冒険者登録

「トム!この野菜規格通りに分けておけ、それが終わったら今日の仕事は終わりだ!」

「はい、ラーゼルさん!」

「クルトさんから色々聞いてるよ!

ビビらずに行って頑張りな!」

激励してくれた俺の教育係のラーゼルさんは配達先の荷物を詰めた馬車に乗り、消えていった。





あれから約一年になる。

街についた俺は前日に知らせといてくれた父さん達のおかげでスムーズに受け入れられ、

クルル兄のおかげで比較的早く商会の人達と仲良くなれた。

そして今日はクルル兄との約束を守り一年間商会の仕事を真剣にしたご褒美に、冒険者登録が昨日許された!

もちろん父さん達には内緒。


仕事が終わったので、どきどきする心臓の音を感じながら冒険者ギルドの前に、えいっと心で唱えながらドアをあけた。


「冒険者登録?そんなヒョロイ身体で?

冒険者ってのは舐められたら終わりなんだよ!

そんなヒョロイ体でできるわけねーだろ!」

おそらく酔っぱらった男は叫んでいた。


「たしかに貴方の言うことは一理ありますが、それを決めるのは私とギルドです」

「うるせー俺様を誰だと思っているCランクのバッテス様だぞ」

バッテスという男が右腕を振り上げ絡んでる男性に殴りかかった瞬間、右足を上に振り抜いてる絡まれていた男性と天井につきさっている男がいた。


「受付嬢、これは正当防衛だよね?」

「もちろんです。冒険者同士の争いは不問となりますが、まだ冒険者登録されていない方への暴力行為は犯罪です」

「よかった、では登録の続きを頼むよ」

絡まれていた男性は何事もなかったように受付嬢に話しかけた。




どうしょう、この雰囲気のギルドに入るの?

すげー嫌なんだけど。

でもせっかく来たんだしと心の中で喋り。


気配を消してながら隣の受付に並んだ。


「すいません冒険者登録した、い、んで、す、けど」

先程の出来事で気づかなかったが、この受付を担当している受付嬢の頭の上に耳が生えてるのを見て言葉が止まりかけた。


「冒険者登録ですね。

こちらの用紙にお名前をご記入ください。

代筆もできますがどうしますか?」

「大丈夫です。自分で書けます。

名前だけで大丈夫なんですか?」

「基本的に冒険者ギルドは犯罪者以外来る者拒まずなんです」

「へー。はい書き終えました」

小さい時に母に読み書きを習ったので、

スラスラと名前を書く。

名前を記入した紙を受付嬢さんに渡すと、

街に入る時に触った犯罪者かどうかを調べる丸い透明な水晶に似たものを出してきた。


「街に入る際触ったと思いますが、念のために当ギルドでもやっていただきます

先程言った通り犯罪者は登録できませんので。

ではお願いします」

指示に従い丸い水晶に触り、犯罪者ではないことが証明される青色に水晶のは染まった。

ちなみに犯罪者は赤くなるらしい。


「ありがとうございます。

もう手を離していただいて大丈夫です。

ではギルドカードを作って参りますのであちらで少々お待ち下さい」

俺から見て右にある窓口に手で誘導したあと、ケモミミの受付嬢さんは受付を離れていった。





「君も冒険者登録に来たんですか?」

窓口で待っていると隣から声をかけられた、

さっき絡まれていた男性だ。


「はい、そうですよ」

「そうなんですか!私もなんですよ、なら私達は同期ということになりますね!

どうですか私とパーティーを組みませんか?」

「えーと、遠慮しときます。

あそこにいる男の人を倒した時の動きなんて全く見えませんでしたし、実力に差がありすぎて迷惑をかけると思います。

ごめんなさい」

みんなに嫌われてたのか未だに天井に刺さってる男を指差しながら、絡まれていた男性の誘いを断る。


「残念ですねー、縁があると思ったんですが。

仕方ありません諦めましょう、でも気が変わったらいつでも言ってください!

あっ私のギルドカードができたようですね」

すんなり諦めてくれた絡まれいた男性は、窓口に向かっていった。



説明を受けているのか、しばらく窓口から動かなかったが終わったらしく、俺に近づいて来る。


「君のも出来上がっているみたいですよ。


あっそういえば名前を言ってませんでしたね。

フェイスと申します」

「俺はトムっていいます」

「トムさんですか、とても覚えやすくていいですね!

ではまたお会いましょう」

フェイスさんという男性はギルドの入り口から出ていった。


「トム様。ギルドカードをお渡ししますので、こちらへ来てください」

「はい!」

呼ばれたので窓口の前に行く。



「こちらがギルドカードになります」

「ギルドカードって木材で出来ているんですね」

先程、受付をしてもらったケモミミ受付嬢に渡してもらった、木材にトムとFの文字が刻まれたギルドカードを見た感想を言う。


「ご説明いたします。

冒険者ギルドではFランクからSランクまで等級がございます。

その中でFランクとEランクは冒険者見習いという形になっており、Dランクから冒険者として登録されます。

Dランクになりますと、魔物の討伐など危険度が高くなるための区別だとお思いください。

そして依頼を受ける際には、ご自身のランク一つ上のランクの依頼を受けられます。


しかし、Eランクの時にDランクの依頼を受ける場合、当ギルドの訓練所にいる講師からの許可証が必要となりますのでご注意下さい。


冒険者見習いでいる間は、依頼が達成できなくても罰則はございません。

Dランクからはございますので、なられた際にまた、ご説明させていただきます。

何か質問はございますか?」

「どうやって依頼を受けるのですか?」

「あちらにある等級別に分けられた依頼書で依頼を選んでいただき、受付に申し出て下さい。

依頼達成書をお渡しし、ご依頼人のサインをいただくことで達成となります。

Dランクから始まる討伐達成に必要な、

討伐部位に関しましては、私ども受付嬢がサインすることで達成になります。

他に質問はございますか?」

「今のところないです」

「ではこれで説明を終わらせていただきます。

分からないことができましたら、気軽にお聞きください。

トム様お疲れ様でした。

では失礼いたします」

「ありがとうございました」

長い説明をしてくれた受付嬢に頭を下げ、お礼を言った。頭を上げたら、笑って軽くお辞儀を返してくれた。

俺はギルドカードを持ってきていた袋にいれて、商会に帰った。


よし冒険者登録はできた。

見習いだけど、、。




冒険者登録をした日の夜、日課のステータスを確認する

「『ステータス』」


 名前:トム 年齢:14歳 性別:男


職業:テンプレ使いver1


Lv:1

HP:35/35

SP:20/20

STR:25

DEF:20

AGI:18

DEX:88

LUk:55


パッシブスキル

フラグ LV3


アクティブスキル

フラグ LV3



この一年でステータス少し上がり、スキルのレベルが上がった。

パッシブスキルのフラグが、

テンプレが起きる場面に遭遇する回数が3回に増え。

アクティブスキルのフラグが、

テンプレを起こすのが19%に上がった。


でも未だにそんな場面に遭遇したことないし、テンプレが起こしたこともない。

さあ気にせず寝るか。



あれ?今日遭遇したんじゃね?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る