第33話 オリハルコンのダンジョン
夜が明ける。
村人に感謝をされ再びオリハルコンのダンジョンに向け出発する一行。
「アコンか……強力な仲間が増えてよかったなペルーサ! デーモン討伐に一歩近づいたな」
「はい、そうですね! この遠征が終わったら会いに行ってみましょう」
「また女の子がパーティに増えそうね」
「うぅ……」
何はともあれ山の姫アコンが仲間に加わったパーティ。
◇
翌日、ペルーサ達はオリハルコンのダンジョンに到着した。
「ここがオリハルコンのダンジョンか! いい材料が取れるといいな」
「やっと着いたわね……遠かったわ……」
オリハルコンのダンジョン。荒野にポツンとそびえ立つ小さな山のようだ。
「なんか……オリハルコンで出来た建物かなんかかと思ってたんですけど意外と普通の山ですね」
「ほんとにオリハルコンあるのかしらね?」
「おいおい、不安になること言わないでくれよ!」
山のふもとの入り口から入る。
「……うわあ!」
「すごいわね……」
「こ、これがオリハルコンですか……」
ダンジョンの壁が緑色の奇麗な石で覆われている。
一見、宝石のような美しさだ。
『コンコンッ』
「確かに硬そうだな」
オリビアが壁のオリハルコンを指で叩く。
「いいわねぇ、私も持って帰って指輪にでもしようかしら……ちょっとペルーサ君! このあたりの壁を割れるかしら?」
「もう……でも確かにこの辺のオリハルコンを採れればボス倒さなくてもいいんですよ……?」
「お、それは助かるな! 頼むぞペルーサ!」
――風魔法――
『ザザザザザザ』
風の刃が壁に当たる。しかし……
「ダメですね。傷一つ付きませんね……」
「うーん、ペルーサ君の魔力でもダメか……さすがオリハルコンね」
「だがこれは手に入ればすごい剣が作れそうだな! ボスを倒してオリハルコンを手に入れよう!」
三人はダンジョンを進む、邪魔をする魔獣はいないダンジョンのようだ。
あっという間にボスの間に辿り着く。
「全然魔獣もいないダンジョンでしたね」
「そうだな……貴重なオリハルコンを手に入るダンジョンなのにな」
「いいじゃない! ラクできてよかったわ」
扉を開けボスの間に入る三人。
中央には緑色の人型の魔獣が立っている。
「……あれがこのダンジョンのボスですかね?」
「そのようだな」
「なんかテッカテカでムキムキね……どことなくゴーレムみたい」
2メートルほどの身長、全身がオリハルコンで出来ているであろう緑色の魔獣が静かに立っている。
ペルーサ達に襲いかかってくる様子はない。
「全然襲ってこないのね……ペルーサ君、やっちゃって!」
「変わったボスですね……やっちゃいましょう!」
――風魔法――
ペルーサは風魔法を放つ。
動かないボスに風の刃は直撃する。
しかし、ボスは全くダメージを感じていないようだ。
「……効かない!?」
――炎魔法―― ――雷魔法――
ペルーサは様々な魔法を繰り出。しかし、どの魔法も効いていないようだ。
「ダメですね……反撃もしてこないし気づいてもない雰囲気的ですね」
「ペルーサの魔力でも通じないのか……どうすれば……」
「しかたないわね」
グリンダは杖を掲げる。
――召喚魔法・オオカミ――
グリンダはオオカミ型の召喚獣を召喚した。
「お、そんな召喚獣もいるんですね」
「ふふ、アコンの山犬を見て真似してみようと思ってね。硬そうなボスだし噛み砕けるほうがいでしょ? さあ、いきなさい!」
オオカミはボスに飛び掛かり、大きな牙でボスに噛みつく。
『ギギギ……』
しかし――
「えぇー、効かないの?」
オオカミの鋭い牙でも傷一つつかない。
「うーん……反撃はなさそうですし焦る必要はないんですけど困りましたね」
その時――
『ゴゴゴゴゴ』
「ん?」
ボスがゆっくりと動き出した。
「わっ!」
ボスはペルーサに向かって殴りかかる。
「くっ!」
――瞬間移動――
『ガッシャーーン!』
間一髪で回避したペルーサ。
「はあ、はあ……危なかった……」
拳を振り下ろした床が砕けている。
「とんでもないパワーね……この床もオリハルコンで出来てるのよ!?」
「こいつ……物理攻撃には反撃するのか!?」
魔法では何の反応もしなかったボス。オオカミの牙には反応し反撃をしてきた。
ひとまず距離をとる三人。
「うーん……困ったわね。私たちの魔法は効かないし、召喚獣に攻撃は反撃されちゃうわね」
「そうですね……となると……」
オリビアはペルーサとグリンダの視線を感じる。
「そうだな……私が切るしかないようだな……私の武器のためのダンジョンだ! そろそろ私が活躍しなきゃな!」
オリビアは剣を抜く。
「いくぞ!!」
ボスに向かい飛び掛かるオリビア。
「はあ!!」
ボスに剣を振り下ろす。
『キンッ!』
「なっ!」
鉄の剣が砕け散る。
ボスは拳を振り上げる。
剣を振り、避けられる体制ではないオリビア。
「オリビアさん!」
――瞬間移動――
ペルーサはオリビアの元にワープし抱え込み、瞬時に再び瞬間移動で回避する。しかし――
『ガッ!』
「ううっ!!」
瞬間移動で回避の瞬間、ボスのパンチがペルーサの腕をかすめた。
「ペルーサ!!」
「う……だ、大丈夫ですか……オリビアさん」
「す、すまない……私のせいで……」
「大丈夫!? ペルーサ君!」
「はい……」
かすめただけとはいえオリハルコンで殴られたペルーサの腕は骨が折れていた。
「まずいわね。魔法が効かなくってオリビアの剣も折れちゃったし……一旦撤退しましょう!」
「そうだな……ペルーサ、立てるか?」
「すみません……」
一度脱出を図る三人。
しかし――
『ダッダッダッダ』
「えぇーー!!」
今まで反撃しかしてこなかったボスが走り寄ってくる。
「ちょ、ちょっと! 話と違うじゃない!」
「……まあ攻撃しないってボスが言ったわけじゃないですけどね……」
「ぺ、ペルーサ! 瞬間移動だ!」
――瞬間移動――
ボスから離れた部屋の端へ瞬間移動する。
「うぅ……」
折れた腕を押さえるペルーサ。回復魔法をする暇もない。
ボスは休む間もなく追いかける。
「ま、まずいわねぇ……」
魔法の効かない強敵に追いつめられる三人。
「くっ……武器さえあれば……あっ!!」
その時、ペルーサは気が付いた。床に散らばるボスが殴って砕いたオリハルコンの破片に。
「あの破片って……剣に錬成できませんかね……?」
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