第5話 最強魔法使い、反撃開始
【ゴーレムのダンジョン(A級)】の周りに王国の調査団が集まっている。
「最近1か月くらいこの国の地震が収まらない。恐らく誰かに【石化の首飾り】を奪われたゴーレムの怒りなのだろう」
「凶暴な魔獣がウヨウヨいるダンジョンだ。慎重に調査を始めるぞ。しかしなぜゴーレムは1か月も宝を奪い返さないのか……?」
◇
『ガリガリッ!』
鈍い音に気づき長い眠りから目が覚めた。
寝ぼけながら薄く目を開けたとき
「「「ガッーーーー!!」」」
「うあああぁぁあ」
魔獣が襲い掛かってくる。
「そうか……」
まだ意識のハッキリしない頭で今の状況を思い出した。
どれくらい寝ていたのだろうか。
まだ【誘導】の効果は続いているようで相変わらず魔獣は攻撃し続けている。
絶え間ない攻撃でも僕に全くダメージを与えられない魔獣達に少し憐れみを感じ始めていた。
「さて、どれくらいレベルアップしてるのかな?」
僕は自分を【鑑定】しようとした。
その時
「うっ!!」
わずかだが魔獣の立てた爪にダメージを感じた。
「おかしいな……石化しているのどうして?」
僕は首にかけてある【石化の首飾り】に目をやった。
「!!!!」
ペルーサはゾッとした。
【石化の首飾り】の宝玉に今にも割れそうなヒビが入っている!
「まずいな……いつ壊れてもおかしくなさそうだ」
幻のアイテムといえども、度重なる魔獣の攻撃で痛んでいたようだ。
おそらく目が覚めたのも石化の力が弱まり、攻撃を感じて目が覚めたのだろう。
もし寝てる間に石化が解けてしまっていたらと思うと恐ろしい……
魔獣は攻撃の手をやめない。
宝玉のヒビが大きくなる。
「もうダメだ!!」
【瞬間移動】
宝玉が砕け散るのと同時に僕は魔法を発動させた。
眠りに入る前に取得した魔法を確認しておいて良かった。
僕は群がっていた魔獣の背後に瞬間移動した。
もちろん初めて使う魔法だがうまくいったようだ。
突然、僕がいなくなり魔獣達は困惑している。
しかし、すぐに魔獣には見つかる。この崖底は魔獣で溢れているのだ。
「くっ!」
僕は魔獣のいない方へ全力で走る。
「はぁはぁ……」
どうしよう。【鑑定】をする暇もない。
魔力はあがっているのは間違いないがペルーサは実戦の経験など皆無だ。
逃げるペルーサだが、あっという間に魔獣に追いつかれる。
魔獣達からすればやっと獲物の石化が解けたのだ。ほっておくわけはない。
魔獣が逃げるペルーサの背中を爪で切り裂く。
「ぐわぁぁぁぁぁああ」
激痛で僕は崩れ落ちる。
「はぁはぁ」
うずくまるペルーサに魔獣の大群が襲い掛かる!
「くそっ! なんのためにレベルアップしたんだ! やるしかない!」
ペルーサは無我夢中で魔獣に向け手のひらを向け、魔法を唱えた。
【炎魔法!!】
『ゴゴゴゴゴゴゴゴ』
ペルーサの手からは巨大な炎が噴き出す!
「「「「「「「「「「ガアアァァァ」」」」」」」」」」
魔獣達が炎に飲まれる。
「えっ……?」
ペルーサは驚いた。
以前の炎はマッチほどの火力しかなく、父親がタバコを吸うときに役に立つくらいしか使い道がなかった。
それが今はどうだろう。10体ほどの魔獣を飲み込む巨大な炎だ。
「そんな……こんなにレベルアップしているのか?」
多少のレベルアップは分かっていたがここまでとは……
ペルーサが困惑している中、他の魔獣達は次々に襲い掛かってくる。
「!!!」
ペルーサはまた魔獣に魔法を唱えた。
【水魔法!】
すると、高速の水の弾丸が魔獣達を粉々にしていく。
「す、すごい……」
ペルーサは確信した。僕は強くなりすぎてしまったようだ!
ひるむ魔獣達の隙を見てペルーサは自分を【鑑定】した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ペルーサ レベル100
ーーーーーーーーーーーーーーー
「やっぱり……」
驚きはなかった。ペルーサにとってはただの確認だった。
【回復魔法】
ペルーサは魔獣に切り裂かれた背中の傷を治した。
一瞬で完治した。
この頃にはペルーサに襲い掛かる魔獣はもういなかった。
「なんだ、もう終わりか?」
ペルーサはここまでレベルアップに付き合ってくれた魔獣達に、どこか感謝の気持ちも持ちつつうろたえている魔獣に魔法を唱えた。
【風魔法】
魔獣の群れめがけ風の刃が放たれ、魔獣を次々と切り裂いていく。
数秒後、崖底に立っているのはペルーサだけになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます