第11話 『思いがけぬ足止め(前編)』

パピコ達は、下女から次のトロールについての情報を得た。


下女がいうには、この世界にはトロールは、二種いるらしい。ほとんどの者は、巨大で獰猛なトロールを想像するらしい。


しかし、ある場所に生息している妖精の事もトロールというらしい。しかし、このトロールは滅多に人前には姿を現さないらしい。


なので、この妖精に出会ったら幸運が訪れると言われている。


そして、下女が言うには、この世界の獰猛なトロールの方は、太陽の光を浴びても石にはならないらしい。


この2種のトロールのどちらを選んでも、素材としては間違いではないという事だった。


パピコ達が選んだのは、妖精トロールの方だった。


「妖精トロールは、どこにいるんかいな?」



「フプン村周辺にいるとき聞いていますが、具体的にはわかりません」


「フプン、、」


【ナパス】


フラン国


ププン村  


朝7:15分



昨日、エルフの里で下女から聞いた、妖精のトロールを探すべきフプンの村に私達は来ていた。


昨日の夜には、フブンの村に着いて、グリース以前お世話になった”ナパス〟というイタサレの家でお世話になった。


パピコがナパスに朝の挨拶をした。ナパスの外見は、ヤカンに4つの足が生えている姿だった。ある噂では、魔女によって”イタサレ〟になった人間は、合わさった鉱物や動物と潜在的な願望が関係していると言われている。


パピコが、起きて部屋からでるとナパスがコーヒーを用意してくれた。


ナパスは、まだ寝ているグリースとの関係や自身の事を話した。


グリースとの関係は、一年前に記憶を失ったグリースがフブンの村で、ナパスの奥さんが経営しているワパームレストランに仕事を求めにきた時からだと言った。


(※ワーパムとは、フランの伝統料理の事、味付けはシンプルで素材を生かした物と素材をじっくり時間をかけて煮込んだ料理が特徴)


奥さんは、ナパスようにイタサレではなく人間だった。


ナパスは、イタサレになってからひきこもるようになってしまったらしい。


その事があって自分と同じようなグリースに親近感を感じたと言っていた。



なぜ、グリースがお城で掃除夫として働きだしたのかもナパスさんは教えてくれた。



その間、ナパスはパピコに二杯目のコーヒーを入れてくれた。


「嫁の仕事場でのグリースの働きは、散々なものだった、オーダーは間違えるし、食器は壊すし、お客との会話もまるでダメだった、そんなグリースに奥さんは困りはてていた」


「グリースらしいわ、そういうの向いてなさそう」


「ところが、グリースがその店で働きだしたところ、お店の売り上げが3倍になっている事に、奥さんは気づいた」


「グリースが原因なんですか?」


「最初は、奥さんも気づかなかったらしいのだが、明らかに違いを見つけた」


「それは、なんだったのですか?」


「グリースが働きだす前と働きだした後、お店の中が綺麗になっていた事だ、それ以外違いはなかった」



「なぜそうなったかは、仕事で失敗ばかりするグリースに誰も仕事をあたえなかった、そこでグリースは、することがなかったので、ありとあらゆる物をピカピカに磨きはじめた結果だった、ただそれたけだった」


「それでなんで、お店の売り上げが上がったのですか?」


「なんでだろうね?私にもわからない、しかしその事がグリースの運命を変えた」


ある日にダナン城の女性の兵士がお店を訪れたときに、お店の異常な綺麗さに感銘をうけた。


その女性の兵士の推薦によって、ダナン城の掃除夫として雇われたんだ」


しばらくするとグリースが起きてきた。


「おはよう、コーヒーを入れようか?」


「久しぶりやな、ナパスが入れくれるコーヒー美味いんよね」



グリースとナパスは、コーヒーを飲みながら思い出話しに花を咲かせた。


しばらくすると妖精トロールの事にも話しが進んだ。



「ヨーデルの泉に妖精トロールは、生息している」



「ヨーデルの泉?」


「ここからそう離れていないよ、ヨーデルの泉でもその妖精に出会うのはきわめて低い確率だよ」


パピコが口を挟んだ。


「そーなんですか?」


「その妖精に出会えたら幸運になれるという伝説もあるくらいだからね」



パピコ達は、それから朝食をご馳走になった。


それからほどなくして、その妖精トロールを探しに、家の玄関をでようとした時にナパスさんの奥さんが話しかけてきた。


「グリース、ちょっと出て行くときに悪いんだけど、お願いを聞いてくれないかい?」 


「奥さん、お世話になりました」


グリースがそういうと奥さんに軽くお辞儀をした。



「それは、いいんだけど、今日一日、お店を手伝ってくれなかい?」


「奥さん、お世話になりました、では」


そうして、グリースは足速にそこを去ろうとした。


「待て、待て、グリース、お願いだよ、今日は人がいないんだよ」


「いなけりゃ、ナパスにでも頼みなよ!」


グリースがナパスのほうに目を配らせると、ナパスは、そそくさと部屋の隅っこに行って体育座りをしてしまった。


グリースは、それをみた時、ナパスが引きこもりだという事をすっかり忘れていた自分に気づいた。


「今日だけ、今日だけから!一宿一飯ともいうだろう!」


奥さんは、グリースに懇願した。



「えー私達は、これから幸運のトロールに逢いにいくので無理ですね」



「しらないよ!幸運のトロールってなんだよ!あんた、恩を仇でかえすタイプだね」


「なにもナパスからは聞いてないのか、、それにオイラが、仕事場にいっても邪魔しちまうんじゃないか?」


「いいから、そんなの!」


「お嬢さんあなたにもお願い!」


奥は、パピコにも仕事をお願いした。


「いや、こちらも魔女退治という使命がありますからね!」


「行こう、パピコ!」


グリースは、パピコにナパス家からでる事を促した。


しかし、パピコは、グリースに言った。


「グリース、手伝おうよ」


「テメ、なに言ってやがんだ!」


「お礼も込めて」


「パピコ、それは優等生の解答やぞ!!」


パピコがグリースにお願いした。


しばらくして、一瞬困った感じになったが、突然ヘラヘラしだした。


「しゃないな」


グリースが、承諾すると奥さんとパピコは喜んだ。


二人は、今日一日奥さんのお店を手伝う事になった。



しかし、その頃パピコ達が向かう予定だった”ヨーデルの泉〟ではある事件が起こっていた。



つづく

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