第21話 『信じる事ができない』トロール編完

【妖精ミントと家族の絆】



 船着場から”アダストリア〟に向けて船が出港した。



ミントは一人葛藤をしていた。



『僕はなにをやっているんだ』



パピコとグリースの顔を思い出した。



ドリーマーというミントにとって信じらる者を失った今ミントの心にはぽっかりと穴が空いてしまった。



(彼らとの約束を破ってしまった)



ミントは、父親に正直に告げた。




「そらぁ、あの二人に悪い事しちまったな?」



「父さん、僕はどうすればいいのかな?」


「普通だったら謝りに行くべきだが、もう無理だべな」



「そうだよね、、もう遅いよね、、。」



「ミントなぜ、約束を破ったんだべ?」



ミントは、父親にそう言われると自分でもよくわからなかった。



「ドリーマーさまの死が受け入れなかったんだ」


ミントは、わからなかったから正直に思いを言葉にした。



「それと、なして彼らが関係あんだべ?」


ミントは、父親にそう言われると言葉を失った。


母親は、ミントに、助け船をだした。


「おとさん、あまりミントをせめるでないよ、、。」



「僕にもわからない、、んだ」



「ミント、あんたは信じてる者をけなされたと感じたんじゃねえべか?」


母親は、息子の気持ちを代弁した。



「わからない、よ、、」


「ミント、父さんは、ああ言ったが、あたしは、今からでも遅くねえ、と思う」



「母さん、今、ミントがこの船から降りて彼らのところにいったらもう一生逢えねえかもしんねえど」


父親は、母親に不安をうったえた。



「ええではねえか、後悔していぎるより、あたしゃよっぽどその方が価値あるとおもうがね?」



「仮に約束を果たしたその先は、どうすんだべか?この船はこれで最後、もうオラ達とあうことはできねえかもしんねー、ミントは一人ぼっちでねえか?」



「待って下さい」


エルフの乗組員が、話しに加わってきた。


「我々がミント君を連れ戻す船をまた出します」


父親は、そのエルフの乗組員が言ったひと言に顔が晴れた。


「本当け、助かります」



「ミント君戻ったら、下女に会いに行ってください、そしたらまた、わたし達は、また船をだします」


ミントは、乗組員の言葉に感謝して頷いた。


エルフ乗組員は、ミントをまた船着場に戻す為に小船を用意してくれた。


両親とミントは、しばしのお別れを伝えあった。



そして、ミントは小船を漕ぎ、船着場に戻っていた。



その姿をみている両親は互い語り合った。


「母さん、なしてミントにあんな事さ、言ったんだ?」



「あの子は、信じてた人を失った」



「わたしらには、あの子の空いた穴はうめらんねー」



「わしらもあの子にもしもの事があったらぽがっかり穴があいちまう」



「ばかいうでねぇ、あの子は生きてるでねえか」


母親は、そう父親に強く言った。



ミントが、船着場に着くともう下女はいなくなっていた。



船を岸にくくりつけると、ミントは足早にガルダダの家に向かった。



【妖精ミント】



フィルの馬が何かを踏みつけたように感じたのは、ミントの事だった。


しかし、ミントは素早くそれをかわして草むらへと隠れていた。


「ミントは、あの男なに者だ」


ミントは、フィルという男に一種の嫌悪感を感じた。



【ガルダダの家】



ミントがガルダダの家を訪ねた。



すると部屋には、ガルダダしかいなかった。



訳を訊くと二人は、マフィルカの瓶だけをおいて先を目指したという事だった。


 ガルタダは、魔女の元に二人行かせないつもりでいたが、ひとつの望みに託した。それは、アスロンという男を仲間にすることだった。


〜回想〜


「わかったわ、アスロンを必ず仲間にする」


「アスロンを仲間にできなかったら諦めるんだ、そのときは私の家に戻ってきなさい」


パピコとグリースは、頷いた。




〜回想終了〜


 ミントは、遅かったと感じだが、ガルダダはマフィルカの瓶に素材を入れる事を提案した。


ミントが自分の尿を、入れると瓶は青く光った。


 そして、ガルダダも素材となる呪文を、瓶入れると今度は、紫に光った。


ガルダダは、ウォルフィットにこれを持たせて二人にとどけるように伝えた。


 そこでミントは、ウォルフィットが届けてくれるなら、自分がいかなくなくても良いかなと思った。


