第2話大魔王
おれは風呂を上がると、カウンターで生ビールを飲んでいるヤツラがいたので、そっちに歩いていった。まだ、約束の1時間後には後30分ある。
風呂上がりで顔が紅いのか、アルコールで紅いのか分からない顔色の男の横に座った。
「何に致しましょう?」
「生ビール、それと
おれは隣の顔が紅い男に尋ねた。
「ここ一杯いくら?」
男は枝豆を食べながら、
「ロハだよ」
「は?」
「只!無料」
「あ、そうなんだ。ありがと」
おれは、喉が渇いていたせいか、無料だからか、ビールをがぶ飲みした。
「お兄さん、何で死んだの?」
赤ら顔はおれに聞いてくる。
「交通事故。そっちは?」
「肝硬変」
「それなのに、ビール飲んでんのか?身体に悪いぞ!」
「だから、おれは死んでるじゃねえか」
2人クスクス笑うと、時間になった。
「じゃ、おれは大魔王とらやに会いに行ってくる」
「え?実はおれもなんだ。一緒に行こう」
「いいよ」
あの世温泉物語を出ると、ハレンチな格好をした女がやってきた。
「うわっ、酒くさい。あなたたち、大魔王様に会いに行くのに、お酒飲んだの?」
「だって、風呂屋にバーがあったからよ。なっ、君」
「ああ、おれたちはこの紅い兄さんと気が合ってビールをちょいと引っかけただけだ」
女は、
「私、知りませんからね。大魔王様は
「じゃ、何でバーがあるんだ」
おれが噛みつくと、
「あそこのバーは、この世界の従業員専用なの。私みたいな。」
「もう、飲んじまったんだからしょうがねえよなぁ」
話しが進まないので、3人は大魔王に会いに行った。
でっかな、建物に3人は到着した。
入り口には、
【安心と実績の大魔王東インド会社】
と書いてあった。
ここで、ハレンチな女と別れた。
おれと赤ら顔は、建物内に進入した。
入り口で整理券を受けとった。おれは6番だった。
ロビーでイスにすわり待っていると、
「番号札6番の方、大魔王室へ」
おれは、赤ら顔にじゃあと言って大魔王室へ入った。
そこには、中年のメガネをかけた男がデスクの前に座っていた。
おれは、なんだとホッとしてパイプ椅子に腰かけた。
「君!酒飲んで来たの?」
「はい、すいません」
「死んでまだ、6時間しか経ってない成仏してないヤツが酒を飲んで私の前に現れるとは」
「実に申し訳ございません」
「じゃ、お前の生前の取り調べを行う」
大魔王は、分厚い辞書みたいなモノを読み始めた。
おれは、しばらく黙っていた。
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