第24話 『パン屋襲撃』大剣士編3

【パン屋の夫婦】


フフリンの町


エンダラー山の麓にあるパン屋があった。


 そのパン屋の名前は、「ベーカリーダナス」イタサレの夫婦間が経営していた。

 夫のダナス・レナードが店主を務めていて、妻のダナス・クレアは従業員として働いていた。

 二人の容姿は、キャラメル箱に手と足がでていた。


 ある朝、店の前にお母さんと男の子の親子が通った。



男の子がパン屋に気づくと言った。


「お母さんーパン食べたい」



「あの店は、行ってはだめよ!」



「なんで?」



 店の中からその状況を見ていた店主のダナス・レナードは寂しそうだった。


 店主の様子に気がついた母親は、むりやり子供を自分の方に持っていった。


 レナードに妻のクレアが話しかけた。



「もうやめましょうパン屋なんて」



「やめない、パン屋は長年の夢だったんた、イタサレになったのは、いいきっかけだ、やめてたまるか!」


「でも、人間のお客さんにはきてもらえない」


「この世には人間だけじゃねえ」


「でも、それはごく僅かしかいない」


 レナードは、クレアといつもこんな話しをして嫌気がさしていた。



【パピコ一行】



 パピコ達は、番頭一人の小さな小船でフフリンの町を目指していた。



 船の中でアスロンは、目を閉じている、ほぼ喋らなかった。



 パピコとグリースもそれに釣られるように何も口にしなかった。






【ゾルゲ兄弟】


ディック島の中心に位置する場所にバルクロスの経営しているガジノがあった。


暗い部屋の中で男が数人で話しをしていた。


ゾルゲ弟が薄髪の長髪にきいた。


「でアスロン達は、どこに向かった?」


「なんでもフフリンの町にあるパン屋に行ったみたいです」



「パン屋?なんでそんなとこに」


ゾルゲ兄が言った。


「いや、わかりません、小船の番頭の話しじゃそれしかわからかったみたです」


体格の良い坊主が答えた。





【バルクロスとダナス夫妻】



 馬にまたがった二人の男がフフリンの町を通過しようとしていた。


 その二人とは、ディック島を牛耳るボス”バルクロス〟、そしてその右腕ギルドという男だった。



 ギルドは、道の先にパン屋がある事に気づいた。


「ちょっと、よっていきますか?」



 バルクロスは、短い銀髪と鋭い眼光をそのパン屋に向けた。



「ああ、腹も減っている事だし、寄って行こう」



 バルクロスとギルドは、馬を降りてベーカリーダナスに入っていった。


「いらしゃいませ」


レナードが威勢よく挨拶をした。


 バルクロスは、すぐに店主がイタサレだと気づいた。


「ここはイタサレがやっているのか、イタサレでは商売できないだろう?」


 レナードは、入ってきた二人組みの男達にすぐさま不快感をいだいた。


「どうだ、いっその事もっといい商売があるんだか、どうだ?」


 クレアは、厨房の中からレナードとお客がなにかや話しているのを察知した。


「いや、断るわたしは、このパン屋がすきだ、


たとえこの状態でもつづける」


 妻のクレアが心配そうに厨房から顔を覗かそると、一人の卑しい男が勝手に店のパンを、食べている事に気づいた。


「無理をするな、これでは経営ができんだろ」


 バルクロスが店内を何気なく見渡すと、壁に、ある女性の写真が飾ってあった。

  

 バルクロスは、その写真に、写っている女性に見覚えがあった。


「この人は?」


「娘のキャメロンだ」


(こいつらあの女の両親か)


 レナードは、バルクロスの表情が少し変わった事に気づいた。


「知っているのかね!」


「いや、しらね」

 

 

「それにあんたいい加減、店の物を食べないでくれよ!」


 クレアは、ギルドが店のパンを勝手に食べている事が我慢できなくなって、店頭にでできた。


「クレア、厨房にいなさい」


レナードは、クレアを安全な場所に行って欲しかった。


「どうせ売れねえんだからいいじゃねえか!」


ギルドは、パンをむさぼりながら言った。



「そう俺たちをじゃけにするなよ、その娘はしらねーけど噂は聞いているよ」


 バルクロスが夫婦二人に話し始めた。


「たしか、キャメロンさんは国王軍の3番隊長を務めてたみたいですね」


「お前、なにを知っている?」


「いや、直接は知りませんよ、あくまでも噂できいた話しです」


「その娘さんは、物取りによって殺害されたとききました」


「その話はやめてくれ」


「いや、ねー娘さんを殺した本当の犯人知りたくないですか?」


「お前は、なにを知ってるんだ」


「本当の犯人、いや原因はキャメロンさんの元夫、アスロンにあるんですよ」


「アスロン、、」



「いやね、貴方達の娘はアスロンに殺されたってと言ってもいい、これが真実です」



「あなた、いい加減にして」


クレアは、バルクロスに向かって言った。



「まぁ、信じなくともそれが真実さ」



「さって、お喋りはここまでだ」



 そう言うとバルクロスが首を鳴らしながら、レナードに向かって歩幅を狭めていった。


 ギルドは、それをみて薄ら笑いを浮かべ出した。



つづく

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