第14話 『アンダープレジャー』トロール編2
バロンの岩の畔
【ラウルと妖精トロール】
獰猛なトロール達は、朝まで飲んだくれていた。
兵士達は、交代で睡眠をとっていた。
〝がぁーるる、すぴ〜ぃ〟
日の出とともに獰猛なトロール達は、イビキをかいて眠ってしまった。
そこから、少し離れた薄暗い洞窟の中に、小さな牢屋の箱があった。
その中には、男性と女性の妖精トロールが横になっていた。
男性の妖精トロールがむっくと起き上がっり目を覚ました。
男性の妖精トロールは、自分の側で横になっている女性の妖精トロールを手で軽くたたいて起こした。
女性の妖精トロールは、少し不機嫌そうな顔しつ起き上がった。
男性のトロールが女性のトロールに何かをいうと二人は共に立ち上がり、周りを見回しはじめた。
男性の妖精トロールが、草の陰に隠れている兵士達に気がついた。
草陰にいたラウルも檻の箱の妖精トロールが起きた事に気づいた。
ラウルは、妖精のトロールが生きていた事に気づき安堵した。
「おねげぇ〜しますだ!たすけてくだせ!」
男性の妖精トロールは、声には出さずに口パクで”ラウル〟に伝えた。
ラウルは、なんとなく妖精トロールの言っている事が助けを求めていると感じた。
「ダンさん、妖精トロール達は、生きていました」
ラウルは、ダンに想いを伝えた。
「よし、助けてやろう」
ダンは、妖精トロールを助ける事を了承した。ダンの心の中は、昨日からの残酷な光景で少し変化していた。
兵士達は、ラウルの指示の元、迅速な行動で妖精トロールの入っていた檻の箱を草陰まで持ってきた。
『zzz...ぐわぁーーあ』
獰猛なトロール達は、イビキをかいてぐっすり寝ている。
助けた妖精のトロールは、夫婦のトロールでヨーデルの泉に息子を置いてきたと言った。
「今から帰って息子にあいにいきてんですが、、
でも牢に鍵がかかかっていて、、ぇ」
ダンに妖精トロール父は、訴えた。
「君らだけではヨーデルの泉まで行けんね」
ラウルが何かに大事な事を見過ごしている事に気づいた。
”妖精トロール〟と”獰猛トロール〟同じトロールか、、。
「すみません、妖精さん、獰猛トロールと妖精トロールは、何か関係があるのですか?
ラウルは、妖精トロール父に聞いた。
「元々は、同じ部族だと聞いたことがありますだ」
「なんで、こうも違くなるんだ?」
兵士達が口を挟んだ。
「それは、わたすにもわかりません」
「ダンさんもしかしたら、魔女退治に出た二人はトロールにはニ種いるという事を気づいたのかもしれません」
「という事は、二人はヨーデルの泉にいる可能性があるかもしれない、そういう事か?ラウル」
「はい、我々もヨーデルの泉に行くべきだと思います」
国王軍と妖精トロール夫婦の意図が一致した。
国王軍は、妖精の子供がいるであろう”ヨーデルの泉〟に向かった。
獰猛なトロール達は、寝息をたてたままだった。
【パピコとグリース】
ヨーデルの泉
グリースの身体が木に縛りつけられる。
「パピコはーん、わしの体動きまへん」
パピコは、声のした方を見ると大木に縛りつけられるグリースがいた。
「なんやパピコはんも、しばられてんねんな」
パピコも、大木に縛りつけられていた。
「やめて!パピコはんっ言うの!」
「パピコはんは、パピコはんやで!」
どきどき、グリースはデタラメな大阪弁をつかう。
まぁそんな事は、どうでもいいのだが、身体が動かなかったのは縛りつけられていた為だったという事にパピコは少し安堵した。
「おまえら、何者だ?」
パピコとグリースの目の前に、木の枝に立っている直径8センチくらいの妖精がいた。
この妖精トロールは名を〝ミント〟と言った。
両親が昨日、獰猛なトロールにさらわれてしまったらしい。
「わぉ〜お、幸運の妖精ちゃんやで!
