第15話 『ノープラン』トロール編3

【パピコの心の中】


”ドンガ、ドンガ、ドンガ〟



 私の中の心の太鼓が鳴り出した!



「太鼓の音は、ドンドンドコ、ドンじゃないの?」



「ドンガ、ドンガってなんの音だよ?」



「ちょっとやだ、グリース私の心の中に入ってこないでよ!」



「いや、パピコ、声に出しちゃているから心の声が」



「はがぁっ」



パピコは、左手でとっさに口元を塞いだ。


【パピコとグリース】


「パピコ、作戦は、?」



「ノープランで突撃よ!」



「死ぬな、母さんわしら」



「んだべ、まちげぇな、しがだねぇ、この子らに秘密もらしちまおう」


妖精夫婦は、二人して不安な顔をしていた。


【国王軍とパピコ達】



 トロール達に苦戦していた国王軍だったが、そこに現れたのは、パピコ達だった。


国王軍とトロールの前にパピコとグリースが立ち塞がる。


「おーい、トロール!」


トロールに向かってパピコが叫ぶと、トロール達がパピコ達の方に向いた。



「エルフ達と妖精トロール達が行った場所を知りたいかぁ!」


トロール達は、興味を示し鼻を鳴らした。


「こら〜なにいてんだべ!」



「いいじゃない!お父さん、兵士さん達を助ける為よ!」



「ワシらの事も思ってけろ」



「どこだ?」


トロールCは、パピコに聞いた。


「それは知らない。ただ、明日その場所にいく最後の船がでる」



「あー言ったなーやめろぉ〜そういうつもりで教えたんでねーぇから」



「けっ、また俺らを騙そうとしてんだな」


トロールBは、その言葉を信じなかった。


ボロボロになった兵士達は、パピコ達とトロール達が会話をしている隙に次々と退散していた。



「どうする、その船の場所教えましょうか?」



「ばかか、誰が信じるか!」


トロールBの緑色の顔が、興奮した様子で少し赤らいでいた。


パピコは、兵士達が全員退却したのがわかった。



「じぁーそうですか、では、私達は、これにて、お疲れっしたぁ!」



パピコ達は、くるっと回って一目散にその場から逃げた!




トロール達、唖然とした。


トロールAが、周りみた。


「兵士共がいないぞ」


トロール達は、兵士達が退散したのを全く気づいていなかった。



「逃げやがったなー」



「くそ、アイツら八つ裂きにしてやる!」



トロール達は、全力でパピコ達、目掛けて追いかけて行った。

 


パピコとグリースは、一目さんに走っている。



【国王軍】


 国王軍が岩陰に隠れて項垂れていた。


国王軍は、トロール達によって、ダンとラウルと数人以外は、ほぼ瀕死の状態になってしたっている。



「はぁはぁはぁ、ダンさん、大丈夫ですか?」


「はぁはぁ、大丈夫だ、でもこの状態は、まずいな、何人かの兵士達が死んでしまう、、」



「うぅ」


「ぐああぁ、あ」


兵士達の身体から、血が噴き出していた。



「もしかして、あの娘達が戻ってこなかったら我々もどうなっていたかわからない」



「確かにそうですね。助けてるつもりが、助けられてしまうとは、、」


「城に戻りましょう、隊長」


フィルという兵士が、二人に声をかけた。なぜかフィルだけが無傷だった。


フィルは、ダンとラウルの隊ではなく、9番隊に所属している兵士だった。


「お前は、全く無傷だな?」


「は、すみません、怖く怖く、、」


フィルは、気が弱かった。どうやらずっと隠れていたらしかった。


「いいんだよ、兵士にはお前みたいのも必要だ、フィルは9番隊からの唯一のきてくれたんだよな」


ラウルは、フィルに優しい言葉を、かけた。


「はい、わたしがお役にたてる時が、あればなんなりとお申しつけください」


 ダンは、フィルを怪しい顔でみていた。ダンは、フィルに対して少し不可解な思いを感じた。


【パピコ達】



「パピコさん、なんで、マジな事教えちゃの!」


「お父さん、だってアイツら絶対信じないしょ、信じたらばかよ一回だまされてんだから」


「そうだったんでっか」


 トロール達は、パピコ達を追いかけながら話をしている。


「あんれ、もしかしてアイツの言ってる船が出るって本当かもしんねーな」


「おー本当は、俺もそうじゃねえかなと思ってたんだ」


獰猛なトロールは、猛烈にバカだった。



グリースが走りながら振り返る。


「やべーまだ追ってくるよ」



「グリースまた乗っけて、、」



グリースがパピコをみた瞬間どこから石が飛んできた。



”バシューン〟



その石は、パピコの背中を、直撃した。


トロールAが笑っていた。石は、トロールAが投げた石だった。



「”痛っ〟」



”バターン〟



パピコは、倒れ込み、背中から血が流れだした。




「パピコぉおお!!」




するとグリースの鼻に石が直撃した。



”バシューン〟


”ドターン〟



グリースも倒れてしまった。




パピコが倒れて牢屋の箱がコロコロ飛転がって行ってしまった。


”ゴロン、ゴロン〟


「痛、痛!痛!」


妖精夫婦が、入っている牢屋の箱が転がっている。


”ゴロン、ゴロン〟


「あた!あた?あたぁー!」



ミントは、倒れてたグリースとパピコを起こそうした。


「大丈夫?」


グリースとパピコの返事はなかった。



トロール達が、倒れたグリースとパピコ前に立ちはだかっていた。


ミントは、トロール達を前にして恐れをなしている。


「やばい、、な、なんとか、、しないと」


しかしミントは、震えて身体が、動かなかった。



「散々と俺らを舐めてくれたな、でももうこれでおしまいだ」



トロールBがパピコの身体に棍棒を振り下ろした。



がはぁ!



がっは、



『あれ』




「身体がら動かねえ!」




牢屋の箱を持っている男がいる。




 ミントが振り返ると両親の箱を、持っている男に気づいた。

 

『この人の仕業か、、』


 その男は、目は鋭く短い髪に不精で、武骨な体型をしていた。


そして、身体には賢者らしき布を巻き付けていた。



「さ〜てそろそろ、眠りの時間だ」




トロール達が、一斉に男に襲いかかろうとした。




男は、欠伸をした。



「ふわぁ〜あぁ〜あぁ〜あぁ〜あ」



トロール達は、その欠伸聞くと次々に倒れて、寝てしまった。


牢屋の箱の中の妖精トロール夫妻もミントも眠ってしまった。



男は、欠伸をした後、その場の様子を見回し歩きだした。



その様子は、とても落ち着いていた。


男は、呼吸を整えて息を吐き出した。



「ふーう」



その男は、カナンドールでは大賢者と呼ばれていた。



名を”ガルダダ〟といった。



つづく








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