特典付きだ!さっ、トウモロコシ畑にGO」

土屋は嫌な予感しかしなかった。

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