第20話 『違和感』トロール編8

【三好佳純の場合】


地球



神奈川県



〜葉山、逗子付近〜



三好佳純が逗子の街を歩いている。


額からは、汗がしたたり落ちていた。



静かな住宅街にの古びた家の前で”三好佳純〟は足をとめた。



 三好佳純は、入り口にある門から入り、玄関先のチャイムを鳴らした。



すると、中から身体の大きな、耳の先端が尖っている男がでてきた。



「どちら様ですか?」



「三好佳純と申します、橘葉日子の同級生です」



「そうですか」


男の目は鋭くなった。


「あなたが、あの絵本を描いた作家さんですよね?」


「絵本?」



男は、とぼけた。

 



「失礼ですが、あなたはエルフですね」



男は、黙った。



「橘葉日子が病院からいなくなりました、あなたは何か知っていませんか?」



男は、頭を掻いた。


「参ったなー君は、凄いね?なぜ、僕の事がわかったの?」



「私の趣味の力です」


佳純は、微笑んだ。


三好佳純は、ミステリー小説が好きだった。


子供の頃から謎を説くのが好きだった。


橘葉日子と仲良くなったのは、なんとなく自分と似ている所があったからだ。



「先に言っておくよ、彼女は無事だよ」



男は、無骨な顔をしていたが、笑うととてもチャーミング


だった。


三好佳純は、少しほっとした表情をみせた。


【パピコとガルダダの編】



ガルダダの家、付近


ガルタダの家の付近は、広い草原だった。


遠くには、パルファスナ山脈が静かに鎮座していた。


(心を解放するんだ)


(恐れを捨てて全てを何者でもない者に委ねるんだ)


 それは、パピコ自身の声なのか、ガルタダのものか、またそれ以外の者か、誰ともない声に心を委ねた。



 ガルタダは、未だ深い瞑想状態にあった。


大きな岩の上に座っているパピコと目の前に姿勢良くしているファルゴがいる。


 パピコは、何千回もくりかえした欠伸を再びした。



いつもは、ファルゴは眠らず失敗に終わっていた。



 だが、この欠伸はいつもとは明らかに違っていた。


目の前のファルゴは、眠りについた。



「ガルダダ、やったわよ!」



しかし、ガルタダからの返事はなかった。




「ガルダダ起きて!!」



パピコは、ガルダダの身体を譲った!




「あああ、」



ガルダダは、深い瞑想状態にあったからなのかパピコの欠伸によって眠らさせられたのかは分からなかった。



 ガルタダは、優しい目でパピコをみた。



「その感覚を覚えておくと良い」



パピコは、頷いた。



 ガルタダがツキヨの呪文の説明をしてくれた。


「”ツキヨ〟は、強力な眠りの呪文だ、半径3メートルの物達は、全て眠らせる事ができる」



「それって仲間も眠らせちゃうじゃないの?」



「そうだ、だから仲間を眠らせてしまったら、呪文者が触れてあげる必要がある」



「そして、ツキヨは万能の呪文じゃない、何回かけていると相手にはかかりにくくなるし、強い気を持っている相手には通用しない」



「そうなんだ」



「でもこれは、ある程度相手ならとても効果的だ」



「うん」



 パピコは、眠っているファルゴに触れて目覚めさせてあげた。



【グリースの編】



 馬に男二人が乗っていた。



前にフィル、後ろにグリースが乗っていた。




「ガルダダの家だ」



グリースが後からフィルに言った。



「はい」



家の前の野原には、パピコとガルタダがいた。



「グリースが戻ってきた!」



 グリース達が、ガルタダに失敗を告げた。ガルタダは、アイテムは、一つでも欠けていたらアイテムは完成しないと言った。



 フィルは動揺して言った。



「そ、そんな大事なアイテムだったんですね、」



「こちらさんは?」


パピコは、見知らぬ兵士の事が気になった。



「フィルや、おいらに手伝ってくれたんや」



「すみません、お役にたてなくて」



「そうなんですね、フィルさん手伝っていただきありがとう」


 パピコは、そう言うとフィルに微笑んだ。


「そろそろ、フィルは城に戻った方がいいんじゃないか?」


 グリースは、フィルを気遣いそう言った。


「はい、わたしはお二人の無事を国王様に報告しなきゃなりません」


 フィルは、照れ臭そうにそう言った。


 


 フィルは、皆に別れを告げ、乗ってきた馬で城へと向かって行った。



”パカ〟


”パカ”



 フィルの馬がたてた砂埃があたりを覆った。



「グリース、あのフィルって人どんな人?」



「いや、見てのとおり気の弱いとてもいいやつだよ、兵士にはめずらいな」



「ふーん」



「どうかしたか?」



「いや、別になんでもない」



「変な奴だな」


 パピコは、フィルに城内での違和感と近いものを感じていた。


 ガルタダは、アイテムが完成しない今、魔女の所にパピコ達を行かせるべきではないと判断した。


「パピコは、君の旅はもうこれで終わりだ」


そうガルタダから言われたパピコとグリースに動揺が走った。



【フィルの編】



ガルダダの家を出た直後のフィル



フィルの馬が砂埃をたてて走っていた。



突然、フィルの馬が両足を前にだして、止まった。



「どうした?」



フィルは、馬が何かを踏みつけてしまったのかと思った。



しかし、あたりを見回しても障害物らしきものはなかった。



「さ、行くぞ」



フィルは、馬の腹を足で二、三度蹴った。




すると馬は、また走りだした。



フィルが過ぎ去った後、


その周辺の草むらが動いた。



草むらからでてきたのは、ミントだった。



「ひーあぶねな、あの馬」



ミントは、服についた砂を払った。



(馬に乗ってた奴、なんか異様な感じがしたな)



 ミントは、多分パピコと同じ感覚をフィルに感じていた。





〜つづく〜


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