幕間 1月20日

 桜木さんが御簾の裏で眠ったらしい。


『眠ったか』

《じゃの》


《可愛らしい子》

《涎を垂らしてまぁまぁ》

《良い子良い子》


『起こしてやるなよ、随分話していたからな』

「あまり話させたくは無かったのですが…」


『何も知らないは不安だろう、双子もコヤツも…お前は何が知りたい』

「厄災の内容と驚異度です」


『ヤバい、凄い、大きいと聞こえてくるが、誰も内容を口にしたがらない。口に出せば実現してしまいそうだと、不安なのだろう』

「そんな大きな厄災が…」


《ショナ坊、まだ言うでないぞ、不要なプレッシャーになる》

『あぁ、今言う利は無いな』

「はい、勿論です」


 そうして桜木さんが起きる迄、今ままでの報告や経過を記入。

 それと、好き嫌い、食べ物だけで無く色や質感も記入していく。




 桜木さんは起きて、また眠りへ。

 それにしても、神々や精霊が口論するとは思わずビックリしてしまった。


《どうしたの従者?》

《神々の喧嘩が怖いのかしら?》

《喧嘩じゃないわよ、少し言い合いしただけよ》


「えあ、はい、大丈夫です」


《優しいお家の子なのね》

《ふふ、良い子ね》

《大丈夫よ坊や、単なる意見の擦り合わせ》


『こら、あまり誂い過ぎるな』

《えー、我も誂うー》

《ドリアードはシーなの》

『なの、良い子しないとご主人様に言うの』


《うっ、オチビズめ》


《ふふ》

《うふふ》

《あらあら》


「あのー、桜木さんはいつ起きますかね?」

『5時間、夕飯には間に合うだろう』


《ご馳走を用意してあげないと》

《手術に耐えたご褒美に》

《膜の快気祝いね》


「眠らせていなければ、どうなっているんでしょうか?」

『不快。ムズムズ、チクチク、チリチリ、じっとしてられない、だけどじっとしていて貰わないと。大丈夫、良い夢を見ている筈』


《貴方も寝たら?》

《そうよ、暖かい日が差してるわ》

《とても気持ち良いわよ》


「すいません、エルフの従者の選抜があって」

《どれ手伝ってやろうぞ、コヤツは良いぞ有能じゃ、結界魔法が》

『これドリアード、あまり邪魔をするなよ』

《シーよ》

『シー』


《うふふ》

《賑やかね》

《楽しいわね》

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