でも本当は、自分もウォルフィットと一緒に行って謝った方がやはり良いとも思った、

しかしミントは言葉につまりガルダダにウォルフィットと一緒にパピコ達の元に行くと言い出せなかった



 そしてミントは、ガルダダにこれからまたアダストリアに戻る事を告げた。


 ガルダダは、ミントにファルゴに乗って帰ることを提案した。


 ミントは、立派なファルゴの姿に惚れ惚れした。


 その姿に恥じぬように、一応、自分はパピコ達との約束を守ったと自分に言い聞かせた。



【パピコとグリース】



プランドール地区



 パピコとグリースは、ディク島と言われる場所に向かっていた。



 そこには、アスロンと言われる大剣士がいる。

しかし、その大剣士は、今は流浪の身になっていた。


 ガルダダは、アイテムがない以上、アスロンを仲間にするのは、絶対条件だと言った。



グリースは、パピコに話しかけた。



「おいらさー、日本で”ゲッツ板谷〟という元々ヤクザの予備軍の人の本よんだわけよ、それがメタメタ面白かったわけよ!」


「あんた、日本でなにしてんの?」


「その国の文化を知るのは大切だと思うがね!」


「ゲッツさんには、失礼だけどそれは日本の文化を知る事にはならないと思うよ」


 グリースは、ゲッツ板谷のエッセイに出てくる話しをパピコにしたが、パピコは、一ミリも、笑わなかった。


※余談であるが、”メタメタ〟とは、ゲッツ板谷さんがめちゃくちゃという言葉を別の表現で使っている言葉で、あと”僕〟といのを”ボキ〟と言ったりもしている。


 パピコとグリースが、物語の展開とはまったく無関係な雑談をしていると後ろからウォルフィットが走ってくるのがみえた。



ウォルフィットが二人の横にきて止まった。



 ウォルフィットは、この世界では異獣と呼ばれている麒麟だった。



 グリースは、ウォルフィットの背に乗っているマフィルカの瓶に気づいた。



「パピコ、ほら言っただろ!ミントは必ず戻ってくるって!」


グリースがそう言うとパピコは、黙った。



「そうですね、グリース様あなたの言ったとおりです」


 ”カッカッカッ〟


 そう言うとグリースは、有頂天になり高笑いをしてみた。


 マフィルカの瓶を置いていく事を薦めたのは、ガルタダだったがなぜかグリースの手柄みたいになっていた。


”ガッシ〟


 グリースの足をパピコが思い切っり蹴った。


「痛ァー」


「な、な、何をするんや!」


「いや、なんとなく」


「なんとなくで、蹴るなよ〜」


 グリースは、泣きそうな顔でパピコをみた。

 

 パピコは、ミントが戻ってくるなど思っていなかった。


 本当のところ、ミントを信じていなかったのだ。


「でも良かったわね?これで、安心ね!」



「ああ良かった、俺たちツイている!」



 パピコは、いつの頃だろか人に期待しないようになっていた。だからミントの事も信じれなかった。


 でもそれはなんだか寂しいようにも感じていた。



 パピコは、再び首からマフィルカの瓶をかけ歩き出した。



 ウォルフィットは、首を上下に移動させ、前足で砂を蹴ると、身体を反転させた。


「ウォルフィット、ありがとうな」


 グリースがそう言うとウォルフィットの目は、グリースの方に向かった。


 パピコは、ウォルフィットを撫でた。


「ご苦労様」



 パピコがそういうとウォルフィット低い声をあげた。


”フォーォン〟


 それからしばらくして、パピコ達の元から走り去った。



【ダナン城での事件】




 ラウルとダン、そしてフィルが無事に城に戻ってから数日後の事。


国王のいるダナン城では事件が起こった。


 第九番隊長が何者かによって殺害されてしまったのだ。



そこで、城内にいる全ての者に容疑がかかった。



 パピコとグリースを援護する部隊もしばらくは派遣する事は、できなくなってしまった。


【ミントのこれから】


 ファルゴの上に乗ってアダストリアに向かう事になったミント、その前にその事を下女に伝える為、エルフの里を目指していた。


 ミントの心の中では、今頃になって二人に会っていけば良かったと後悔していた。



 空には、雲ひとつない青空が広がっていて、そんなミントの心を癒してくれた。



トロール編



つづく

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