第34話 オリハルコンの剣
万事休すの三人。
ボスを倒すには武器が必要不可欠だ。
「なるほど! そうか! あの破片を使えば……。グリンダ! 援護してくれ!」
オリビアがボスの間の中央に駆け出す。
「ちょ、ちょっと! もう!」
――召喚魔法・ゴーレム――
グリンダはゴーレムを召喚した。
「ゴーレム! あのボスの動きを抑えなさい!」
ゴーレムはボスと組み合う。
『グググ……』
力は互角のようだ。
オリビアはその隙に床から破片を拾う。
「ペルーサ! 受け取れ!」
オリビアの投げるオリハルコンを受け取るペルーサ。
「急がないと……!」
――錬成魔法――
細かいオリハルコンの破片が混ざり合い剣に姿を変える。
「で、できたか!?」
『ガッシャーン!』
その時、ボスが組み合うゴーレムを腕を砕き、ゴーレムを吹き飛ばす。
「なんて馬鹿力なのよ……」
ゴーレムを薙ぎ払い、破片を拾い集めていたオリビアに殴りかかるボス。
「くっ!」
「オリビアさん!」
ペルーサは錬成したばかりの剣をオリビアに投げる。
ボスの拳がオリビアに振り下ろされる。
「オリビア……! 逃げ――」
『ドーーン!!!』
拳の衝撃で部屋中が揺れ、砂煙が舞う。
「オ、オリビア……? オリビアーーッ!」
呆然とするグリンダ。
「……くそっ!! よくもオリビアさんを!」
ペルーサは手をかざし魔法を唱える。オリビアをやられた怒りで腕の痛みなど忘れていた。
――炎魔ほ……
「まて、ペルーサ」
「!!?」
砂煙の中から声が聞こえる。
「オ、オリビア……さん……?」
「こいつには魔法は効かないんだからな」
砂煙が薄くなる。
そこには片腕を失ったボスとオリハルコンの剣を構えたオリビアが立っていた。
「あとは私に任せてくれ!」
「オリビアさん!」
投げられた剣を受け取り、ギリギリのところでボスの片腕を切り落としたオリビア。
「ふふ、破片で作った剣だからな……作りは荒いが……こいつを斬ることくらいはできるだろう!」
オリビアは地面を蹴り、ボスに斬りかかる。
片腕を失ったボスは動揺している。オリハルコンで出来た体。斬られた経験などもちもん無かった。
「はあああ!!」
『ザッ!』
ボスのもう片方の腕も斬り落とす。
「す、すごい……これがオリハルコン……」
「オリハルコンももちろんだけどね……これがオリビアの実力よ!」
どこか誇らしいグリンダ。
両腕を失い暴れまわるボスはオリビアに突進してくる。
「やはり破片で作った剣か……あと一撃が精いっぱいかな?」
オリビアは握りしめる剣を見る。剣には細かいヒビが入っている。
しかし、慌てている様子はない。むしろ、どこか勝利を確信しているかの様に微笑んでいた。
「グリンダが時間を稼いで、ペルーサが私のために作ってくれた剣だ……」
オリビアは剣を両手で握り真上に振り上げる。
「お前に負ける負ける訳がないだろーー!!!」
『ザーーンッ』
今度は砂煙は舞わない。
ボスの中心を真っ二つに斬り裂いた。
「オリビアさん!」
「どうだ! 見たか!」
「よかった……ボスに潰されちゃったかと思いましたよ……」
「ふふ、ペルーサ君の慌てっぷりったらなかったわよ」
「グリンダさんだって泣きそうだったでしょ」
「そ、そんなことないわよ!」
「……二人ともすまない……私の武器のために危険な目に合わせてしまって……」
「何言ってるんですか」
「そうよ……これもデーモンを倒すためよ……」
「二人とも……ありがとう……」
◇
二つに割れた倒れたボスからオリハルコンの塊を取り出す。
「すごい大きさですね……」
「これならさっきの剣とは比べ物にならないすごい剣がつくれるな!」
ボスを斬った剣はすでにボロボロで折れる寸前だ。
ペルーサの収納魔法で重たいオリハルコンの塊を収納する。
「無事、オリハルコンを手に入れられましたね」
「魔法が効かないなんて、やっかいなボスだったわね」
「……そうですね……」
「ふっふっふっ、これからはそういう敵は私が斬ってやるぞ?」
「すぐ調子に乗るわね、オリビア……死にかけたくせに」
「う、うるさいな!」
オリハルコンのダンジョンをクリアした三人はペルーサの瞬間移動で馬車とともに王宮に戻る。
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