これでこの先、オイラの人生幸運なことしか起こらへんがな!」
「待って、この妖精は、最初に私を見て話かけてきたのよ、よってこの先、幸運なことしか起こらないのはこのワタシ」
「おい、お前ら二人は、なに言ってんの?馬鹿なのか?身体縛られている、この状況わかってる?」
「いや、私達、昨日の夜にドグマという気持ち悪い生き物に追いかけられたりと大変だったから、なんかアナタをみたらついほっとしちゃて!」
「あーそうか、舐めてんだな!このおれを!」
「すんません、お願いします、アナタの尿をください!」
「テメ、何言ってんだよ、いきなり変態かよ!」
「グリース、いい方が悪いわよ、そんな言い方したらもらえるものももらえなくなるわよ!」
「なんで、もらえる前提?絶対そんなのあげるかよ!変態どもがぁ!」
しばらく、三人に珍会話がつづいたが、落ち着いた頃にパピコは、ミントに事の経緯を話しした。
ミントは、捕まった両親を助けてくれたら、パピコの願いを聞くと約束してくれた。
「わかったわ、あなたの両親を助けにいきましょ」
パピコは、ミントにそう言った。
そして三人は、ミントの両親を奪還するのを話しあった後、ヨーデルの泉を出た。
【兵士達】
ヨーデルの泉
兵士達がヨーデルの泉に着いたのは、パピコが去った後だった。
しかし、兵士達は、そんな事に気づくはずもなく、バラバラに分かれてパピコ達を探してた。
「いませんね?」
「こちらもいないですね」
「やはり最初から、獰猛なトロールの所にいったのか?」
兵士達が困り果てていた。
「ワシの息子がどこにもいねえでげす」
妖精父は、とんでもない訛りで兵士達に訴えた。
「もしかしでぇ、私らを追ってと獰猛なトロールの所に行ったのかもしれません」
「もしかして、行き違いしたかもしれません、あの二人は妖精の子供ともに獰猛なトロールの所に両親を助けに行ったのかもしれませんね」
「ラウル、確かにその可能性はあるな」
「またあの場所に戻るんですか?」
兵士の中で何人か少し不満を漏らす者もいた。
「あいつらが起きる前に戻らないと面倒くさい事になるな」
「そうですね、起きて牢屋の箱が、ないと知るとかなり厄介ですね」
「急いで戻ろう』
「ちょっと待ってけろ、またあの場所に私らを置くですか?」
ラウルとダンに妖精トロール父は、言った。
「すまない、なるべく気を失ったままの演技をしておいてください」
「心配だべぇ、」
ダンの言葉に対して、妖精母も心配そうな顔を隠せないでいた。
「なにか、生命の危険があれば合図してください」
「わかりまじた、葉笛さ、吹きますだ」
「その時は、必ず助けにいきます」
ラウルは、妖精トロール父に伝えた。
任務以外の事であったが、一番隊長であるダンは、ラウルの意見を反対する事は言わなくなっていた。
国王軍の中では、パピコ達を追って獰猛なトロールの所に行かせないようにする案もでたが、パピコ達が今どこにいるのかが不明な為、それはできなかった。
【国王軍】
バロンの祠に兵士達が、着くとまだ獰猛なトロール達が寝ていた。
パピコ達もまだきていなかった。
ラウルは、妖精トロールが入っている牢屋の箱をそっと置いて草陰で待機していた。
パピコ達がバロンの祠に来たのは、日が沈みだす直前の頃だった。
【召使い】
バロンの祠
トロール達は、もう目覚めていた。
トロールBとAが話をしている。
「さて今日は、あいつらに真相を聞き出そう」
「ききだしたら?」
「もちろん、殺すよ、生かしておく意味ないもんなー、そしてなにも言わない時もな」
その会話にトロールCも加わった。
「おれの思うにエルフ達は、宝の山を見つけだしたんじゃねえか?」
「C、お前もそう思うか」
Bが言った。
「そうでなけりゃ隠す必要がねぇからな」
「そろそろあいつらおきてんだろ、祠らを見てくる」
Aがそういうと動き出した。
”ガラガラ〟
するとトロールAの前にリアカーを引いた小柄な人間があらわれた。
その小柄な人間はフードで顔が隠れており、荷台には大量の酒がつまれいた。
その小柄な人間は、自分をある方の召使いと名乗った。
「お噂をお聞きして、あの合戦の祝杯のお酒をお持ちしてまいりました」
トロールAは、召使いの言葉に困惑した。
「あの合戦?」
「おーい、おまえらちょっとこいよ」
Aは、BとCを呼んだ
「なんか、こいつ言ってんだけど」
そのフードを、被った召使いは、少し怯えながら言った。
「わたしは、ある方の使いで参りました、この度の合戦の労いにお酒をお持ちいたしました、どうかお受けとりください」
「合戦なんかしてねーぞ、!」
「お前、怪しいな?」
「うん?昨日のドグマを全滅させた、あれの事ではないか?」
「ドグマ全滅の情報が、もう広まっていたのか」
召使いは、小声で震えた。
『ドグマ、、を、、全滅、、、なんてことを、、』
召使いの異変に気づいたBは、尋ねた。
「おい、どうかしたか?」
「い、いや、本当、助かりました、あの者達には、私達は迷惑をかけられていたので、どうか私達の気持ちをもらってください」
「だよな!アイツら弱いくせに、ぎゃーゃうるせーしな」
「じゃあ一杯もらおうか?」
トロールが、リアカーから酒を持ち出し飲み始めた。
風がふき、召使いのフードからパピコの顔がチラリとみえた。
【パピコ達の作戦】
パピコ達のミント両親奪還作戦は、単純だった。
”トーロル達に酒を振る舞い、トロール達が酔っている隙に、両親を奪還するという、言ったってシンプルな作戦だった〟
パピコは、召使いに扮してトロール達の気を引いていた。
バロンの祠
妖精トロール達の牢がある場所。
「父さん、僕だよ!起きて!」
妖精の夫婦は、息子のミントにきづいた。
「よぐたずげにきてくれたのう、ミント〜」
「実は私達一回助かったのよ!でもね〜ぇ、あなたが余計な、事を、」
「母さん!!それわいわねーやぐぞくだぞ!」
ミントは、きょとんとしていた。
「なに?」
「なんでもねぇ、母さんは、夢をみてたんだ!」
「夢は、みてたけど、あれは夢でねぇよ」
「母さん、はなしが面倒臭くなるんで、すごじ黙っててくれ」
妖精母は、口に手を当てた。
「ミント、どこさに牢の鍵が、あったべか?」
「お父様、心配ご無用です」
ミントの背後からグリースがヘラヘラしながら現れた。
「初めまして、グリースと申します、怪しいものではありません」
妖精父は、マジでコイツ怪しいわーと思った。
「一緒に父さんと母さんを助ける事に協力してくれた人だよ」
妖精父は、社交辞令に徹した。
「そうけい、ありがでぃ」
「これを」
と言って二人に固形物を手渡した。
「これはなんだべ?」
なんや、これも怪しいと父は直感的に思った。
「身体が大きくなる薬です、それを食べると巨大化できるので、檻をぶっ壊せます」
「へーすんげぇなー」
妖精母が疑いもせず、口にした。
妖精父もそれをみて固形物を口に入れた。
”モグ
モグ〟
二人は、食べてしばらくしたが、なにも起こらなかった。
「なんにも起きねぇんだけど」
妖精母は、グリースにクレームを言った。
「んだぁー」
「そうですか、それはただのビスケットですからね」
妖精父は、やっぱりコイツは思った通りだと思った。
「グリース、なんで嘘ついた?、なんで父さんと母さんに嘘ついた?」
「いや〜そんな都合のよい薬みたいのあったらいいなーと思って言ってみたんよ」
「ばかなの、ばかなのか!お前は!」
トロールAが祠の騒がしさに気づいた。
「なんか、祠の方が声がする」
トロールAが祠に向かった。
パピコ分する召使いは、Aを止めた。
「お待ちください!」
かまわず、トロールAが祠に向かった。
「おい、召使いお前も飲め!」
トロールBが酒を勧めてきた。
「いや、私は大丈夫です」
「なに、オレの誘いをことわんのか!」
「いや、年齢的に、飲めないので、お酒は20歳からなんで」
「テメ、意味わかんねーなに言ってんだ!」
「い、いや」
トロールAが、檻の前にいるグリースに気づく、
「なんだ?お前ら?」
ミントとグリースは、Aに気づかれた事を察した。
「気づかれた!」
「ミント、大丈夫だぁーあわてんでも、おら達に強い味方いる!」
妖精父は、葉笛を吹いた。
”ピーーーー!〟
”ピーーー!〟
葉笛のものすご音がした。
国王軍は、グリース達の様子をみていたが、手を出さなかった。
しかし、笛が、なった事によって行動をしなければならなくなった。
ダンが、出陣の指示を、兵士達にした。
ミントは、グリースに声をかけた。
「雑巾男!」
「ミント、逃げんぞ!」
グリースは、両親の牢屋とミントを上に乗せて飛んだ。
「なんだ!」
トロールAの頭上を、グリースは飛んだ。
「パピコ!!」
グリースが叫んだ。
トロールBが、その声の先が召使いに向いていたため、パピコのフードに手をかけよとした。
「お前、顔をみせろ!」
その腕が、パピコのフードを剥がして、顔がバレた。
「人間の子供」
「だから言ったでしょ、私は未成年、お酒は20歳からよ、覚えておいてね」
パピコは、笑顔でそういうとトロールBは、怒りで歯を鳴らした。
「んぐぅぐぐ」
それをみたパピコは、トロールBにニッコリ微笑み逃げ出した。
トロールBは、パピコを捕まえようと手をだした。
しかし、パピコそれを交わすと空中にジャンプした。
グリースは、パピコがジャンプした先に先回りすると、捕まえて自分の上に乗せた。
「ひゅーあぶねー」
「ありがとう、グリース」
グリースがパピコを低空飛行した。
こちらに向かって走ってくる兵士達が目の前にきたので、グリースは、上昇して飛んだ。
「ありゃ、なんだ国王軍いる?」
上空を飛ぶパピコ達と
地を走る兵士達が一瞬、上下で交差した。
ラウルは、上空にいるパピコ達を見た。
パピコは、地面にいるラウルをみた。
”お互いの目が合った〟
ラウルは、パピコに叫んだ。
「逃げてください!」
パピコは、すれ違うとすぐに後ろを振り返った。
見ると兵士達は、トロール達との激突を始めた。
ラウルは、トロールBの振り回した棍棒を身を低くしてよけた。
ダンは、トロールAの隙をつき、刀を振った。
しかし、ダンの刀がトロールAの振り落とした棍棒によって剣が折れた。
”パキィーン〟
トロール達は、異常な強さだった。
次々に兵士達が、倒れていく。
【パピコ】
空中
「よしゃ、!作戦成功!」
「作戦というより、逃げただけよね」
ミントがグリースに突っ込みを入れた。
「まぁ、そうともいうがな」
「パピコ、どう、やつら追ってくるか?」
グリースの上に乗るパピコは、後ろを振り返り答えた。
「いいえ、追ってはこないわ」
「良かった」
パピコは、また後ろを振り返りグリースに言った。
「でも兵士達がトロールと戦っている」
「なんで、いるんやろな?勝手にやらしおけ!」
パピコは、少し無言になった。
そして、口を開いた。
「グリース戻って!」
「な、なに言ってんや」
「兵士さん達を助けるの」
「なんで?」
「理由なんてないよ」
「まじ?」
「まじよ!」
パピコの瞳は、力強さを感じた。
グリースは、困った顔をした。
づつく
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