第16話 『ゲットバック』トロール編4
バロン岩付近
〜1時間前〜
妖精母は、パピコ達に話しをしていた。
「エルフさぁ達がどこさ、いづだがわかんねんだけんども、私も明日、ドリーマー様達と最後の船出をするんだぁ〜」
「そうさ、俺らはドリーマー様が残っている事を知ってドリーマー様と行く事にしたんだ」
ご機嫌なミントをグリースの言葉が台無しにした。
「ドリーマー様は、もうお亡くなりになられた」
「おい、雑巾やろう、嘘つくなよ!」
「本当けろか?」
妖精父がパピコに尋ねた。
「はい、、」
『そんなの絶対、うそだ、、』
パピコは、何かを思いつき、グリースに言った。
「ねえ、グリース、ここでおろして」
パピコとグリースがトロール達と800メールの距離に立った。
パピコは、兵士達と格闘中のトロール達に目がけて叫び声をあげた。
「おーい、トロール!」
パピコは、できるだけ笑顔を作ってそう叫んだ。
【直樹の編】
地球
神奈川県鎌倉市
某神社
そこは、木々が生い茂り、神秘的な空気が漂っていた。
鎌倉の小町通りから少し行った所にその神社があった。
その神社に毎日、参拝にくる青年がいた。
青年の参拝は、今日でちょうど90日目になっていた。
誰もいない神社で”真鍋直樹〟は、御神体に向かい手を合わせている。
その顔には、何一つ曇りのない純粋さが滲みでていた。
真鍋直樹は、参拝がおわる鳥居をでて学校へといつもの道を歩いた。
彼はパピコが地球からいなくなってからも毎日、それを続けていた。
【ガルダダの編】
惑星カナンドール
ポートドール国
ガルダダの住まい
時間は、AM1:00
パピコとグリースは、ガルダダの住まいのベッドで横になっていた。
ガルダダは、別の部屋で眠らずに半眼でただ座っていた。
グリースが、突然飛び起きた!
「がはぁ、はぁ、」
横に寝ている、パピコに気づくとグリースは、起こそうした。
「パピコ、大丈夫かぁ?」
パピコは、返事がなかった。
ガルダダが、グリースのいる部屋に入ってきた。
グリースは、ガルダダに気づくと安堵した。
「その娘は、心配ない、ただ寝ているだけだ」
パピコのリュクが、”びぃしゃびしゃ〟になっていた。
ベッドの脇にある台には、マフィルカの瓶の首飾りが置いてある。
「グリース、鼻が、、」
グリースの鼻がなく、逆にボコッとして空洞みたく凹んでいた。
「これですか?これは元々です」
グリースは、自分の鼻を触りながらそう言った。
「ちょっとこっちにきなさい」
ガルダダとグリースは、別の部屋へと誘った。
【グリースの編】
グリースは、鼻にテープをバッテンはった。
「ガルダダ様ありがとうございます」
「いや、いいんだグリース、それと私に”様”は必要ない、人様に”様〟と呼ばれるほどの人間ではない」
「なんで、ですか?国の民は皆、あなたを尊敬しています」
「私は、自分の感情もコントロールできない愚者だ」
グリースは、何かを考えている。
「じゃあ、呼びつけにしても」
「ああ、もちろんだ」
「ガルダダよろしく」
ガルダダは、笑った。
グリースは、ガルダダからドリーマーの下女が話していた話をより詳しく聞いた。
「そうだ私の意識だけがこの世界に舞い戻った」
「そんな事って可能なんか?」
「ある箱が私の前に現れてそれを現実の物にしたんだ」
「箱?」
「叡智の箱と言っていた」
「へ〜そんなのがこの世にね〜世界はおいらが理解できない事があるもんだ」
「という事は、この世界はガルタダ様、いや、いけねーガルダダにとって2度の世界なんやね」
ガルタダは、微笑み
「グリース、好きに呼べ」
「ガルダダがええな」
ガルダダは、頷いた。
「そうだ、この世界はやり直しの世界だ」
「だから、私は今回、魔女の件から手を引いた、いや、正確には、手を引かざる追えない状況になった」
「なんや、それは?」
「それは、時期にわかるだろう、私はそれまで、君らにはできる範囲では協力する」
「そうか、ガルダダが魔女の所まで一緒に言ってくれば心強いんだけどなぁ〜」
ガルタダは、首を振った。
ガルダダ、思い出したようにグリースに問いかけた。
「もうトロールの尿は、マフィルカの瓶にいれたんだろう」
「いや、まだだよ」
「それは、本当か?」
「わたしは、てっきり」
「どないしたん?」
「妖精トロールの家族は、エルフの船に旅立つてしまった」
「うそやろ!じゃあミントは、尿を残してたんだろう」
「いや、何も残してない」
「ミントのヤロぉ〜」
【ミントの編】
夜の道
ミントは、くしゃみをした。
「ミント大丈夫?」
ミントは、鼻を啜った。
「急ぐべ、明日の昼には、船が出航する」
「あの二人、嘘つきだ、ドリーマー様が死んだなんて、、」
「ミント、何か言った?」
「いや、なにも」
妖精トロールな家族は一路、船着場まで歩みを進めていた。
【兵士達】
バロン岩の近く
兵士達
「この状態では、任務が遂行でませんね」
数人の兵士達が瀕死の状態の中、ラウルがダンに言った。
「俺たちは、瀕死の兵士を連れ城にもどる」
「ラウルとファルで、あの二人の消息を追ってくれ、無事が確認できたら君達も一旦城にもどってきてほしい」
ラウルは、ダンの提案を承諾した。
ダン達一行は、一路城に戻っていた。
ダンの一行とラウル一行は、それぞれ別れた。
【ガルダダとグリースの編】
ガルタダの住まい
「船着場の場所は、何処か聞いてないのか?」
「聞いてない、どこに行ったのかもわらない」
「ガルタダは、ドリーマー様からどこに行くか聞いてないのか?」
「エルフ達が何処に行ったのかは知らない」
ガルダダとグリースは、エルフ達の行方について話し合っていた。
「じゃあ、残る選択肢は一つだな」
「もう一度、獰猛なトロールの所にいく」
「そうか、私も協力しよう」
「いや、ガルタダは、パピコが起きたら事の詳細を教えてほしい」
「大丈夫か?」
「問題ない」
「ガルタダ、なんか尿を入れる瓶はないか?」
【グリースの編】
グリースが夜草原を飛んでいた。
「おーい、グリース!」
グリースは、声のする方に自分の目から発するサーチライトを照らした。
そこには、馬に跨ったラウルと見知らぬ若い兵士がいた。グリースは、その場所に降り立った。
グリースとラウルは、再会にお互いの状況を教え合った。
「そうか、それでその瓶を持っているのか?」
「トロール達が夜、寝ている間、お小水に起きたら、その時に尿をいただくのよ!」
「じゃあ、私も手伝おう!」
「いや、大丈夫だよ、簡単な仕事さ、俺一人でも充分だ」
「でもこれから夜中、起きているのは大変だろ?」
「俺が手伝えば、交代で寝る事ができる」
「それもそうだな、じゃあラウルお願いするよ」
「フィル、君は城に帰って二人が無事だった事を伝えてほしい」
「いや、ラウルさん、私がグリースさんのお手伝いをします。私も何かお役に立ちたいのです」
ラウルは、気弱なフィルの提案に少し躊躇したが、その提案を承諾する事にした。
「そうか、わかった。君の気持ちを受け入れよう」
「ありがとうございます」
「グリースさん、よ、よろしくお願いします。フィルです」
「よろしく」
ラウルとグリースは、軽い挨拶を交わして別れた。
グリースとフィルは、獰猛なトロールの所に向かった。
ラウルは、城に向かう途中に思ったフィルみたいな心優しい兵士の事を思い少し笑顔になった。
つづく
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