第12話 『思いがけぬ足止め(後編)』

昨日の夜、パピコは何もない自分が魔女とどう戦うかを考えて不安になり夜はあまり眠れなかった。



【獰猛トロールと妖精トロール】


フラードール国


アテラ地区



ヨーデルの泉付近



動物達の残骸か溢れていた。


それは、獰猛なトロール三人の仕業だった。


獰猛トロールは、妖精を探していた。


「全然おらんな?」


巨大な体格をしたトロールBが言った。


「いたぞ」


トロールCが妖精をみつけた。


二体の15センチ位の小さな妖精のトロールが逃げだした。



その先にいたトロールAが二体の妖精を捕まえた。


「ひゃひゃひゃ」



三人のトロールが不気味に笑った。 



「なにも他の動物達まで殺さなくてもええでないか?」


見た目が中年の妖精は、変な訛りでトロール抗議した。


「あーん」


トロールAは、妖精を睨みつけた。




【ドグマの存在】


ヘロン地区


バロン岩の祠


バロン岩の祠が獰猛なトロールの寝ぐらだ。



国王軍10人は、昼過ぎにヘロンに着いた。1番隊長ダンと3番隊長ラウルそして、ほかの

兵士7人は、バロン岩の祠を目指した。




『ギャゴーギャーゴー』


『ギャゴーゴー』



兵士の一人が何か叫ぶかカナキリ声のような物が気づいた。


「一番隊長、あれの声は、トロール」


「いや、あれは頭のおかしくなったイタサレ達だ」


「皆の者、あの声は、ドグマだ!イタサレから闇に落ちた奴等だ!間違っても手出ししてはいけない」



ドグマ達は、数十人で歩いていた。


容姿は人間の形をしていたが、全身が黒に染まって、苦しみや、憤り、怒りなどが混在したなんとも耳障りな奇声を発していた。


兵士達は、気づいていないようだった。



ダンが皆に伝えた。


ラウルは、ドグマ達を気の毒に思った。


「彼等も救われれる時がきますかね?」


ラウルは、ダンに聞いた。


「救われない者などいない、少なくとも俺はそうを信じている」


ドグマの声は、未だに響き渡っていた。


国王軍は、ドグマ達に気づかれないように進路を替えてバロン岩を目指した。


【パピコとグリース】


ナパスの奥さんは、名前はイトと言った。


イトのレストランは、海沿いに面していて、需要期になると予約で一杯になっていた。


パピコとグリースは、イトのレストランが忙しいので、今日はお手伝いをしている。


パピコは、ホールをやって、グリースは、洗い場で働いた。


パピコは、仕事中、なぜか、三好佳純の事を思い出していた。



〜回想〜



葉日子は、学年で一番成績が良かった。


特段、誰かと仲良くなる事もしてこなかった橘葉日子は、いつも一人だった。


他人との関わりをもたない、自分は、いつの頃から人から嫌われていると思いだしてきた。


だからといって、自分が何をすれば良いのか全くわからなくなっていた。


そんなある日、一人のクラスメイトが葉日子に話しかけてきた。


「橘さん、これ知ってる?」

 

三好佳純という子だった、クラスではあまり目立たない女の子だった。


「え」


葉日子は、驚いた。


そのクラスメイトが持っていた本をみると


橘葉日子が大好きで何度もよんだ本だった。



「うん」



「やっぱり、橘さんだったら知ってると思ったんだ!」


それからその本についての話しをした。



その事が凄く嬉しかった。


今日の手伝いも何か似たような気持ちになっていた。


【イトとパピコ】


「パピコちゃん、休憩いってらしゃい」


同じホールの店員がパピコに言った。


「はい」


パピコは、海の見える位置で一人休憩をしている。


「おつかれ様」


イトがパピコの横に座り、フルーツジュースを渡してくれた。


「ありがとうございます」


「パピコちゃん、ありがとう助かったわ」


パピコは、イトにそう言われると笑顔でそれに答えた。海を見ながら二人は、休憩中話をした。


「パピコちゃん、あなたは魔女を倒しにいくのね」


「はい」


「頑張ってね」


しかし、パピコはその言葉、少し影をみせた。


「何もできない私が、、」


「パピコちゃん、あなたは自分の能力をあまりわかっていないみたいね」


パピコは、不思議そうにイトをみた。


「人は、いつもやり始めた頃にこう思うの、


やらなきゃ良かった、やる前の方がやっぱり


良かった、やった事は失敗だった」


パピコは、イトの言葉を黙って聴いていた。


「私が、このお店をやり始めたとき、毎日そう思っていた」


「でもこの選択以外なかった、この選択がベスト、今目の前の事に目を向けよとしたの、そしたら心が軽くなったの」


パピコは、黙ってイトの話しに耳を傾けていた。


「パピコちゃん信じて、失敗のように見える時があるかもしれないけど、あなたの選択はベストなんだよ」


パピコは、自分の心に温かいの物が流れだすような感覚になった。



しばらくするとイトは、腰を上げ、砂浜の砂をはたいた。


「じゃあ、先にいくね、パピコちゃんはもうちょっとやすんでていいよ」


「はい」


パピコは、頷くとフルーツジュースをストーローで啜った。


 イトが行った後、パピコはしばらく一人でなにも考えずにいた。


♪ ♫


 お店から流れる音楽と波の音がとても自然に重なりあっていった。


 パピコは、自分の頭の中が、少しスッキリ事に気づいた。


つづく

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