第6話 脱出、そして謎の美女戦士
少し前までレベル1の最弱の荷物運びだったペルーサ。
辺りに散らばる魔獣の死骸を眺めながら、いきなり強くなりすぎてしまった自分に戸惑っていた。
回復魔法で体のケガもあっという間に治った。
「ホントにこれが僕の魔法なのか……?」
◇
とりあえずこのダンジョンを出よう。自分がどれくらい石化をしていたのか見当もつかない。
まずはこの崖底から上がらなければ。
崖を見上げるも上が見えない。
「どこかにロープかなんか落ちてないかな……」
辺りを見回すも都合よくロープなど落ちていない。
「そうだ!」
ペルーサは錬成魔法でロープを錬成しようよ思った。もちろん初めて使う魔法だ。
しかし、
「……まてよ?」
【肉体強化】
ペルーサは肉体強化魔法を自分にかけた。
体中から力がみなぎる。特に脚部に魔力を集中させた。
「はっ!」
ペルーサは地面を強く蹴り大きくジャンプした。
『ビュン!!』
軽々と崖上まで飛び上がった。勢いよく飛び過ぎて天井の岩場にぶつかりそうになるくらいだった。
「すごい……僕の【バランス】でこんなことができるなんて」
【バランス】の様々な魔法を使えることの凄さを改めて感じた。
ロープなんか探してた自分が馬鹿馬鹿しく思えた。
◇
「とりあえず来た道を戻るってみよう」
【光魔法】でダンジョン内を明るく照らす。
たぶん食料も【錬成魔法】で困ることもないだろう。
強くなったペルーサだがやはりダンジョンは怖い。
恐る恐る出口を目指す。。
「そういえばパーティの奴らはどうなったんだろう?」
自分を見捨てて逃げたゴンザレス達のことを考えていた。
◇
『ガガガガガガッッ!!!』
「!?」
ダンジョン内が大きく揺れだした。
「カエセ!!!」
まだこのダンジョンのボス ゴーレムが残っていた。
「!!! そうか……忘れてた」
【石化の首飾り】の奪われたゴーレムはまだ怒り狂っているようだ。
ダンジョンの揺れが大きくなり、岩石がペルーサに飛んでくる。
その辺の魔獣とは比べ物にならないレベルだろう。
「くっ!どうする?」
【岩魔法】
ペルーサはとっさに岩魔法で岩の盾を作り攻撃を防ぐ。
「!?!?」
ゴーレムは困惑している。岩種族トップクラスのゴーレムより強力は岩魔法を使うのだ。
ペルーサは続けざまに
【水魔法】
ゴーレムに水の弾丸を放つ。
まだ力の加減などできない。全魔力を注いだ。
「グオォォォオ!!」
水の弾丸がゴーレムを貫く。
「や、やった……」
ゴーレムが崩れ落ちる。
さすがにペルーサも全身に疲れを感じていた。
しかし、A級ダンジョンのボスでも一撃だ。
レベル100 その凄さを感じていた。
◇
ペルーサは出口へと歩を進める。
襲い掛かってくる魔獣はもういない。
「まてよ……?」
ペルーサは思った。
律儀に出口まで歩く必要もないのでは?
【鑑定】で自分の魔法を確認する。
「あった」
【脱出魔法】もペルーサは取得していた。
「これを使えばダンジョンの外に出るのかな?」
今まで魔法を使わなすぎたペルーサは魔法で脱出できると考えもしていなかった。
「ホントに魔法って便利なものなんだな………」
脱出したらちゃんと魔法について学んでみよう。そう決心した。
【脱出魔法】
ペルーサが光に包まれた。
気づくと一瞬でダンジョンの外に出ていた。
「すごい……ホントに一瞬で出てこれるなんて」
何度も死を覚悟したが無事に外に出ることができペルーサは涙を流し安堵した。
◇
「おい! 大丈夫か? 少年!」
「えっ?」
ダンジョンの外に出て、安心しきっていたペルーサは急に声をかけられ驚いた。
「こんなところでなにをしているんだ? そもそもどこからあらわれたんだ?」
そこには真っ赤な鎧に身を纏った美女が立っていた。
◇
「え、えっと」
言葉に詰まる。人と話をするのは久しぶりだ。こんな美人となればなおさらだ。
それに内気な僕が、鎧からはみ出す谷間を見て今の状況を上手に説明なんかできる訳がない。
「大丈夫か? 服がボロボロじゃないか! ケガはないか?」
「だ、大丈夫です」
「私は王国の調査団のオリビアだ。君は?」
「!」
そうだ、どこかで見覚えのあると思った鎧の紋章、王宮の紋章だ。
見渡すと大勢の調査団がいる。
「ぼ、僕はペルーサです」
「ペルーサか! 見たところ若そうだがいくつだ?」
「15歳です」
「15歳か……私の3つ下か」
(この人は18歳か。綺麗なお姉さんだ)
「ペルーサはどうしてこんなところにいるんだ?」
「えーと……」
(どうしよう、余計なことは言わないほうがよさそうだけど……)
「ここから我々、調査団はあのダンジョンに入る。最近地震が続いているだろ? その原因のゴーレムを調査しに行くんだ。子供は早く帰った方が良い」
「え? ゴーレムを?」
「そうだ。まあ我々では倒すことはできないから、ひとまず調査し情報を集め王宮の魔導士たちに任せることになるがな」
「あの……ゴーレムだったらもういませんよ?」
「? 何を言ってるんだ? たしかに少し前から地震は収まっているがダンジョンの奥に……えっ!?」
オリビアはペルーサの胸元を見て驚いた。
「君っ! それはもしかして!!?」
オリビアが僕に掴みかかる。
「え?」
「なぜ君が幻のアイテム【石化の首飾り】を持っているんだ!?」
(しまった! 首から【石化の首飾り】をぶら下げていたままだった)
「君は……一体」
オリビアは興奮し僕に身を寄せる。僕もオリビアの胸の柔らかさを感じ興奮した。
(よかった……生き延びられたんだ!!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます